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短時間労働者の社会保険加入、“契約と実態との乖離”の判断基準は?

2019-01-13 09:59:17 | 労務情報

 健康保険法・厚生年金保険法が改正され、いわゆる「社会保険の適用拡大」が実施されて久しい。
 それまで、短時間労働者の社会保険適用に関しては、労働時間・労働日数が通常の就労者の概ね4分の3以上であるかどうかを1つの基準として判断されていた(昭和55年6月6日付けの厚生省内翰(ないかん)による)。それが、改正法(平成28年10月1日施行)では、この「4分の3基準」が法律に明記され、加えて、被保険者総数が常時500人を超える事業所における「週所定労働時間が20時間以上」その他の要件を満たした短時間労働者についても適用対象とすることとなった(健康保険法第3条第1項第9号、厚生年金保険法第12条第5号)。

 さて、この「4分の3」および「週20時間」は、“所定”労働時間数や“所定”労働日数、すなわちパートタイマー向け就業規則や個別の労働契約書等で定められた契約上の労働時間数や労働日数により判断するのを基本とする。
 しかし、恒常的に所定外労働があって実際の労働時間数・労働日数と乖離している場合は、次のように取り扱うこととされている。
  ①所定労働時間又は所定労働日数は4分の3基準を満たさないものの‥、実際の労働時間又は労働日数が直近2月において4分の3基準を満たしている場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、当該所定労働時間又は当該所定労働日数は4分の3基準を満たしているものとして取り扱うこととする。
  ②所定労働時間は週20時間未満であるものの‥、実際の労働時間が直近2月において週20時間以上である場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、当該所定労働時間は週20時間以上であることとして取り扱うこととする。
(厚生労働省通達:平成28年5月13日 保保発0513第1号 年管管発0513第1号、平成29年3月17日 保保発0317第2号 年管管発0317第5号により一部改正)
  分かりやすく言い換えれば、4分の3以上または週20時間以上であるのが“2か月連続”までなら社会保険の被保険者とならないが、“3か月連続”になるなら、3か月目の初日に被保険者資格を取得する、ということだ。

 日本年金機構の総合調査(健康保険法第204条第1項第19号・厚生年金保険法第100条の4第1項第36号により厚生労働大臣の権限を委任されている)では、このような観点で従業員の出退勤記録をチェックされる。そして、社会保険料の納付(徴収)の時効が2年間であるので、昨年10月以降は、調査対象となるすべての期間において新基準が適用されていることも、承知しておきたい。


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