ジュエリー職人の父の代表作のムーンシュタイナーリング
今日は父の日。
この日を迎えるといつも思い出す,ジュエリー職人だった父の作品があります。
本当に「凄い!」と思った、懐かしいジュエリー。
紹介します。
この日を迎えるといつも思い出す,ジュエリー職人だった父の作品があります。
本当に「凄い!」と思った、懐かしいジュエリー。
紹介します。
1980年、ドイツの世界的カットアーティスト、ベルンドムーンシュタイナー氏の手によるシトリンにダイヤモンドをあしらったk18イエローゴールドリングです。
確か完成したのは、父の下で見習いを始めて間もない頃。
当時コンビを組んでいた、数々の受賞歴を持つ山梨の名ジュエリーデザイナー桐戸寿彦氏から、「こんなの出来ませんか?」とシュタイナー氏のシトリンと、ひとつのデザイン画が渡されました。
それは、まるで石が宙に浮いているかのような、上からは全く枠が見えない状態。
シトリンは透明なため、透けて枠が見えるのはNG。
しかも、石の上にS字にカーブしたダイヤモンドを彫り留めしたパーツが乗っているため、上から枠に入れることさえできない。
父はひとつ条件を出しました。
「上以外のデザインは、全部こっちに任せてもらう」と。
プラス、「デザイン的に爪が何本もあるのは綺麗じゃないから、一本で留めてみせる」
と、自分でハードルを上げたのです。
と、自分でハードルを上げたのです。
当時正直、父は無謀と思いました。
まだ経験浅い自分には、どう考えても石は絶対留まらない。
まだ経験浅い自分には、どう考えても石は絶対留まらない。
でも、父には勝算がありました。
シュタイナーカットと言われた、裏に刻まれた独特の溝です。
枠がその溝に引っかかれば、必ず留まると踏んでいたのです。
枠がその溝に引っかかれば、必ず留まると踏んでいたのです。
もうひとつ、石が上から入れられない問題は、横から滑り込ませることでクリアさせると。
しかも、上から透けて見えないように作ると言ったのです。
しかも、上から透けて見えないように作ると言ったのです。
そして、その通りに作ってみせました。予想以上にスッキリと。
繊細で大胆。緻密な計算にもとづいたものづくりに、父ながら感動したのを覚えています。
のちに、今も発刊されている『宝石の四季』というジュエリー雑誌に掲載されました。
急逝して13回忌を迎えた今も、父の残したジュエリーたちは、輝きを失ってはいません。
自分もひとつでもそういう仕事をしたいと改めて思った、父の日でした。
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