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山本文緒 「みんないってしまう」
 
恋人が出て行く、母が亡くなる。
永久に続くかと思ったものは、みんな過去になった。
物事はどんどん流れていく・・・数々の喪失を越え、人が本当の自分と出会う瞬間を鮮やかにすくいとった珠玉の短篇集。
 
山本文緒さんの小説を読み漁っているが、この短篇集も面白かった。
 
特に心に残ったのが「ライフ」
母子家庭で子どもが3人(一番下は赤ん坊=スウちゃん)がいるのに、後先考えず不倫相手の身ごもる母と人生45点でも人様に迷惑がかからないなら人生が幸せな姉(主人公)
そんな家庭で育った、妹のミキだけが、自分にはまともに見える。
高校生のミキは家庭での不満が爆発。家出して、将来スウちゃんを引き取ると言った時の主人公=人生45点の姉の心の声・・・。
「ミキは将来スウちゃんを引き取りたいと言ったけれど、それだけは反対しよう。ミキはきっとスウちゃんに95点を求めるだろう。私とハハなら、45点の人生でよかったと笑ってあげられる。人様に褒められなければ充実しないような人生を否定してあげる。」
十人十色。
人には色んな考えがあるが・・・45点で幸せになれる人。なれない人がいる・・・。
他人の人生なので否定はしないが、きっと、自分は常に80点を目指して生きているなのだろうと思う・・・。
だから疲れるのだろうか?
 
著者のあとがきにもあったが、「物事は思った以上に早いスピードでながれていく・・・。」
年を重ねると月日が流れるスピードが加速していく・・・。
人生は思いのほか短い・・・。
人生を終えるとき、自分が45点の人生だったら満足できるのか考えると・・・満足できない気がする・・・。
 
 
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