ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

半世界

2019-02-15 23:42:01 | は行

さあ、「普通」がこんなにおもしろいですぞ!(笑)

 

「半世界」76点★★★★

 

**************************************

 

とある山間の地方都市。

紘(稲垣吾郎)は、父から受け継いだ炭焼き窯で

備長炭を作る炭焼き職人だ。

 

ある日、自衛隊員として海外派遣されていた

旧友・瑛介(長谷川博己)が

突然、町に帰ってきた。

 

紘は地元の旧友の光彦(渋川清彦)にも声をかけ、

紘の妻・初乃(池脇千鶴)の手料理で、久々の酒を酌み交わす。

が、瑛介の表情は硬く、暗く、

何か深い事情があるようだった。

 

事情を聞くに聞けない紘たちは

いろいろ瑛介の世話を焼こうとするのだが――?

 

**************************************

 

阪本順治監督。

安心品質、は想像してたけど、それ以上でした。

 

稲垣吾郎氏、長谷川博己氏、渋川清彦氏、そして池脇千鶴氏――

みんな、いい!(シンプルだな、おい。笑)

 

舞台となる山村も、そこに居る人も、しっかり「存在」していて

心のなかに、ずっと彼らのいた形跡が残るような。いいっしょ?w

 

 

ワケありらしく故郷に戻ってきた親友・瑛介(長谷川博己)を、

悪友たち(稲垣吾郎、渋川清彦)が気にかけてやる。

 

瑛介の事情は深そうで

「何があったのか」なかなか話を聞き出せないけど

しかし、故郷で人生やってきた悪友たちにも

いろいろうまくいかないことはあるんだよなあ――と、いうお話。

 

まず炭焼き職人という

仕事設定にすごく惹かれるものがあった。

 

地元で40年、それなりに生きてきた彼の

やや惰性と諦めに傾いていた日常が

旧友の帰還をきっかけに、すこーし変わっていく、

その過程も丹念でよかった。

 

演じる稲垣吾郎氏も

いやいや「フツー」をうまくこなしていて、びっくりしました。

 

地場産業の職人には、ずっと尊敬と憧れがあったけど、

監督は、その状況の大変さもしっかり見せてくれて

ちょっと切なくもなったなあ。

(そうか、焼肉屋が閉店したら、炭も切られるんだ!とか

新規開拓の営業に行くところとか。

うう、フリー稼業はつらい!

 

元自衛隊員で、

意外な武闘派っぷりをみせる長谷川博己氏も

前半の沈黙から一転、

後半は「シン・ゴジラ」を思わせるハキハキ体育会系&キレた芝居で魅せるし

 

なにより、池脇千鶴氏のすごさに目を奪われた。

 

地方主婦のもっさり&どっしり感を漂わせつつ、

かわいらしさと艶もあって

 

夫と向き合ってミカンを食べながら、

「なーに馬鹿なこといってんの」と一笑に付す

あのシーンに

ワシ、樹木希林さんの片鱗をみましたよ(なんか、嬉し涙)。

 

★2/15(金)からTOHOシネマズ日比谷ほかで公開。

「半世界」公式サイト


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
出演者が魅力的 (ippei)
2019-02-18 23:34:07
はじめまして
ブログランキングから来ました。
阪本順治監督もいいですけど、キャストも魅力的ですね。
ですね (ぽつお番長)
2019-02-20 01:32:40
お立ち寄りいただき
ありがとうございます!

ホントにキャストが素晴らしかった。

いまでも、彼らは
あそこに暮らしてるんだと思います。

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