しばらくご報告していませんでしたが、サメロメ・リニューアルプロジェクト、進んでいます。

なかなか進まなかった理由のひとつが、音楽です。当初から懸念はありました。なにしろ30年そのままにしていた音楽です。自分の中に固定観念として居座ってしまった音楽を変えることに違和感を感じることは目に見えていました。

オリジナル版に使用していた音楽は以下の通りです。
ニーノ・ロータ「カサノバ」「魂のジュリエッタ」「青春群像」「8 1/2」
ルイス・バカロフ「女の都」
クラウス・シュルツ「バイロイトへの回帰」
Wha-ha-ha(坂田明らのユニット)「(曲名不明)」
そうそうたるメンツです。これに対抗出来るものを要求するのだから、作曲家もたまらない。

最初に上がってきた音楽は、まだ自分も受け入れられる状態になっておらず、まったくしっくりきませんでした。中には「この曲は大嫌い」とまで言い切ってしまったものもあります。これじゃあダメだ。一時はリニューアルをやめようとすら思いました。

そこで、改めてこちらの希望や、この映画の狙い、シーンの意図を伝えました。最初は、自分がどうあがいてもオリジナルをなぞってしまうのを懸念して、一切指示を出さずに作曲家の感じたイメージで作曲してもらっていたのです。はなはだ効率の悪いやり方ですが、オリジナルの呪縛から逃れるには必要な過程だったと思います。

次に上がってきた音楽は、よくなっているとは思いましたが、その時にはまだベストとは思えませんでした。問題の多くは自分の固定観念にあるだろうと思いました。どうしても客観的に聴くことが出来ないのです。ここでサメロメの音楽に関しては一旦寝かせ、私は「深夜駆け込み」に取り掛かることにしました。これはこれで音楽では揉めたのですが、この作品で状況音やSEについて考えたことがよかった気がします。サメロメの音の欠点が見えてきた感触がありました。

この映画の大きな特徴として、台詞がありません。その分、音楽が大きな意味を持っていて、ある意味、主役のひとつとなっています。何度か聴いている内に、以前と違う音になったことへの抵抗は徐々に薄れていきましたが、どうしても音楽が強く主張し過ぎているように感じる。のべつ幕なしに音楽が流れていることが気になる。この映画では無音の箇所がいくつかあり、無理に音楽を入れる必要はないのです。テレビ放送ではないので、数十秒も無音のままでもいい。そう思って整理すると、音を抜いていいところと、逆に音を入れるべきところが見えてきました。そして、同時に作曲者がどういう意図でこのテーマをこのシーンに入れてきたのか、構成がようやく分かってきました。気付いたのは、つい1週間ほど前のことです。それまでは曲と場面の関係を漠然としか捉えていなかった。そしてようやく、好きな曲がいくつもあることに気が付きました。

あと少しです。

というわけで、秋の公開に向けて予告編を作ってみました。
「サメロメ2014」予告編



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