ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

鵞鳥湖の夜

2020-09-26 23:34:05 | か行

闇とネオンと滴る雨が、艶っぽいんだわー。

 

「鵞鳥湖の夜」71点★★★★

 

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2012年、中国南部。

再開発から取り残された鵞鳥湖の周辺では

ギャングたちの縄張り争いが激化していた。

 

バイクの窃盗団を率いていたチョウ(フー・ゴー)は

対立する相手とのもめ事に巻き込まれ、あやまって警官を射殺してしまう。

 

全国に指名手配されたチョウは

せめて元妻と息子に、自分にかけられた懸賞金を残そうと考える。

 

が、チョウの前に現れたのは

妻の代理と名乗る謎の女(グイ・ルンメイ)だった――。

 

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「薄氷の殺人」監督によるノワール・サスペンス。

中国南部。湖の周りの、さびれたリゾート町。

逃げる裏社会の男が謎の女と出会う――。

 

って、まずタイトルがミステリアスで粋ですよねえ。

 

で、逃げる男の前に現れた「妻の代理」を名乗る女。

「お前は一体、何者なんだ?」と

お互いを慎重に探り合い、

追いつ追われつ、いつしか共鳴し合う二人。

だが、その先にあるものは――。

すべてを知るは闇夜の静かな湖面――――デデデン♪的な

実にムード満点の映画。

 

 

中国・フランス合作で

滴る雨、月夜の湖面、極彩色のネオンなど

鮮やかなのにどこか沈鬱で、色香漂う映像が、

いつまでも後を引く。

 

主演のフー・ゴーは西島秀俊氏と阿部寛氏を足して

色気をさらにふりかけたような色男だしね。

 

こういう映画を観たあとには

夜の繁華街をフラリ、ゆらり、漂いたくもなる。

 

そんな映画体験が、ごく当たり前にできる日常が

手探りでも、少しづつ戻りつつあることに、

かすかーな喜びを感じるのでした。

 

★9/25(金)から公開中。

「鵞鳥湖の夜」公式サイト


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