純真一途な女王蜂(クイーン・ビー)、不動の戒律行者に翻弄さる 


川井 モナ

川井 モナ

CV:辻 美優(ボイスコミック版)

公式身体サイズは未発表 / 出身:大阪


スクールカーストの最上位に君臨する不動の女王、上座部仏教の五戒行者に驀進を止められる

生誕以来、中学時代までは関西・大阪にて育ち、大阪人気質が身に染みついた類い希なる美少女。彼女に告白してきた絢爛秀美なる男子達はいずれも玉砕の憂き目を見させられた。
本人も自身がモテることを意識し、人生楽勝(イージーモード)と、高を括っていたという設定。少女漫画、ティーンズラブでは見慣れた設定だが、川井モナはきら星の数のうら若き男子達を手玉に取ってきたと豪語する割には身持ちは非常に堅く、処女以前に、腕を組んでデートすらしたことがない様に思える。言い寄る男子達を上手くあしらう術は身につけているにも拘わらず、怨恨や嫉妬を買うというような踏み込んだ関係を持たず、女子生徒にも人気が高いという設定になっている。
こういう設定キャラクタというのは大概、イケメン男子生徒の告白をやんわりと断るにしても、それを契機に女子の嫉妬を買ってイジメを受けるというパターンに陥りがちだが、この作品は当初からそういう設定に到らず、ほぼ全生徒から尊崇の眼差しで見られているというのだから大したものである。
クイーン・ビー(女王蜂)を自認し、スクールカーストの最上位に奉戴、「息をつくようにモテる女」と意気軒昂に学園生活を支配階級の立場で経過して行く。
しかし、彼女が全校生徒、特に女子から殆ど敵愾視されていないのが第一印象の中で特異たるものであり、考えてみれば彼女は「取り巻き」所謂グループというものを作っていない。取り巻きがいなければ使い走りや策士なども不在であり、敵を作る要素が殆どない性格というのが見て取れる。

全校男子生徒の心酔を図るも、戒律行者に進撃を止められる

黒岩メダカ連載開始時の設定で、モナが黒岩メダカ以外の全校男子生徒を虜にしているかどうかは不明だが、物語の設定上、メダカに固執していて、クイーン・ビーの沽券云々と拘っていると言うことは、メダカを陥せばモナの一定の野心は達成された、と言って過言ではないのだろう。
この作品はメダカがモナと相思相愛になって卒業して行く過程までをおそらく描くのだろうから、メダカが陥落した時点で実質終了という事になる。
メダカが拘る五戒・不邪淫を忠実に守っている日本の仏教宗派って本当にあるのだろうかと勘ぐりたくはなるが、高野山などは近年まで女人禁制だったことを考えると彼の実家たる猫寺は余程の大本山なのだろうか。という疑問が湧く。
或いは日本では馴染みの薄い、チベット仏教やカンボジアなどで主流の上座部仏教の一派なのかも知れない。
モナは修行のためと称して転校してきたメダカを一度校舎案内をしている。男子転校生にいち早く魅力を伝えて自分の虜にしようと図ったのだろうが、黒岩メダカは五戒原理主義と言われるほどの堅物だった。本音はモナの魅力に中てられまいと必死に精神を抑制してきた結果なのだろうが、突き放すような冷たい態度(塩対応というそうだ)に終始する。

男子生徒の心攻驀進を突然停止させられたモナはメダカに執着する。十人十色。1人くらいモナに興味を抱かない男がいても不思議ではない。まして昨今の世界はジェンダーフリーと称して性的差別が解消されつつあり、恋愛においても性別による区別は無くなってきた。もしかすれば、メダカもジェンダーフリーで同性愛なのかも知れない。
モナがそれまでの人生で関わってきた男子生徒や家庭環境、地域交流においての大人の男性達からどのようにもてはやされてきたのかは知らないが、メダカが単にモナのような超陽キャ系が著しく苦手だとするのならば話は早く、モナの容姿が美醜を問わず、モナが非常にウザい。と思われても実は仕方が無いのである。「可愛い……」メダカが心中でそう吐露していなければ川井モナは現実的な話、絶頂と奈落の際どい崖縁を踊りながら歩き続けている存在だとも言えるのだ。

男子に免疫無き純情少女、メダカの求心力に惹かれて行く

奔放で数多の男性経験を重ねていそうなイメージだがその実全く男性交友経験が無く、勿論聖母マリアもあっと驚く処女中の処女という設定は近年特に女性上位の主人公像に散見される設定だが、モナも漏れなくそのひとりである。
好きと言えば敗北宣言

暴走しかけて胸元を開いたり、水飲み場で謝って水を被って体操着が透けて下着が見えることすら激しい羞恥に悶絶するモナ。実はそういう姿を直に見ているのはメダカだけであって(春野つぼみは誤解で目撃)、〝性〟に関しては、メダカと双璧とも言うべき純粋さである。
メダカは五戒・不邪淫を極解して女子と会話をしてはダメ、優しくしてはダメと思い込んでいた部分を同級生から窘められることになったが、モナもまた社交辞令で見境無く「好き」「大好き」を連発していたわけだが、メダカを心攻しているうちに、その好きが「LIKE」なのか「LOVE」なのかが混乱してぐちゃぐちゃになってしまっている。
そもそも他生徒たちに対しては「LIKE」という感情を維持せんと無心してきたモナにとって、メダカという存在はそもそも「LIKE」という段階を踏んでおらず、インディファレンスから始まった第一話から、LIKEという非恋愛関係を構築する暇もなく急接近しているのだから、他生徒と同じように「好き♥」などと安直に言うことに無意識な抵抗感があるのは当然である。また、それがモナの身持ちの堅さを表現しているとも言えるのである。

対抗勢力の登場と今後のアプローチ

湘南旭

モナはメダカが自分の虜になることを至上命題としているので当然、メダカに接近してくる女子勢力は敵対勢力という位置づけになる(表面上は友好・メダカに無関心)わけだが、新キャラとして登場した春野つぼみ。メダカ狙いと思い込んでいたが、自身の信者であってメダカとの関係を応援する立場に位置した。
そして、本格的なモナの宿敵となるべきキャラクタが忽然として登場する。後輩の1年生でバスケットボールの名手・成績優秀スタイル抜群という、ハイスペックな後輩美少女という謳い文句で第16話に登場する。折しも前話でメダカが同級生から不邪淫の戒律に女性に優しくするなとあるかと問われて極解を正した直後である。
雨の朝の登校時にひとつの傘で登校してきたモナとメダカの姿に彼女、湘南旭は愕然となるわけだが、メダカに面識は無く、モナも当然ながら初めましての挨拶を交わして相応の関係。

メダカを目の前にすると赤面症となって言葉も上手く出てこないという、これがまたベタな惚れ方をしている旭なのだが、モナに対する敵愾心は相当に強いもので、それに乗算されてメダカに対してキスもしたいとまで言い放つ。奥手のクールビューティを装いながら情熱に包まれたこの美少女後輩に、モナも中てられて行く。
さて、旭はメダカのためなら身体も張れるとアオリにもあるような情熱的な少女だが、モナはそういうことに関しては非常に奥手で正道を踏む派である。下手に暴走してど壷に嵌まったりしないようにして行かなければならないだろう。
ラスティングヒロインである事は違いが無いのだから、黒岩メダカという戒律男に、自分が生涯の伴侶であると言うことを選択させる。卒業式の伝説の廊下で再び、その手を握ってくれるかどうか。恋は戦争。檀道済の兵法三十六計を熟読し、攻略して行くことを願って已まない。