ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

盆唄

2019-02-14 22:31:06 | は行

 

「ナビィの恋」中江裕司監督が、福島を撮った。

 

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「盆唄」70点★★★★

 

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2015年、福島県の双葉町。

帰還困難区域に指定されたこの町には

かつて「双葉盆唄」が歌い継がれていた。

 

双葉を離れ、いまも避難生活を送る横山久勝さんは、

盆唄に欠かせない太鼓作りの名手だったけど

いまはもう作ってはいない。

町民たちは散り散りになり、盆唄は存続の危機にあった。

 

そんなとき、横山さんたちは

ハワイの日系移民の間に盆唄が受け継がれていると知る――。

 

沖縄をベースに作品を撮ってきた中江監督が福島を撮る?どんなんだろう?と思ったら

やっぱり

普通のドキュメンタリーとはひと味もふた味も違っていた。

 

舞台はハワイに飛び、富山に飛び

アニメーションが挟まるわ、歌のステージがはじまるわ

やっぱり中江監督らしいかも(笑)

 

震災、原発事故、避難民、という悲劇はあっても

映画に悲壮はなく、

写る人々も、写す目線にも、やっぱり人肌のぬくもりがあって

あったかい。

 

100年以上も前にハワイに渡り、福島とハワイをつないでいた「盆唄」。

さらに我々は、双葉町の相馬地域の人々が

200年以上前に大凶作や疫病にみまわれ

富山に移民として渡ったという歴史の事実も知ることになる。

 

人の世にはこうして

長い長い時間をかけて、「継がれていくもの」が確かにある。

そして、人間って、けっこう強い。

 

そこに、希望があるんだと

ほわ、っと思えました。

 

おなじみ「AERA」の「いま観るシネマ」で

中江監督にインタビューをさせていただいております。

なぜ、福島にカメラを向けたのか。

帰還困難区域に初めて足を踏み入れたときのこと――

そして、待望の次回作のことまで

お話を伺っております。

 

2/25発売予定です。ぜひ映画と併せて、ご一読くださいませ~

 

★2/15(金)からテアトル新宿ほか全国順次公開。

「盆唄」公式サイト


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