ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

レイニーデイ・イン・ニューヨーク

2020-07-04 23:45:09 | ら行

いろいろ問題を醸したウディ・アレン御大、最新作。

 

「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」70点★★★★

 

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ギャツビー(ティモシー・シャラメ)は地方の大学に通う学生。

ニューヨークに住む裕福な両親のもとで育った彼にとって

都会を離れ、さぞやつまらない学生生活・・・と思いきや

 

キュートな恋人・アシュレー(エル・ファニング)が出来たことで

ギャツビーはもう、ウッキウキ。

カノジョに夢中なのでありました。

 

そんなある日、アシュレーが学校の課題で

有名な映画監督(リーヴ・シュレイバー)にインタビューをすることになる。

 

インタビュー場所がニューヨークと聞いて

「僕も行く!」と、がぜん張り切るギャツビー。

 

高級ホテルをリザーブし、

「あそこでお茶して、あそこでディナーして・・・」と

NYを案内するステキ計画を立てるのだが――――!?

 

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ウディ・アレンの最新作が、ついに公開!

 

ティモシー・シャラメにエル・ファニング、セレーナ・ゴメスと

超・旬!なキャストをもって

ひょうひょうと、軽妙に

男女の「永遠のゴタゴタ」を描いた本作。

 

84歳の変わらぬパッションと技を

十分に堪能できます。

 

ギャツビーという名もストレートな主人公が(笑)

裕福な家に生まれながら、自分探しでグネグネまがり

ニューヨークの「粋」を自然に身にまといつつ

真実の愛を探してさまよう――――というストーリー。

 

自身をティモシー・シャラメに映すような

壮大なずうずうしさ(爆笑)も相まって

やっぱりアレン節!という感じで

 

92分を安定印で、楽しめます。

 

可憐な風貌ながら、野望を胸に秘めた

エル・ファニングもグー。

 

なのですが

この映画に絡まったもろもろを思うと

いろいろ複雑になってしまうのも確か。

 

まあ映画ファンのみなさんはご存じ&ご周知でしょうが

本作の公開前に

ウディ・アレンの28年前の養女にして幼女への性的虐待疑惑が再浮上し、

#MeTooの流れもあいまって

キャストたちが「もうウディとは仕事をしない」とギャラを寄付するなどボイコット。

 

出資元のアマゾンプライムが全米公開を中止した――――という

いわくつきの作品なんですね。

 

ワシは

#MeToo には賛同するし、犯罪行為には絶対の罰を!ってのは大賛成。

なのですが

こと、この件に関しては、実に難しい。

だって28年前の話で、一度は無罪になっているし

最近もまた同じ事で逮捕された――とかというのとは、ちょっと違う。

ワインスタイン事件とかとは明かに異なるんですよね。

 

苦しんでいる人は、声を上げていいし、もちろん助けたいと思う。

 

でも、なにもかもを断罪し、

すべての才能を、それでなかったことにするのは

果たして公正なのか?

 

ということに、性差もなにも関係なく、

違和感を覚えているのは確かなのです。

 

なにより

フレッシュなキャストを起用し、街を愛し、男と女のもろもろを愛し、

作品を作り続けることこそ、

84歳の命をつなぐ糸なのだ、と思う。

 

だからワシはやっぱり、彼に映画を作り続けてほしい、と思うのです。

 

★7/3(金)から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、EBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。

「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」公式サイト


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
作品と...は別 (onscreen)
2020-07-06 11:25:23
と思いたくなるような、素敵な一作でした。
御意! ( onscreen)
2020-07-10 18:41:49
昔を追求されるのは、やや行き過ぎかと。
ですよね。。 (ぽつお番長)
2020-07-16 01:45:31
難しい問題ではあります。
ありますが

雨の日のいま、
はるか遠いニューヨークの雨の一日を
いつまでも脳内リフレインさせる

こんな映画を撮ってくれるアレン監督が
やっぱり好きなのです。

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