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テーマ:楽しい俳句(372)
カテゴリ:現代俳句
第25回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ
(第25回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。 石口 榮(編集長)選 36水底にあめんぼの影児らの影 64空襲のフラッシュバック昭和の日 特選76囀りに賞味期限の無き妻よ/高橋透水 94花は葉に背中の痒い改憲論 106とりあえず十八歳というおぼろ 139初めてと言ったのはうそ花衣 145花種を蒔いて誰かの応援歌 (選評)特選にいただいた76「囀りに」の句。囀りとは夫婦の会話のことだろうが、小鳥の囀りとも重なっている。妻との会話を楽しみつつ、賞味期限がないいい妻だなあと改めて思っている作者。ややお惚気かもしれないが、そんな手放しの句もいいものだ。 36「水底に」の句。澄んだ水底にあめんぼと子供の影。リフレインが景を際立てる。「水底」と詠んで一句になった。 64「空爆の」の句。戦時体験者であろうか。ロシア軍のウクライナへの空爆を見て、突然空襲のことが蘇ったのであろう。季語「昭和の日」が動かない。 94「花は葉に」の句。ウクライナの戦禍を目の当たりにして改憲論が加速。九条を変える,変えないの思いが「背中の痒い」に表白されている。 106「とりあえず」の句。今年の四月から成人年齢が二十歳から十八歳になった。どこが変わったのか新成人は理解していない。まさにおぼろ。「とりあえず」が言い得ている。 139「初めてと」の句。句意は多様にとれるが親友と何処か桜の名所に出掛けてのこと。実は以前何回か訪れているものの初めてのふりをしているのだろうか。そのギャップの諧謔性に惹かれた。 145「花種を」」の句。花を咲かせ見る人の心を和ませ元気と勇気を与える。応援歌に共鳴。 小髙沙羅(副編集長)選 17隙間時間や蚕豆の茹で上がる 特選60 囀や今日働けば明日休み/高矢実來 72すしり兜太ずしり武甲の春夕焼 99かたくりやゆっくり回れ花時計 145花種を蒔いて誰かの応援歌 154パソコンのごみ箱あさる四月馬鹿 163躑躅咲く笑ったあとのさみしくて (選評)特選にいただいた60「囀や」の句。いつの時代もだれもが今日という日を精一杯生きている。鳥たちも美しい声で恋の歌を歌っている。今日働ける幸せ、そして明日の休みの楽しみ。労働を肯定し明日を信じている作者の気持ちに共感。 17「隙間時間や」の句。隙間時間の言葉が新鮮。生活のちょっとしたゆとりだろうか。 72「ずしり兜太」の句。兜太先生は没後さらに「ずしり」と存在感を増している。最近、柳生正名氏が『兜太再見』を刊行された。句は春夕焼の情感が快い。 99「かたくりや」の句。時計なのだから「ゆっくり回れ」はないのだが、そういってあくせくするなと、自分にいい聞かせているのだろう。その措辞に惹かれた。 145「花種を」の句。応援したり応援されたり。そんな日常が大切。 154「パソコンの」の句。うっかり「ごみ箱」にいれて慌てることも。 163「躑躅咲く」の句。感情は上がったり下がったり。笑うことばかりではない現実をしっかりと見つめている句。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 特選46 春なれやああこの春に躓いて/古川塔子 95春埃いつか死ぬけどドリンク剤 100入学式手と足合わぬ子がふたり 143想うこと言わずにおこうシャガの花 149やっぱりねパパも福耳入学児 161種案山子少し派手めの服を着て 162生きてきた歳月強し桜東風 (選評)特選46「春なれや」の句。芭蕉の「野ざらし紀行」(春なれや名もなき山の薄霞)を踏まえての句「なれや」は謡曲などに用いられる言葉で、詠嘆の意を表し「春なればにや」の略とする説もある。この句はぽかぽかといい陽気に気が緩んだのか躓いてしまった。何に躓いたのか解からないがこれは心象ともとれる。かなり落ち込んでいるのだと思いきや三日もすると、濡れ草が立ち上がるように復活。躓いても懲りずに中途半端な学習しかできない。あれ、これって私のことだ。どこかで見られていたのかと想像が膨らみ「ああ」の嘆きも苦笑いしつつ共感した。 95「春埃」の句。いつか死ぬけどなんて言いながら、忘れずに薬も飲んでドリンツク剤も飲んでいる。ラジオ体操もしていそうだ。死と春埃の軽さの対比。 100「入学式」の句。入学式の緊張感が伝わってくる手と足が合わぬ子がふたり、このふたりとしたことでにわかに景がはっきりとしてきた。 143「想うこと」の句。人それぞれの性格で思ったことをすぐ言ってしまい後悔することがある。季語のシャガの花のしとやかで控えめな感じが効果的。 149「やっぱりね」の句。耳たぶの大きい耳は福耳といわれ幸福になるしるしといわれる。入学式で親子が並んでいると、パパの耳も福耳だ「やっぱりね」が発見。大きな夢もかないそう。 161種案山子の句。種案山子は苗代に種を蒔いたあとに立てる案山子。案山子のイメージは色褪せた古着を思いがちだが、派手な服とは今風の農作業だろう。 162「生きてきた」の句。季語の桜東風は地方によって呼び方はさまざまで荒れ模様の天気、漁民にとっては厄介である。しかし句は「歳月強し」と言い切って、これまでの生きざまを肯定的にとらえているのだろう。その自信が素晴らしい。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選 14花どきの父の忌疫病の床にいて 特選59まず始めはロールキャベツに春キャベツ/石口りんご 66白き歯は営業ツール風光る 78悲しみと怒り吹き込む紙風船 120春日傘グレイヘアーにあと少し 143想うこと言わずにおこうシャガの花 143やっぱりねパパも福耳入学児 (選評)特選にいただいた59「まず始め」の句。春キャベツの葉の柔らかさがまず目に入ってくる。そして剥き始めからそのまま使えるしなやかな葉、ロールキャベツにぴったり。春キャベツが出ると私もロールキャベツを作りたくる。作者のちょっと興奮した嬉しそうな顔が見えて新鮮な一句となっている 14「花どきの」句。せっかくの父の忌に自分が流行性の病気になってしまった。せっかくの桜の時期なのに。お父さんに申し訳ないような気持で床についている作者なのだ。 66「白き歯」の句。白い歯は気持のいいものだ。それを武器に人と接する仕事をしている。季語の風光るがよりいっそう清潔感の溢れる句にしている。 78「悲しみと」の句。戦争、殺人、人身事故。この世には沢山の悲しみや怒りが渦巻いている。風船にその思いを吹き込んでいる作者なのだ。 120「春日傘」の句。今の時代はグレイヘアーはお洒落なファッションである。がきれいな色になるまでが我慢のしどころ。この句はあと少しという感じがする。春日傘がやさしく庇ってくれている。 143「想うこと」の句。今まで生きて来てそういうことが何度もあった。が結果的にはそれで良かったという方が多かった気がする。作者もやさしいシャガの花を見てぐっとこらえたのだ。 149「やっぱりね」の句。よく親の悪いとこばかり似て、といわれるがこの句は一番目立つ良いところが似たのだ。パパ似の福耳がこれからも素晴らしい人生を歩んでいけそうな予感さえする。 鈴木砂紅(招待)選 52年の差の縮まる親子蕗の薹 86野火新た柩に古きもののなく 94花は葉に背中の痒い改憲論 特選126俳諧自由大滝を鯉登りつつ/松田ひろむ 145花種を蒔いて誰かの応援歌 171登り棒のてっぺん孤独春の星 182薔薇園のところどころに相聞歌 (選評)特選に頂いた「俳諧」の句。何よりこの気宇壮大な景と俳諧のぶつかり合いに鷲掴みされた。写生だの心象だの、あるべき論の一切を吹っ飛ばして俳諧に向っていくとき、鯉は龍になり、俳人は自由人になる。 52「年の差」の句。共に年を経て行く過程で、親子は年の差を超えた共同体となって行く。蕗の薹の温かさが余韻を残す。 86「野火」の句。野火は点火の度に新しく、柩もまた死を迎える毎に新造される。何の不思議もないことだが、取り合せの妙に惹かれた。 94「花は葉に」の句。ロシア侵攻以来、やけに改憲の文字が目につく。全く厄介な背中の痒みだ、なんて寝ぼけたことを言っている場合なのか。 145「花種」の句。種を蒔き、咲く花を待つのは自分のためだが、他者のためでもある。誰かの応援歌を唄いたい、聞きたいという優しさと強さ。 171「登り棒」の句。登り棒は小学校でよく見る遊具。誰もいない孤独と、登り詰めた子の孤独とが同時に見えるのは俳句のマジック。 182「薔薇園」の句。薔薇には女性の名や愛の言葉が添えられる。それが相聞歌であれば、息苦しさも少し救われる。西洋花と雅語の優しい共存。 松田ひろむ(代表)選 特選12愛の変形束縛の春キャベツ/吉村きら 19カ―ネ―ション正解のない親子像 29鯉のぼり龍になりたくないと言う 52年の差の縮まる親子蕗の薹 61草笛や一度覚えたことならば 78悲しみと怒り吹き込む紙風船 92花仰ぐいつか一人になる二人 115蒲公英と童小さな嘘をつく 120春日傘グレイヘアーにあと少し 準特選139初めてと言ったのはうそ花衣/川崎果連 準特選158蛙鳴くつくばに未来研究所/宮 沢子 (選評)特選にいただいた12「愛の変形」の句。愛といってもいろいろあるが、愛といいながら束縛することも多々。やわらかい春キャベツはそのまま味わいたいものだ。 準特選の139「初めてと」の句。いろいろな意味にとれる句。異性体験ととるのが普通かも。ここから花衣に象徴される女性を主人公にしたドラマの始まり。ただ「うそ」といえば分かりやすいが、本当は別の言葉にしたいところ。 同じく準特選の158「蛙鳴く」の句。つくば学園都市。したがって未来は付くといえば付くが。蛙がいかにも古き日本。新旧混在の日本のありようかも。 19「カ―ネ―ション」の句。カーネーションは母の日のシンボル。親子関係も悩みの種。 29「鯉のぼり」の句。これも親子関係か。かつては大学に進学できなくて泣いたが、いまは進学できるのに拒否する子も多いという。 52「年の差の」の句。親子の句がつづく。蕗の薹を探していると親も子に戻ってしまう。 61「草笛や」体で覚えたことは忘れない。草笛も俳句も。 78「悲しみと」の句。紙風船に息を吹き込む句は多いが、これもその典型。悲しみと怒りと併せて思いが深くなった。 92「花仰ぐ」の句。長寿の夫婦、かつては共白髪といったが、それもいつまでもというわけにゆかない。切ない一句。 115「蒲公英と」小さな嘘ならいいのだが。幼いながらも悩みはいつもあるもの。 120「春日傘」の句。「グレイヘアー」を肯定的にとらえている感覚だろうか。春日傘が明るい。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位76囀りに賞味期限の無き妻よ 8 高橋透水 二位94花は葉に背中の痒い改憲論 7 高橋透水 三位19カ―ネ―ション正解のない親子像 6 吉村きら 三位139初めてと言ったのはうそ花衣 6 川崎果連 五位92花仰ぐいつか一人になる二人 5 岡崎久子 五位100入学式手と足合わぬ子がふたり5 石口りんご 五位106とりあえず十八歳というおぼろ5 宮 沢子 八位52年の差の縮まる親子蕗の薹 4 宮沢子 八位78悲しみと怒り吹き込む紙風船4石黒宏志 八位113しゃぼん玉明日を信じられた頃 4村きら 八位145花種を蒔いて誰かの応援歌4小平湖 十二位29鯉のぼり龍になりたくないと言う3鈴木砂紅 十二位120春日傘グレイヘアーにあと少し3高矢実來 十二位3図書館に立夏窓辺に竹さわぐ3木野俊子 十二位64空襲のフラッシュバック昭和の日 3高橋透水 十二位95春埃いつか死ぬけどドリンク剤 3翠雲母 十二位149やっぱりねパパも福耳入学児3石口りんご 十二位154パソコンのごみ箱あさる四月馬鹿3石口榮 十二位171登り棒のてっぺん孤独春の星3小平湖 (第25回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1シャボン玉ロシアの愛はどこいった 1 翠 雲母 2花衣患者衣に替え恙なし 0 古川塔子 3図書館に立夏窓辺に竹さわぐ 3 木野俊子 4野遊びのリンボーダンス崖っぷち 0 川崎果連 5春愁う戦の終わる日を願う 0 古川和美 6花冷の銃口鹿を照準す 0 磯部薫子 7壁ドン白書落とし所の紫木蓮 0行成佳代子 8道草の始め子猫に懐かれて 2 小平 湖 9花散るやまだこれからと腰たたく 0 石黒宏志 10氏素性偽らぬ蜆味噌を溶く 0 高良和子 11男爵の館の冷ゆる薔薇つぼみ 0松田ひろむ 12愛の変形束縛の春キャベツ 1 吉村きら 13節電の協力あれば朝桜 1 古川和美 14花どきの父の忌疫病の床にいて 2 古川塔子 15筍や米屋の見ない街となり 0 金丸菜斗 16蟹駅弁見慣れた街を旅先に 0 岡崎久子 17隙間時間や蚕豆の茹で上がる 2 小平 湖 18春の雪ささやかですがさわやかに 2 古川和美 19カ―ネ―ション正解のない親子像 6 吉村きら 20高齢の母の朝寝の安堵の音 0望月のぞみ 21ぶらんこは明るい方に漕いでみる 1 古川和美 22初蝶が我が靴紐に止まり居り 0望月のぞみ 23樟若葉花はどこにと目を凝らす 0 金丸菜斗 24父母うつろいて残像の花吹雪 0信岡さすけ 25行く春や会えぬ別れと知りながら 1 国井 梢 26春探す旅行を止めて横浜へ 0 斎藤 藍 27ひとつしてひとつ忘れる昼蛙 1小髙沙羅 28万緑や自由の女神右手上げ 1白石みずき 29鯉のぼり龍になりたくないと言う 3 鈴木砂紅 30ロシア軍三光作戦の春方(はるべ)1 荒井 類 31野火つきる戦場の焔を焼き尽し 0後藤よしみ 32春時雨三鬼のメリーゴーランド 0 磯部薫子 33つくつくしかつて竹槍神風も 2信岡さすけ 34芝刈りて地上のまたたきいぬふぐり0郡楽清子 35桜蘂降って明日は晴天に 0 行成佳代子 36水底にあめんぼの影児らの影 1 安藤利亮 37初燕家は大江戸日本橋 0 岡崎久子 38青と黄に血色の混じり春の雨 0 安藤利亮 39喜怒哀楽マスクに隠し立夏かな 0白石みずき 40ふわふわのおにぎり二つ花の屑 0 宮 沢子 41田植唄母は田舎の歌姫よ 0 高橋透水 42紫陽花や鯉のはねたる音すなり 0 近田吉幸 43積読の「流転の王妃」花は葉に 0 岡崎久子 44ビール酌む背景ハワイZooMかな1近田吉幸 45桜見に約束したのに訃報きて 0 中村ふみ 46春なれやああこの春に躓いて 2 古川塔子 47入園の黄色い帽子川渡る 0 小髙沙羅 48身のうちに残花のふぶきとじこめる0後藤よしみ 49葉桜やまだ生きている生きている 1百目鬼英明 50マリウポリ気の重くなる春の朝 0 福島芳子 51地球丸く湾に春潮寄せるたび 0 安原南海 52年の差の縮まる親子蕗の薹 4 宮 沢子 53桜草痛むところに手を添えて 0 増田萌子 54雨の桜ししるいるいと揺れている 0 鈴木砂紅 55托鉢の僧侶の草鞋花の冷え 0 国井 梢 56蟻走る否寄り道は欠かせない 1百目鬼英明 57懐かしい人忘れても藤の花 0 国井 梢 58花摘みやポメラニアンの春落葉 0 百目鬼英 59まず始めはロールキャベツに春キャベツ2石口りんご 60囀や今日働けば明日休み 1 高矢実來 61草笛や一度覚えたことならば 1 小髙沙羅 62紅旗征戎たんぽぽを踏まさせず 0後藤よしみ 63難しきこと考えずコシアブラ 0 増田萌子 64空襲のフラッシュバック昭和の日 3 高橋透水 65春の雲高層に動くものなくて 0 中村ふみ 66白き歯は営業ツール風光る 2百目鬼英明 67ロケット発祥の地散る八重桜 0 近田吉幸 68要介護5から始まる夫の春 1 高矢実來 69屈葬のありし島なり藪椿 1 高良和子 70平和る春の湘南散骨す 0 近田吉幸 71渦巻いてゴッホの糸杉春の月 1白石みずき 72すしり兜太ずしり武甲の春夕焼 2松田ひろむ 73もの忘れは無かったことにミヨソティス0行成佳代子 74忍辱の鎧ますます春疾風 1 安藤利亮 75春風が追い越して行く交差点 1 小髙沙羅 76囀りに賞味期限の無き妻よ 8 高橋透水 77前菜の蛍烏賊の黄味噌かけ 0 斎藤 藍 78悲しみと怒り吹き込む紙風船 4 石黒宏志 79石段になにも語らず遠霞 0 安原南海子 80春の夜のこの憤り如何せん 0 荒井 類 81七色の幸せいつまで石?玉 0 石黒宏志 82桜散て水面すべるや櫂さばき 0郡楽清子 83洗わるる身を貫通の新樹光 1 金丸菜斗 84明日葉の天婦羅さくり師は元気 2 高矢実來 85春の雲君をみてるといわれても 0 金丸菜斗 86野火新た柩に古きもののなく 2後藤よしみ 87燐寸擦る火薬の匂いは花冷に 0 磯部薫子 88石鹸玉ゆきし空よりミサイル来 1 荒井 類 89薔薇つぼみいわさきちひろ頬っぺの子0松田ひろむ 90単線の旅の目線に春の海 0 岩渕純子 91何すべく早よ春暁のウクライナ 1 磯部薫子 92花仰ぐいつか一人になる二人 5 岡崎久子 93長瀞の雨と若葉のシンフォニー 0白石みずき 94花は葉に背中の痒い改憲論 7 高橋透水 95春埃いつか死ぬけどドリンク剤 3 翠 雲母 96春泥やロシア戦車は鉄の錆 0 高橋透水 97胃カメラの記憶ベトナム反戦歌 2 翠 雲母 98アイリス咲く製鉄地下の平和呼べ 1 福島芳子 99かたくりやゆっくり回れ花時計 2 安藤利亮 100入学式手と足合わぬ子がふたり 5石口りんご 101晩節をマリアカラスの薔薇に聞く 0松田ひろむ 102ふらここや一気にコロナ禍遠ざける0安原南海子 103ひこばえやペンは剣より強しとも 0信岡さすけ 104見る夢は昼間のばかり影朧 0 中村ふみ 105魚偏の文字のあまたよ鰆東風 1安原南海子 106とりあえず十八歳というおぼろ 5 宮 沢子 107闇の音に耳そばだてる春時雨 0 国井 梢 108飼い猫の欠伸みている春の昼 1 岩渕純子 109麗日に古い洋館明治の造り 0 斎藤 藍 110たよらずに生き生き伸びる蕗の背 0 福島芳子 111天からの母の声受け紫木蓮 0 吉村きら 112粒餡の草餅が好きあなたもね 0 中村ふみ 113しゃぼん玉明日を信じられた頃 4 吉村きら 114風説が地球を巡る目借時 0行成佳代子 115蒲公英と童小さな嘘をつく 1望月のぞみ 116暖房の花見電車の降り難し 0 高良和子 117葱坊主首を揃えて背伸びして0望月のぞみ 118叔父は特攻皇国(みくに)花火となりて散る 0翠雲母 119ウクライナの火薬の匂い蝌蚪の昼 1増田萌子 120春日傘グレイヘアーにあと少し 3 高矢実來 121花の旅芭蕉翁となるここち 0 安原南海 122春の潮生命(いのち)がこの世にいずる時0磯部薫子 123下着白にストレート髪校則の春 0信岡さすけ 124殺光のニュース画像や桜花 0 荒井 類 125青空の下の向日葵別離とは 0 石黒宏志 126俳諧自由大滝を鯉登りつつ 2松田ひろむ 127花は葉に分相応に生きている 0白石みずき 128藤房の揺れて教える風の筋 2 岩渕純子 129舌頭に光りのサプリ柿若葉 0 鈴木砂紅 130牛丼の三日続きや朧月 0 行成佳代子 131気分を変えて新緑の三ページ 2 小平 湖 132ヒトゲノム完全解読山笑う 1 鈴木砂紅 133仲良しこよし絶交とけてアマリリス 0吉村きら 134逃水や人は順位を付けたがる 0 石口 榮 135歯舞の春や船影なき漁港 0 荒井 類 136十三の君の入学君の声 0 石口りんご 137少年はどこでも眠れけやきの芽 0信岡さすけ 138久々に緋目高増える初夏の風 0 福島芳子 139初めてと言ったのはうそ花衣 6 川崎果連 140横浜の深緑に立つ瓦斯灯と 0 斎藤 藍 141ロシアの核使わせぬ八十八夜 0 木野俊子 142春愁や老いの鬱かと疑いし 0 郡楽清子 143想うこと言わずにおこうシャガの花2岩渕純子 144咲いたまま形崩さず散る桜 0 古川和美 145花種を蒔いて誰かの応援歌 4 小平 湖 146真夏日はゆっくりたっぷり水を足す1小髙沙羅 147鴎外の宿探し当て夏来る 0望月のぞみ 148一粒を残せぬうつわ昭和の日 1 川崎果連 149やっぱりねパパも福耳入学児 3石口りんご 150おぼろ夜の壕でぐるぐるフラフープ1川崎果連 151人並の信仰心よ木の芽風 0石口りんご 152つくしんぼ次々現われ一途なる 0 福島芳子 153祝退院向日葵薔薇にかすみ草 1 古川塔子 154パソコンのごみ箱あさる四月馬鹿 3 石口 榮 155春深し遥かに見えるベイブリッジ 0 斎藤 藍 156新社員自分を叱る国訛り 0 川崎果連 157剪定の一枝ごとに青い空 1 岡崎久子 158蛙鳴くつくばに未来研究所 1 宮 沢子 159母の寝息ふるさとに編むクローバー0木野俊子 160桜鯛アイシャドーに惑わされ 0 石黒宏志 161種案山子少し派手めの服を着て 1 石口 榮 162生きてきた歳月強し桜東風 1 高良和子 163躑躅咲く笑ったあとのさみしくて 1 増田萌子 164たんぽぽやアンネの日記が燃えだした0翠 雲母 165逃げ水の深さを知らずおぼるべし 0後藤よしみ 166飛花落花一人になりたい日もあって0石口 榮 167戦よあるなたんぽぽに蹴躓く 0 鈴木砂紅 168人生百年片かげりここに果つ 0 宮 沢子 169囀りや愛妻弁当覗かるる 2百目鬼英明 170せせらぎの片栗の花恋の路 0 近田吉幸 171登り棒のてっぺん孤独春の星 3 小平 湖 172どなたかと聞かれたようで蝌蚪の昼0増田萌子 173ままごとのような柄杓の仏生会 0 高良和子 174白杖の人駅に入る春日傘 0 国井 梢 175花は葉に行人坂の鐘の音 0 中村ふみ 176大露西亜なぞワカヨタレソと散るさくら0安藤利亮 177平和と自由ウクライナの青い麦 2 木野俊子 178雪柳散るを堪えて咲き誇り 0 郡楽清子 179燕麦の土手に大の字初つばめ 0 金丸菜斗 180菜の花や御浜離宮と母は呼ぶ 0 高矢実來 181花粉症ロシアは広域暴力団 2 木野俊子 182薔薇園のところどころに相聞歌 1 石口 榮 183「蘖」のコロナウイルス蹴っ散らす0 古川塔子 184雪柳ひと雨ごとに冴える白 0 岩渕純子 185籠り居て山路なつかし一人静 0 郡楽清子 (第26回鴎座通信句会)投句締切=5月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022年05月02日 12時22分42秒
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