授業を構成する重要な技術の一つとして、指示があります。指示については、「指示待ち」という受動的な子どもの姿の表現もあります。したがって、授業を構想するときなど、発問ほど取り上げられることはありません。それでも、授業の中では、子どもたちの活動を示すのに、指示は必要なのです。

ところで、発問と指示は、明らかに違うものです。しかし、発問と指示が混同されることも少なくありません。というのも、表現が違うだけで発問にも指示にもなりうるからです。例えば、国語科で登場人物の心情を考えさせたいときに、
「このときの人物はどんな気持ちですか?」と問えば発問となるし、
「このときの人物の気持ちを考えましょう」と言えば指示になります。

では、指示と発問をどのように区別すればいいのでしょうか。  

発問は、それを機に子どもたちは思考したり表現したりします。つまり、子どもたちに発見させたり考えさせたりするためのものが発問なのです。したがって、「発問は、子どもたちの思考・表現にはたらきかける」と言えるでしょう。

一方、指示は、それを機に子どもたちは実際に行動したり活動したりします。逆に、子どもたちがそうしなければ、その指示は成立していないのです。したがって、「指示は、子どもたちの行動・活動にはたらきかける」と言えます。  

ただ、活動しながら思考するということもあります。また、表現そのものが活動となることもあります。特に低学年の子どもたちは、活動と思考が未分化と言われ、遊びや具体的な活動や操作をしながら思考します。

このように考えると、なかなか発問と指示を区別しづらくなります。それでも、より思考や表現にはたらきかけるのを発問、より活動や行動に働きかけるのが指示というように捉えるのがよいと考えます。この区別の仕方を適用させれば、前述の登場人物の心情を考えさせるときは、指示ではなく「このときの人物はどんな気持ちですか?」と、明確に問わなければならないのです。

 
 
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