ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

i ー新聞記者ドキュメントー

2019-11-16 13:34:17 | あ行

タイトルの意味がわかるラストに、

身が引き締まる思いがしました。

 

*****************************

 

「i ー新聞記者ドキュメントー」75点★★★★

 

*****************************

 

オウム信者を写した「A」シリーズ、

ゴーストライター騒動を追った「Fake」(16年)などで知られる

森達也監督が、

 

今年6月に公開され松坂桃李×シム・ウンギョン主演で大ヒットとなった

「新聞記者」(19年)のモデルともなった

東京新聞・望月衣塑子記者を追うドキュメンタリー。

 

 

いつも大きなキャスター付きのバッグをガラガラ引きながら

(お泊まりセットでも入ってるのかなと思ったけど

森監督への取材によると、中身は全部資料らしいです

 

霞ヶ関を歩き、辺野古や宮古島へ飛び、人々の声を聞く。

籠池夫妻、伊藤詩織さんらとも対話し、

よく食べ、よく話す。 

 

官邸記者会見で管官房長官に鋭い質問を投げ、

妨害されてもめげずに、何度も、何度も繰り返す。

 

そんな姿を追いながら、我々はそこに

昨今のあまりにデタラメな日本の状況を、改めてみることになる。

その不条理と理不尽は

「ギャグかよ!」と笑ってしまうほど酷くて

怒りと呆れが込み上げてきます。

 

さらに浮かびあがるのは

ジャーナリズムが機能してない状況。

 

監督は今回、

官邸での記者会見を取材できなかった。

記者クラブに所属しないフリーランスは門前払いだからです。

特に第二次安倍政権になってから

一人も新たに申請は許可されていないんだそう。

 

その状況を見ると、

望月記者がやっていることの意義がはっきりしてくる。

 

彼女は「入れる」人なんだということ。

 

辺野古で、宮古島で現場で聞いた人々の声を、

記事にすると同時に

直接、政府にぶつけることができる。

 

「記者」とはそういう立場にあるのだ。

 

しかし、だーれもそれをやらないんですよね。

 

 

そのなかで奮闘する望月記者に、

当然、見てる側はどんどん肩入れしていくんですが

 

でも、そこは森監督。

最後に、ある視点を突きつけるんです。

 

これにはハッとさせれた。

 

この映画が見せるのは

結局、我々ひとりひとりが

「あなた、どうなんですか?」「大丈夫ですか?」ということなのだなと

ワシはたしかに、受け取りました。

 

おなじみ「AERA」で森監督にインタビューさせていただいてます。

ニュース記事として

11/25発売に掲載されると思います。

ぜひ、映画と併せてご一読くださいませ~

 

★11/15(金)から新宿ピカデリーほか全国で公開。

「i ー新聞記者ドキュメントー」公式サイト


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« グレタ GRETA | トップ | リンドグレーン »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

あ行」カテゴリの最新記事