当ブログでは川金ホールディングス(5614)やその他の公開買い付け対象となった会社の事業計画等について分析してきました。その際、簡便に「営業利益=EBIT」として計算していたのですが、DCF法評価の分析によって継続期間フリー・キャッシュ・フローが判明していることから、EBITを推定できる状況なので、これを推定するとともにEBITを算出する際に営業利益に加減する金額が適切なものであるかどうか、考えてみます。

 ちょうど、川金ホールディングスの件の株式価値算定機関のホームページにDCF法評価におけるフリー・キャッシュ・フローの算定方法について解説があります。そこにあるとおり

 フリー・キャッシュ・フロー=EBIT×(1-法人税率)+減価償却費-設備投資等±運転資本等の増減

なのですが、川金ホールディングスの場合のように永久成長率を0%とすると、継続期間においては「減価償却-設備投資等=0」「運転資本等の増減=0」と仮定されます。法人税率に実効税率30.62%を用いると

 フリー・キャッシュ・フロー=EBIT×(1-実効税率)

従って、

 EBIT=フリー・キャッシュ・フロー÷(1-実効税率)

あるいは

 営業利益とEBITの差額=(フリー・キャッシュ・フロー-税引き後営業利益)÷(1-実効税率)

ということが分かります。この関係を用いて継続期間のEBITを算出した結果がこちらです。あくまで推測ですが、営業利益とEBITの差額が73(百万円)となっており、これが実績最終年度の2020年3月期における受取利息5,459(千円)と受取配当金67,814(千円)の合計と一致しているため、営業利益とEBITの差額として事業最終年度の受取利息と受取配当金の合計額73(百万円)を事業計画の全期間に加減している可能性があります。管理人がアップロードした表はこの仮定に基づいて計算しています。

 過去の実績と照らし合わせてみると、受取利息と受取配当金以外にも受取賃貸料、助成金収入などの営業外収益と債権売却損その他の営業外費用が生じているのですが、これらの和の期待値をゼロと仮定してこれらを事業計画期間で捨象するのは「特段不合理とは言えない」程度のことは言えるのではないかと思います。もっとも、過去には多額の助成金収入を得ていた時期もあり、内部資料にアクセスできる場合などは将来の見通しについてきちんと確認すべきでしょう。