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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第一部 第8章−5 マウスピークスとディベート

2020-02-21 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 

 そのまま死んでしまえたらいいなと思っていた。

 だけど、ディベート仲間たちが噂を聞きつけてアパートをのぞきに来て話をしたり出前のピザを食べたりしてるうちに、このまま負けちゃうのがくやしくなって、それからはディベートと勉強に精を出すようになったの。

 男性不信になってたから、時間だけはあったわ、ウフフ。

 学部時代にはディベート大会ではいつも入賞して、大学院でも成績はストレートAだったわ。けど、徹夜してはコーラを飲みながらお菓子を食べてたので、気がついたらこんなに太ってしまったわ。

 だけど、気持ちが満たされるのはいつでも瞬間だけ。大会で相手を破っても、よい成績を取っても。すぐにむなしさで胸に穴が空いたようになる。だから次々にゴールを設定してはがむしゃらにがんばってきたわ。

 そんな時よ。大学院二年目でもうすぐ修士論文が終わろうという時、神導書アポロノミカンのことを聞いたの。

 あれからの私の人生は、つねにアポロノミカンと共にあったの。

 歴史の転換点には、常に存在してきたと言われる謎の神導書アポロノミカン。探し求める者たちの努力を嘲笑うかのように、木枯らしの中を舞う病葉のように彼らの手をすり抜けて行っては、歴史の裏舞台で重大な役割を演じてきた。ソ連のスターリン、ナチスの指導者ヒットラー、中国統一を成し遂げた毛沢東など、噂の域を出ないにしても歴史上、アポロノミカンの力を借りて権力の座についたと言われる人物には歴史上枚挙に暇がないわ。

 私は夢中になった。

 誰もその研究を完成させられないのなら、わたしがしてみせると過去二十年間研究をしてきたの。「アポロノミカン」は一般人には存在さえあまり知られていないだけに記録が残っていることは少ないの。

 数少ない記録の一つが、

 

 ・・・・・・竜延香の香りを持つ赤子

 麝香の香りを持つ赤子が現る刻

 パラケルススの運命が終わりを告げる

 そしてゲームが始まりを告げる・・・・・・

 

 ごめんなさい。初めて会った時にすぐ香水でわかったわ。

 神導書に予言されていた子だって。

 今回アポロノミカンがからんでいるなら、あなたの身に危険が降りかかってくる。孔明は目覚めかかっているけれど、他のLUCGのメンバーたちにはまだ自覚はない。あなた自身も完全な目覚めはしてない。

 いい、注意してちょうだい。このままでは済まない。何か大変なことが起こるわ。

 

      

     

 

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