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学校英文法で常識とされてきたものが、実は間違っていたら?
「教科書に載っていることは常に疑いなさい」
2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑氏の言葉です。
私も常々、学校英文法を100%信じるな!と叫んでおります。
何故ならば、海外の英文法書はどんどん進化しているのに、日本の学校英文法は40年以上も内容がほとんど変わっていないからです。
定説を覆すような行為は嫌われるし、クレームもつきやすいと思いますが、今回も勇気を持って学校英文法の誤解、間違いを指摘します。
今回は「時制の一致は絶対ルールではない」という ”真”常識
正しいのはどっち?
1) Kenji told me that he wanted go to Canada next year.
2) Kenji told me that he wants to Canada next year.
答:どちらも正しい
今回は「時制の一致」に関する”真”常識を紹介します。
例えば、次の文を間接話法に置き換えてみましょう。
Kenji said “my new job is boring.”
↓
Kenji told me that his new job was boring.
学校英語では主節の動詞が過去のときには、従属節の動詞は原則として過去または過去完了にしなければならないという英語の基本ルールを適用して例文の is を was にすると教える傾向があります。
これが「時制の一致」と言われるものです。
確かに時制の一致は英語の原則ルールではありますが、絶対ルールではありません。
学校英語では時制を「時間」のように教える傾向がありますが、それは学校英語の間違いです。
「時制」を時間の概念のように考えると英語の時制を理解するのが困難になり、英語学習者はいつまでたっても時制をマスターできません。
「時制」と「時間」の概念は全く別物です!
ここをしっかりと押さえておきましょう。
もう1つ「日本語には時制がない!」と言うことも覚えておきましょうね。
時制は時間とは違って客観的・物理的な概念ではなく、あくまでも伝えようとしている事柄を話し手が頭の中の時間軸上のどこに位置付けるのかで決まるものです。
簡単に言ってしまえば、時制の選択とは話し手の意識に基づいて決まるものです。
したがって、前述の Kenji said “my new job is boring.” は次のようにどちらでも良いと言うことです。
1) Kenji told me that his new job is boring.
2) Kenji told me that his new job was boring.
「ケンジは新しい仕事がつまらないと私に言った」と言う意味ですが、is なのか was を用いるのかはあくまでも話し手の意識が時間軸上のどこにあるかで決まるのです。
つまり、that 節の内容が発話時においても成立していると話し手が考えているのであれば is を使い、発話時に「ケンジの新しい仕事がつまらないかどうか」が話し手の意識になければ自動的に時制の一致がなされるのです。
つまり 1)は、話し手が発話時点で「ケンジの仕事はつまらない」と思っているのです。
では問題文を見てみましょう。
1) Kenji told me that he wanted go to Canada next year.
2) Kenji told me that he wants to Canada next year.
もうお分かりですね。
1)では発話時に「ケンジがカナダに行きたいと思っているかどうか」は話し手の意識にないのです。だから自動的に時制の一致がなされています。
2)では発話時においても「ケンジがカナダに行きたいと思っている」と話し手が考えているのです。
そして、Does he still want to go to Canada? と1)の文に対して聞き返せば自然ですが、2)の文に対して聞き返すのは不自然になりますよね。
もちろん文によっては時制の一致が自動的に行われる場合もあります。
Kenji said that the payment was due yesterday.
yesterday(昨日)は発話時においてすでに過ぎている過去の事実だからです。
参考過去記事:時制の一致は絶対ルールではない!話し手の判断!
時制の一致の判断基準はあくまでも話し手の意識なのです。
前述しましたが、日本語には英語の時制に相当するものがありません。だから時制は上手く日本語には訳せないのです。いつまでも日本語を仲介させていると時制がいつまでたっても身につきませんよ。
時制が日本語にないなら時制の英語脳を構築すれば良いのです。
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*時制の一致に関しては「ザ・英文法」書籍版 上巻 P119-120、PDF版 P96-97 にて解説してあります。
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