数百トン級!蛇頭石とアルゴ船象徴の船形石(足摺半島) | 次世代に遺したい自然や史跡

次世代に遺したい自然や史跡

毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<唐人駄場的スーパー巨石とギリシャ神話の石>

以前、少し触れた世界最大級の巨石文明エリア(巨石遺跡が250ヶ所以上)である高知県土佐清水市足摺半島にある白皇山ピラミッド(超古代「日本ピラミッド」の一つ)の北西で、唐人駄場の東方に位置する林野「影平山」には、唐人駄場の巨石群に匹敵する数百トン級(或いは一千トン級)の巨石「蛇頭石」や、ギリシャ神話に登場するアルゴ船を模ったとされる「船形石」がある。

これらは先史古代の磐座とされ、影平山には他にも名称が付いたものでは、暦石と陽石がある。船形石については、アルゴ船に似せた石を作ろうとして製作(加工)した訳ではなく、星座「アルゴ座」を象徴する磐座として、その星座名の謂われとなったアルゴ船を模った石を作ったものと思われる。アルゴ船は映画ファンなら「アルゴ探検隊の大冒険」(上画像)や、そのリメイク映画等でお馴染み。

全国各地に点在する日本ピラミッドやその他の巨石文明遺跡にも共通することだが、超古代人はそれらの遺跡で天体観測を行っていた。天体観測に星座は欠かせない。

 

影平山の磐座群は最近まで、足摺半島の巨石遺跡を調査する団体以外には殆ど知られていなかったが、今年4月、土佐清水市観光課と生涯学習課が協同で看板等を設置し、「磐座巡りコース」を設定した。

 

但し、道標等が不十分で現地に案内図もなく、明瞭な遊歩道もないことから、4ヶ所の磐座を巡るには、事前にネット等で案内図を確認しておく必要がある。それでも各磐座は登山口(上図)から近い所にあるため、体力はあまりいらない。

 

登山口は足摺スカイライン(県道348号)から唐人駄場方向への道(標識あり)に折れ、ほどなく行った所の左手にある。最初に「蛇頭石」の道標と登山口(明瞭な道はない)が現れ、そのすぐ先に「船形石」の道標と登山口がある。後者は踏み跡がある。

まずは船形石を目指す。登山口から1~2分ほどで到達したように思うが、最初、目に入った時は普通の立石のように見えるが、石の右か左に回ろうとするとすぐ船の形に見えてくる。

 

支尾根から稜線へ上ってくる形で石がある。全長約7m、幅約1m。この船形石がアルゴ船を模っている証は、その後部西側の傍らにある石。これは元々弓型だった船形石の後部を切断したものだと言われている。

ギリシャ神話ではアルゴ船はボスポラス海峡を通過するが、この海峡の「叫ぶ岩」(「アルゴ探検隊の大冒険」ではこのような名称だったように思うが別名だったかも)の間を通過する際、普通に航行すれば両岸の「叫ぶ岩」は閉じて、船は挟まれて粉々になってしまう。

 

そこで盲目の預言者に教えて貰ったように岩間に鳩を飛ばし、「叫ぶ岩」が一旦鳩を挟み、その後、また開く時を狙ってアルゴ船は海峡を通過しようとする。しかし再び閉じようとしたため、船尾が挟まれ、取れてしまう。

因みに「アルゴ探検隊の大冒険」では鳩は飛ばさず、御守のようなものを海峡に投げ込むと、海中から巨大な海神トリトンが現れ、両岸の「叫ぶ岩」を両手で押さえ、その隙にアルゴ船は海峡を通過する。

尚、トリトンはしばらく海中に潜ることから、映画では水泳選手でもある俳優が演じた。「大魔神」のようにスローモーションにすると、巨人のような動きになる。

余談だが、「アルゴ探検隊の大冒険」ではアルゴ船は一旦、ウルトラマンよりはるかに巨大な青銅巨人「タロス」(上の画像)によって破壊されてしまう。

アルゴ船の取れた船尾を表したのが、船形石後部の傍らにある石である。この石も船形石本体も切断面は滑らかではないが、それは数千年、或いは1万年以上の経年変化による風化のせいだろう。

ここからこの支尾根を更に南に下るが、踏み跡はない。勾配が平坦になると暦石(上の写真とその上の写真)が現れる。これはいくつかの石の上に一つの石が人為的に置かれたもので、季節による太陽や月の動きに対応して観測するための組み石ではないかと推測されている。この周囲には巨石が多い。

船形石まで戻ると踏み跡を東進する。するとほどなく、薄い三差路に到る。ここは青いマーキングテープが巻かれている木がある南方向に右折する。この辺りは案内図と現地の地形が一致していないようにも思えるが、縮尺の詳しい地図でないと確認し辛いのかも知れない。

すぐルートは陽石(上の写真とその上の写真)の背後から正面に回る。所謂、男根石だが、亀頭部は別の石を人為的に置いているように見える。これは子孫繁栄の象徴。ここから東の斜面にも巨石が多い。

さきほどの三差路(のように見えたが違うかも)から蛇頭石へ行けると思うが、やはり案内図と現地の地形が合わないような気がする。踏み跡もないので、ここは一旦登山口まで戻り、蛇頭石の道標の建つ側の登山口から改めて登る。踏み跡がないので、車道寄りを適当に登る。

ルートが北向きから東向きに変わるやや手前に暦石に似た石組みがある。暦石より石は小さく、上段に複数の石が乗っている。

ルートが東向きに変わる地点は、そこから北へ行くと車道に突き当たるから、東に行くしかルートはないので、踏み跡がなくても分かる。

蛇頭石は予想を遥に上回る、四国屈指の巨石だが、正面からだと、長方形の平たい石のように見える。全長が十数メートルはある巨石は西側に倒れかかる形で、西側の石が支柱になり、その上に乗っている。

そして巨大なあまり、その下をしゃがんで南北に通り抜けられるようになっている。山師たちは降雨時、この下で雨宿りをしていたというが、ここは先史の祭祀跡ではないかと言われている。

蛇の頭のように見えるのは、南側から見た時。目の部分に亀裂が入っているが、雨後はこの右側にペトログリフのような文様が浮かび上がるという。

登山口に戻った後、十数年ぶりに白皇山ピラミッドの拝殿山、三ツ石(「白皇山第二峰」と呼ばれている)に行ったのだが、ある生き物に襲われ、病院の救急診療で診察するはめになってしまった。道のない山ではこういう危険がある。

三ツ石のレポートもアップして欲しい、という方は下のバナーを。

にほんブログ村 アウトドアブログ 散歩・散策へ
にほんブログ村