ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

1917 命をかけた伝令

2020-02-15 01:03:51 | あ行

祝・アカデミー賞撮影賞受賞!

戦争ものかあ、と最初は正直、思いました。

でも、

これを観ないのはモッタイナイ!

 

「1917 命をかけた伝令」75点★★★★

 

************************************

 

1917年。

第一次大戦のまっただ中にある、フランスの西部戦線では

ドイツ軍と連合軍が、にらみ合いを続けていた。

 

そんななか

連合軍に属する若きイギリス兵士スコフィールド(ジョージ・マッケイ)と

ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)は

ある重要な任務を受ける。

 

それは、撤退したかと見せたドイツ軍が実はワナを張り、

先発した連合軍を待ち構えている、というもの。

翌朝の攻撃開始までに、その伝令を届けなければ、

味方全員が全滅する、というものだった。

 

二人の若き兵士は

ドイツ軍が築いたトラップのなか、

伝令を届けるべく、走り出すのだが――?!

 

************************************

 

第一次大戦中に、ある伝令を託された

二人の若き兵士のミッションを

止まることなきワンカットの方式で追う作品。

 

ホントに一度も止まることなくカメラがまわってる!

・・・・・・ようにみせて、実際は巧みにつないでいるそうですが

いや、長回しには変わりなく

誰も失敗できない!という、その緊張感はハンパないす。

 

それを実現した、名匠ロジャー・ディーキンスの超絶カメラワーク!

「ファーゴ」(96年)に始まり、コーエン兄弟のほとんどの作品を手がけ、

「プリズナーズ」(13年)「ボーダーライン」(15年)

そして「ブレードランナー 2049」(17年)

についで、アカデミー賞撮影賞を受賞した"マスター”ですからね。

 

このアイデアを思いついたら

ワシだって絶対に、まず彼のスケジュールをおさえただろうなあと思う。

映画にカメラマンがどれだけ重要な存在かを

身にしみて感じさせたことも、また功績だと思うんです。

 

「レヴェナント 蘇りし者」(15年)

カメラマン、エマニュエル・ルベツキと、このロジャー・ディーキンスは

ワシだったら絶対おさえたいカメラマンNO.1、NO.2なのだ(笑)

 

それに

戦火の没入感200パーセントな感覚は

決してアトラクション的な体験に終わらず、

「戦争とはなにか?」を、我々に確実に残してくれるんです。

 

敵陣を横切る「正気か?」な作戦のもと

伝令を届けることになった二人の兵士。

 

一歩先がわからないスリルと、行く先々で彼らが見る光景を

観客も体感することになる。

 

屍を踏みながら、彼らと走り続けることで

いやでも

何のために戦っているのか? どれだけの犠牲を払って?と

戦争の無意味と、虚しさを感じるはず。

 

それは、大事な感覚だと思うのです。

 

サム・メンデス監督が祖父から聞いた体験がもとになっていると聞いて

なるほど!と納得しました。

 

 

最後の最後にたどり着いた先で出会うのが

あの人、という

あの存在感もたまらないですね(笑)。

 

★2/14(金)から全国で公開。

「1917 命をかけた伝令」公式サイト


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3 コメント

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Unknown (大阪マラソン)
2020-02-15 17:19:13
 全編ワンカットではなく流石に全編ワンカット風ですよね。これはこれで緊張感があり良かったですわ。
 あと、カンバーバッチ氏はある種の異相俳優で見ただけで彼と判りますよね。

 ついでながら、番長の文章の中の「抑える」はこの場合は「押さえる」を使うほうが良いと思うのですが....。
ド迫力! (onscreen)
2020-02-15 17:22:31

ド迫力!

ではありましたね


なんだけど...
たしかに (ぽつお番長)
2020-03-08 17:30:25

たしかに
押さえる、ですね。
直しておきます。
ご指摘ありがとうございます。

そしてこの作品、たしかに
迫力あれど、と
けっこう厳しい評価も聞こえてきています。
難しいですね。

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