ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ

2018-10-17 23:52:51 | な行

 

189分!

でも、寝なかったぞ!(笑)

 

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「ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ」73点★★★★

 

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巨匠フレデリック・ワイズマン監督が

ニューヨークのクイーンズ区北西に位置する

“ジャソンハイツ”の街を映したドキュメンタリ-。

 

189分!の長尺とあって、やはり身構えるんですが、

うん、これはちょっとした旅行に行く気分で臨むのがいいと思う。

 

ジャクソンハイツをフラリと訪ねて

一週間ほど滞在した気分になれるんです。

 

 

ジャクソンハイツは世界中からの移民が暮らし、

167もの言語が飛び交う「多様性」の街。

 

ワイズマン監督はおなじみ「観察映画」の手法で

街のモスク、教会からレストラン、集会所、コインランドリーと

さまざまな場所を「観察」していく。

 

その静かな視線のなかに、

異なる宗教を持つ人々、不法滞在者、セクシャル・マイノリティなどなど

そこに暮らす人々の横顔が、立ち現れてくる。

 

やっぱり「人間」を見つめるのって、

おもしろくて飽きないんですよねえ。

 

そして同じ道、同じ角、同じ店を見ているうちに

我々も、この街に滞在したような気分になれるのが楽しい。

 

旅先の土地のスーパーが次第に馴染みになる楽しさ。

日がな一日、ぶらりと街を歩き、店を冷やかし、

普通なら入るのに躊躇しそうなタトゥー屋や夜のクラブにも潜入できちゃう。

 

でも、この個性的な街でも

昔ながらの個人商店が徐々に消え

大企業(例えばGAPのような)に取って代わられる“再開発”が進められている。

 

それは「現代アメリカ」の姿を映すと同時に

 

東京都内のさまざまな沿線駅に

ルミネができ、スタバがあり、便利でキレイだけど

なんか、どこも画一的――というような状況と

まあそっくりだよなあと思うわけです。

 

街を見ることが、いまを考えることにつながる。

そんな映画体験でした。

 

★10/20(土)からシアター・イメージフォーラムで公開。ほか全国順次公開。

「ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ」公式サイト


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