最高の幼なじみは親友であり、時に最大最強の宿敵となる


難波朋

難波 朋

CV:-

◆スリーサイズは第5巻現在、公式未発表
◆出身:大阪府
◆川井モナの幼なじみで親友。モナの正体を知る
◆モナが片っ端からフッた男子生徒と交際するも長続きせず(?)
◆東京男子のハートに火を付けまくるという野心を抱き上京、モナと同じクラスになる。
◆モナに優劣無きスタイルの良さと、明朗快活な大阪弁の使い手で友人は多い
◆メダカに大人っぽくて余裕を感じる。羨ましいと褒められ、何故か一瞬哀しい表情に。

玉纓アトモスフィアイメージ : 愛が哀しいから / 徳永英明 あなたに好きと言われたい / 奥華子


幼い頃からのモナを識るお姉さん系美少女、奔放な性格で律師に迫る

2022年第8号・第32話センターカラーから登場した第3のヒロイン格。レジェンドラッパー・般若氏の特別インタビューと共に颯爽とモナの親友として登場するのだが、その第一印象はマクドナルドなどの軽外食店でモナと再会し、モナの本性を知る幼なじみの親友という立位置での出番だったが、いきなり逆ナンパしているなど少々男性関係におおらかな部分があるのかという印象を持っての登場だった。難波朋×黒岩メダカ
しかし、そういう軽率な人間を、あのモナが幼なじみとは言え唯一の親友的な立位置で接するだろうかと考えたとき、モナのフッた男子を片っ端から〝刈り取った〟とは言い乍ら、広く浅い関係(肉体関係を結ぶまでには至らない)の構築に余念が無く、さっぱりした感じな交友関係であったと想像する。モナが「片っ端から刈りまくっていた、彼氏いっぱいおったやん」は朋にとって文字通り「失恋に泣く男子を放っておけない」という意味であって、そこから恋愛関係に発展させる気は毛頭無いのであることは、彼女の奔放だが一環とした男性関係論に滲出されているのが判る(肉体関係まで及ぶ場合は〝食う(喰う)〟それ以外は〝刈る(唾付ける)〟と区別しておく)
まあ、そうでなかったら恋愛に興味が無い、好きになったことのある相手がいなかったと断言する川井モナの幼なじみは務まる筈がないのである。
一見明朗快活な〝お姉さん系幼なじみ〟という言行の中に、言葉通り男女ともに相手の性格行動を見抜ける慧眼を備えているだろう。恋に疎いモナにとってこれほど頼もしい親友はいないのである。

モナの莫逆の友から徐々にヒロイン格に昇華

モナの幼なじみという設定で颯爽とメダかわの舞台に飛び込んできた朋。幼少時のモナのプリンセス・ビーぶりを見てきた朋は、彼女の良い部分も悪い部分もすべて知っている。決してマウントを取ろうとはず、恋愛感情にやや欠けていると思われるモナを側面からフォローして来た、莫逆の友だった。モナの気持ちの代弁
自身の恋愛遍歴は不明瞭である。モナの捨てた男子を〝刈る〟という名目で一時的に仲良くなってはいるもの、おそらく「エッチしたい」というような空気を感じると別れる。朋はそういう部分においては身持ちが堅く有り続けたと見るべきだろう。アオリ文で早くも「お姉さん系おさななじみ」と紹介していたが、モナが恋愛に興味を持たぬプリンセス(クイーン)・ビーとして子供のような行状を振る舞っている中でモナの悪評を抑える役割を果たしてたともいえる。
あまたの男子たちをフリに振りまくって一切の怨恨を被らなかったというのも考えてみれば不思議な話であり、朋がそうした傷心から逆恨みに堕ちてゆこうとする男子たちの牆壁としたからであるに想像に難くはなく、小学生時にクラスメイトと恋愛話に盛り上がっていたときも全く興味の無いモナの本音を知りつつ側面で支え続けたのである。暴走する主君に時には痛諫する側近といった関係は、肉親の情を超えた心の繋がりであるといえるだろう。

かぐや姫よろしく数多の男子がモナに交際を申し込んで玉砕してゆく様を見てきた朋にとって、黒岩メダカは極めて異質な存在に映ったのは今更言うまでもない。女性が苦手という感覚はファーストコンタクトの時に感じたのだろうが、モナがそんなメダカに好意を寄せているという事実は朋にとっても世界が変わるほどの衝撃だったことは言うに及ばない。
モナにとって認めたくなかった、メダカへの好意の自覚を惹起させた朋。物語を進化させてゆく水先人としての存在感は、読者にとってみても数多の男性遍歴という誤解も隠顕して憚らない、実に不思議な存在感としてモナのメダカへの恋心にアクセルを掛ける大いなる力となったのである。

ミスコン準備、参戦への分水嶺となるか。大人な難波さん…

モナとメダカがスマホカバーを買うという名目で出かけた〝デート〟
朋もさすがにそれは知らなかったようだが、確実にモナの変化を感じ取っていたことは間違いが無い。
そうした中で、学園一のヒロインを決めるとされるイベント、「ミスコンテスト」の候補者選定にメダカの親友・小早川翔が、モナや春野つぼみ、湘南旭・白浜美波とともに朋を候補に推挙する。初めは興味なしと鰾膠もなく断るが、参加者特典を聞いたモナが態度を一変させて、メダカを審査員にするなら参加すると宣言。朋やつぼみも追従した。

◎その選択が、大いなる恋愛の迷路へと続く

モナのメダカへの恋愛アシスト役として徹する朋は、モナと春野つぼみに作戦会議の定案をした。2022年36,37合併号・第56話「アイツと看板作り」。合併号が重要な選択肢、分水嶺となり得ることは判っていた。

幻の作戦会議

朋が提起したミスコン作戦会議。モナとつぼみが両方断ったこと。鷹岑はこれがもしビジュアルノベル・ギャラゲー系であったならば、最重要選択肢であったことは間違いが無いとTwitterでも発信してきた。いや、モナかつぼみ、いずれかが残ってさえいればメダカに新しい選択肢かつ、朋にフラグが立つことも無かったのである。

メダカは自教室で看板制作を小早川翔に押しつけられて居残っている状態だった。作戦会議が実行されていたら、笑い揶揄しなんだかんだと無難に完成していたはずだ。閉門ギリギリまでかかる事も無く、豊満な胸にラッキースケベとして触れることもなく無難に仕事を完遂させていただろう。つまり、朋の心底に燻る寂寥の想いが発露することなく、朋はそのままモナの親友という立位置のまま卒業までいけたはずだった。結果論。またモナの責任では無いが、結果的に寝た子を起こす結果になってしまったことは、読者の端くれとしてこの場面にモナ独走体勢終焉への嗟歎と共に、モナ系朋推し派としてはやっと出番が来たかといった感じなのである。

本戦が霞んで見えた、難波朋の動向

朋のさみしげな表情川井モナ系難波朋推しの鷹岑からすれば、ミスコンテストの本戦におけるモナと旭の熾烈な戦いよりも、内に秘めた想いを押し殺しているように見える朋の方が気になって仕方が無かった。
僧侶として魂の供養とともに、悩める人を導く事も必要とされるよう修行する身にあるメダカからすれば、一瞬だけ見せた朋の〝翳〟は、捨て置くことのできない悩みを抱えながら表面だけ明朗快活に装う、儚くももろい少女然に映ったに違いが無い。
実際、あの看板制作の急接近から、メダカは朋のことを強く意識するようになった。今までモナのことを――――と思う読者もいると思うが、メダカにとっては現状誰に対しても恋愛的感情はなく、モナが積極的にアプローチするのも「東京女子」という固定概念の範疇に押し込めて美少女として意識しながらも、律師として心の中で激しい鍔迫合いをしていただけである。
そうした中で、モナの親友として最初にカフェで出会ったあの奔放な印象の朋が、ふっと一瞬だけ見せた翳に心惹かれるのも至極当然であり、モナにとっては思いも寄らない伏兵の出現に、後になって大いに憤慨狼狽をする羽目になるのは必定である。

視線の先はモナでは無く・・・◀その視線の先に映る人は……

ミスコン本戦クライマックス。一所懸命に優勝を狙う旭。憧れのメダカを追う眼差し。その当のメダカが視線を向けているのは・・・。旭が言う「モナばかり見ている」というのは、はっきり言ってミスリードだろう。このミスコンの中でメダカにとって一番存在感が高いのはモナではなく難波朋なのである。それが伝わっているのでモナの頑張りもある意味空虚に映り、旭は道化のように思えてならない。ミスコン編が評価があまり芳しくないという理由も読者自身がメダカを通じて本命であるはずのモナに指向していないのを知っているからであろう。

モナやつぼみをキラキラと羨む心の寂寥、律師がそれを見抜き…

ミスコン編はモナが最後に存在感を力強く発揮して終了。全員優勝でいいんじゃないか?というモナのノーサイド宣言にそこはかとない余裕を以て閉幕した。それぞれの輝かしい記録を見せ合うのに、朋は一人惘然たる意識の中で物思いに耽っていたのが印象強い。帰ろうとしたときにメダカに逢う・・・
ここまで読み進めて分析をしてみたとき、改めて朋は自分が親友の想い人に急速に惹かれている事を懸命に隠し通そうとしている。嘘をついてでも、それに気付いてはいけないのだろう。だが、律師は気づいてしまっていた。明朗快活な表情に隠された寂しさを。朋がモナの翳になろうとしている、大人でも何でもない、彼女もモナやつぼみ、旭と同じ少女であることを 。
それを余裕綽綽然に振る舞い、モナのサポートに徹する自分に思いを致すものがあったのだろう。モナの翳になる自分に疑問。モナを嫌いになるという事じゃない。メダカの良い部分を知るにつけて心ならずも惹かれてゆく自分、それを禁忌と心が鬩ぎ合う。
常に明るいクイーン・ビーであり、白鳥でもあるモナ。重いものを抱える朋。メダカ律師が朋を気にするようになるのも自明の理というものであろう。

そして、決着を付ける(誰か一人と結ばれる)とするならば、朋は負けヒロインになるのだろう。本来ならそうはなって欲しくはない不結実の終極という終わり方もあるのだが、多分、そうはならないと思う。
しかし朋には陽キャの仮面を外してモナという太陽に負けず輝く存在になって欲しいと考える。
本当はモナの側で不変の翳であり続けた朋。モナが先に進んでいく上で立ち止まったままの朋。悩める想いにメダカが律師として道を示す。単純なことだが、好きになってはいけない人ほど、人は好きになってしまう。
朋はおそらくまだ、涙多きその恋心に立ち向かえるほどの強さはない。恋人になるならないを別にして、メダカが支えになってあげるときだろう。