【ネタバレ】Chage初の単独オンラインライブ『君に逢いたいだけ』レポ | ただひたすらCHAGE and ASKA

【ネタバレ】Chage初の単独オンラインライブ『君に逢いたいだけ』レポ

Chageさんのオンラインライブレポを書きました。
全曲ネタバレしておりますので、未視聴でこれからアーカイブをご覧になられる方は、ご注意ください。
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2020年9月5日に開催となった、Chage初の単独オンラインライブ『Chage Online Live 2020 ~君に逢いたいだけ~』。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、Chageは、今年、まだライブを開催できていなかった。

現状、大規模ライブは、開催不可能。小規模のライブでも、クラスターが発生すると、アーティスト活動に大きなダメージを負うから開催は困難。
当面の間は、ライブを開催するならオンラインライブをせざるを得ない。

60代のアーティストが時代の変化に対応できるのか。
私の最大の心配は、そこだった。

しかし、Chage初の単独オンラインライブを視聴して、すぐ杞憂だと安心した。
今年、川島ケイジのオンラインライブに2度出演したChage。
Chageフェスで見い出した川島ケイジのmahocastオンラインライブにゲスト出演を果たしたきっかけから、Chage自身も、mahocastオンラインライブを開催する流れができた。
巡り合わせとは不思議なものである。

Chageのオンラインライブは、土曜日の20:30開始。
仕事をしている人でも、大抵は帰宅して視聴できる時間帯だ。

オンラインライブのありがたさは、ライブ会場に行かなくていいところ。
しかも、Chageがアップで映るから、最前列の気分で観られる。
そして、視聴者が音量を調節できるところ。大音量が苦手な私は、これが一番うれしい。

開演前にmahocastに接続すると、ライブ前のSEとして「終章」が流れている。
「開演前なのに、終章か」
とファンに突っ込ませるところがChageライブの醍醐味だ。

20:30開演。
ボーカル・ギターChage、キーボード力石理江、ギターKBの3人構成。
『Chageの細道』やディナーショーの流れを組む、最小構成のアコースティックライブスタイルである。

今日は、静のChageを堪能できそうだ。

しかも、Chageは、ライブ会場にこだわり、チャゲアス時代からレコーディングで使用してきたスタジオを選んだ。このスタジオでは、チャゲアス時代から現在に至るまで、数々の名曲を制作してきたのだという。

ライブの開始早々、Chageは、チャットで視聴者との掛け合いを始める。
この軽妙さが多くのファンから愛される所以だ。

しかし、歌に入れば、Chageは、一転してアーティストの顔を見せる。
いきなりCHAGE and ASKAの名曲「Reason」。
チャゲアスをこよなく愛するChageの想いが伝わってくる。

そして、2曲目は、「アイシテル」。
ライブタイトルが『君に逢いたいだけ』となっているだけに、歌詞に似たフレイズがある「アイシテル」だけは絶対に披露されると感じていた。
チャゲアスへの想いを伝えた後は、ファンへの想いを伝える。
よく練り込まれたセットリストである。

そして、3曲目は、「SAY YES」のカップリング曲にして、「SAY YES」と並ぶ名曲との評価も高い「告白」。
原曲とは大きく異なるアレンジが施されていて、イントロでは本当に「告白」なのかと疑いかけたが、後半にかけては情感たっぷりの感動的アレンジへ。
トリッキーさと温かい情熱が融合する力石理江の演奏が光る。

4曲目は、Chageの原点とも言える楽曲「終章」。1980年のデビューアルバム『風舞』バージョンのアレンジで披露。このアレンジを手掛けたのが、稀代の名プロデューサー瀬尾一三。
これが5曲目への伏線となる。

5曲目は、ついに予告のあった新曲「君に逢いたいだけ」。まさか新曲がライブのタイトルになっていた、とは想定外だ。
しかも、この曲のアレンジを手掛けたのが瀬尾一三。今では中島みゆきのプロデューサーとして有名な瀬尾だが、初期のチャゲアスのヒット曲群は、編曲家瀬尾の功績でもある。

Chageの原点の楽曲と、最新の楽曲がともに瀬尾一三のアレンジ。それを連続で披露する演出が感慨深い。

「君に逢いたいだけ」は、若き日々の友への追憶と明日への希望を描く楽曲の内容を大きく増幅させてくれるアレンジだ。

若い頃、無邪気で、自由で、夢を持ち、友と笑い合った日々。
しかし、今は、友人とは疎遠になり、若い頃の無邪気さも自由も夢も霞んでしまっている。

だからこそ、明日を変えたい。友に逢いたい。

私は、優しくも切なく響くChageの歌声とメロディーを聴きながら、Chageのチャゲアスへの想いも重ねてしまった。
きっとこの曲は、Chageの代表曲となっていくだろう。


5曲目が終わると、換気タイム。
新型コロナウイルス感染拡大中の時代を象徴する休憩時間である。

とはいえ、その換気タイムを利用してChageは、別室で視聴者とのチャットを楽しむ。
このライブでは、約2000人の視聴者が同時接続でチャットに参加。ChageのMC中は、チャットが流れまくって画面フリーズが良く起こっていた。

Chage自身の画面も固まってしまい、「ふじわらのかたまり(藤原鎌足<かまたり>)」とボケるものだから、画面の前で爆笑してしまった。
画面フリーズまで笑いに変えて、視聴者を楽しませるChageは、さすがのエンターテイナーである。

Chageと視聴者のチャットが終わると、全員でMV「たった一度の人生ならば」鑑賞。できれば映像をバックに歌ってほしかったものだが、そこまで望むのは贅沢というものだろう。


MV鑑賞の次は、いよいよ第2部へ。

6曲目としてChageの代表曲でもあり、チャゲアスの代表曲でもある「NとLの野球帽」を披露。Chageの幼少時代への憧憬とともに故郷への憧憬を感じられるこの楽曲は、視聴者自身の幼少時代や故郷への憧憬を呼び起こす名曲だ。

もはや、オールタイムベストのセットリストとなってきた。

そして、7曲目は、季節柄外せない「夏の終わり」。続く8曲目の「Mimosa」、9曲目の「あきらめのBlue Day」と進むにつれ、演奏者である力石理江とKBの存在感が大きさを増していく。
力石理江のトリッキーさと、表情や全身でギター演奏を表現していくKBの癖の強さがどんどん前面に出てくるのだ。
Chageのライブメンバーは、本当に個性派プレイヤー揃いである。

こういう静のライブで「あきらめのBlue Day」を披露するのは、サプライズだった。
Chageは、この日、終始椅子に座っての歌唱となったが、この楽曲は、椅子から立ち上がらんばかりの勢いと盛り上がりを見せた。

本編ラストを飾る10曲目は、「光の羅針盤」。CHAGE and ASKAの最新アルバム『Double』の収録曲でもあり、2015年のChageのアルバム『hurray!』の収録曲でもある。
恋を航海にたとえて無限の愛を表現したこの楽曲は、航海の情景が浮かぶとともにスケールの大きな人間愛を感じさせてくれる。

本編終了後、チャットのアンコールに応えて、アンコール曲も披露。
そういえば、この日は、まだMULTI MAXの楽曲を1曲も披露してなかったのだった。
MULTI曲なしで終わるのかと思いきや、アンコールでついにMULTIMAXの人気曲「Well,Well,Well」披露。バンドライブでの盛り上げ曲をアンコールで持ってくる演出が粋だ。

まあまあ、何とかなるさ。一度きりの人生を楽しもうよ。

そう軽妙に歌い上げる旅人Chageの歌唱は、日常のストレスから解放してくれる。

アンコール曲が終わると、オンラインライブの接続も終了して、一気に日常に引き戻される。

しかし、今回のオンラインライブは、これで終わりではなかった。
Chappy(Chageファン)たちが考案したサプライズ裏企画があった。
ライブ終了後にTwitterで、Chage宛に紙飛行機画像と「#紙飛行機飛ばしマホ」「#chagekimi」「#君に逢いたいだけ」を贈ろう、と。

私たちは、ライブ終了後、Twitterに流れる無数の紙飛行機画像と、Chageへのメッセージで、ライブの余韻を楽しんだ。

オンラインライブ『君に逢いたいだけ』は、新たなライブ形式の可能性を幾度となく感じられた名ライブとなった。
おそらく将来、伝説として語られるライブになるにちがいない。

Chageオンラインライブ『君に逢いたいだけ』セットリスト
1.Reason
2.アイシテル
3.告白
4.終章~エピローグ~
5.君に逢いたいだけ(新曲)
6.NとLの野球帽
7.夏の終わり
8.Mimosa
9.あきらめのBlue Day
10.光の羅針盤
アンコール:Well,Well,Well