「永遠の子どもたち」に通じる
これぞスパニッシュホラーの正統系譜!
「マローボーン家の掟」73点★★★★
************************************
1960年代の米・メイン州の古い屋敷に
マローボーン一家が引っ越してきた。
シングルマザーである母ローズ(ニコラ・ハリソン)と
責任感の強い長男(ジョージ・マッケイ)、
妹、弟、そしてまだ幼い末の弟の5人家族は
祖国イギリスでのある過去を捨てて、新たな一歩を踏み出そうとしていた。
だが、ほどなくして母ローズが病に倒れ
亡くなってしまう。
力を合わせて生き抜くことを決意した
4人の子どもたち。
が、それ以来、
屋敷に不気味な現象が起こり――?!
************************************
うわ、こっわ!
でも、こうして新しいものに出会えるから
ホラーは怖いけどやめられない!んですよねえ。
ギレルモ・デル・トロが製作総指揮した
「永遠の子どもたち」(07年)のJ・A・バヨナ監督が
今度は「永遠の~」の脚本家が監督した
この映画を製作総指揮している。
スペイン映画界の“ホラー&ダーク”の才能の系譜が
脈々と受け継がれている、って状況に
熱くなると同時に、鳥肌立つというか(なんなんじゃー!)
で、映画はというと
やっぱり単なる“脅かし”ではなく、
ラストもきちっと収束した、見応えある物語でした。
冒頭から恐怖をあおるようなことはせず、
どこか穏やかな「ことの後」のような雰囲気を漂わせるあたりが、実にうまいし
その穏やかさに
「これ、ホラーなの?」という疑問符を持ちながらスタートし、
のちに、そんな「ことの後」感さえも
伏線になっていた――とオチるんですよね。
白昼の光のなかで“怖さ”を演出する挑戦、
子ども使いの巧み、
根源にある“悲しみ”――
さらに、直接的ではなくとも
どこかにスペイン内戦という近い歴史と悲劇を
忘れずに内包し、血肉にしている感じは
昨今、国際的評価を得ている作家に共通しているものだと感じます。
それにね、途中まで、ある程度は想定できたけど
このラストは想像しなかったなあ!
ぜひ、劇場で
ヤラレタ!となってください。
それが楽しいんだと思うのです。
★4/12(金)から新宿バルト9ほか全国で公開。