今季最終戦はドローも…8位でシーズンを終了!!(その2) | Purely Belter

今季最終戦はドローも…8位でシーズンを終了!!(その2)

■周囲の予想を大きく上回る8位でフィニッシュ

2016年シーズン以来のJ1挑戦だったアビスパですが、開幕前は降格候補筆頭に挙げられていました。専門誌の順位予想を見るたびに、怒りの感情が芽生える一方で、「2011年と2016年もそうだったから仕方ないよな…」と思う気持ちもありました。私自身も、残留は大丈夫だと思っていましたが、まさか8位に入るとは思っていませんでした。

 

開幕戦の名古屋グランパス戦は、相手の手堅いサッカーに歯が立たず1-2で黒星スタート。スコア以上の差があったように思えました。第3節の横浜F・マリノス戦もやはり相手の強力な攻撃陣に苦しめられました。そんな中、大きな転機となったのが、第5節の鹿島アントラーズ戦だったでしょう。前半の相手DF関川郁万選手の退場や、試合終盤の相手ゴールの取消しなどにも恵まれましたが、過去の対戦成績でも圧倒されている難敵を相手に1-0で勝利しました。

 

今季の躍進を語るうえで欠かせないのが、第10節~第15節までの6連勝でしょう。FC東京を相手にホームで勝利すると、浦和レッズや柏レイソルといったチームを破り、一気に中位へと順位を上げました。その後一転して5連敗を喫した時期もありましたが、第26節ではホームで川崎フロンターレに今季初黒星を付け、第32節のヴィッセル神戸戦で、(敗れはしたものの)早々にJ1残留を決定させました。残り6試合は1勝5分と負けなしでフィニッシュ。3バックなど新たなシステムにも挑戦し、来季へ繋げる戦いを見せました。

 

■チームの躍進を支えた堅守速攻スタイル

長谷部茂利監督が就任した昨シーズンから、アビスパは堅守速攻をベースにチーム作りを進めてきました。昨季はそれが「J1昇格」という形で、今季は「8位」という形で実を結びました。

 

アビスパがJ1にチャレンジした2011年と2016年シーズンも、同様に守備をベースとした戦いを挑みました。しかし、今季のアビスパは、「攻撃を意識した守備」という点で、これまでとは大きく異なりました。相手がボールを持っているときでも必要以上にDFラインを下げ過ぎることなく、最終ラインから前線までの距離をコンパクトに保ちました。相手のパスミスやトラップミスがあった際には、逃さずボールを奪い、そこから人数をかけて一気に相手ゴールに迫りました。

 

このような戦い方はチームにしっかりと浸透しており、誰が試合に出ても、チームの力を落とすことなく戦うことができました。グループリーグ突破こそならなかったものの、YBCルヴァンカップでは厳しいグループを2勝2分2敗としました。またリーグ戦でもメンバーを入れ替えながら勝点を積み上げました。川崎を破った試合では、DFカルロス・グティエレス選手、MFカウエ選手、FW城後寿選手といった、出場機会が限られていた選手が躍動してサプライズを起こしました。

 

チームを上手くマネジメントした長谷部監督の手腕もさることながら、チームの約束をピッチ上で表現した選手たちのプレーも見事でした。すべての選手が素晴らしかったですが、とりわけ言及しておきたいのが、GK村上昌謙選手と、キャプテンの前寛之選手です。

 

村上選手は、開幕当初こそハイボールの処理に不安定さがありましたが、リーグ屈指の好セーブを見せる守護神となりました。村上選手のセービングによって勝点を拾った試合も多く、シーズンを通じてMVP級の活躍を披露しました。元コロンビア代表GKオスカル・コルドバを彷彿とさせるパンチングは、今後村上選手の代名詞になるでしょう。来季以降、キックの制度に磨きがかかれば、日本代表入りも夢ではないと思います。

 

また、キャプテンの前選手は、チームの心臓として攻守を支えました。守備面では正確な読みと鋭い出足で相手ボールを奪い、攻撃面では正確な長短のパスでチャンスを演出しました。中盤での冷静なプレーが魅力ですが、サンフレッチェ広島線で見せたミドルシュートのような意外性のある一発もありました。本日、「2021 Jリーグ優秀選手賞」の31名が発表されました。残念ながらその中に前選手の名前はありませんでしたが、個人的には、ノミネートされた選手と遜色ないプレーを披露したと思います。

 

■来季はJ1定着を目指す戦い…新たな選手補強は!?

今日J2とJ3の全日程が終了し、2021年のJリーグは全日程を消化しました。各チームは選手や監督の契約に関するリリースを行い、移籍関係のニュースも増えてきました。

 

アビスパは例年、こうした発表は比較的遅いですが、来季へ向けて動き出していることでしょう。レンタルで加入しているDF奈良竜樹選手やFWジョン・マリ選手の去就も気になるところですが、ジョン・マリ選手のSNSを見る限り、どうやら退団が濃厚のようです。一方で、アビスパの"キング"城後選手は来季も現役続行に意欲を示しており(日刊スポーツ「福岡ひと筋「キング」城後寿、18年目来季も現役続行に意欲「もっと上を」」)、2022年もピッチを走り回る背番号10を観ることが出来そうです。

 

今季のアビスパを支えた外国人選手ですが、何人かの入れ替えは行われるでしょう。ジョン・マリ選手の他、出場機会が減っていたFWブルーノ・メンデス選手もレンタル元に復帰するのではないでしょうか。また、グティエレス選手とカウエ選手は、出場機会が増えればさらにチームにフィットしそうですが、クラブはどのような決断を下すのでしょうか。DFドウグラス・グローリ選手、エミル・サロモンソン選手、MFジョルディ・クルークス選手、FWフアンマ・デルガド選手は残留へ向けて動いているでしょうが…。

 

いずれにせよ、来季はアビスパがJ1に定着するための重要なシーズンとなります。今季のアビスパの躍進を見て、「アビスパでプレーしたい」と思う選手が増えたのではないでしょうか。どのような選手が加わるのか、とても楽しみですね!!

 

FC東京戦に挑むアビスパのイレブン。来季はJ1定着へ大切なシーズンとなる!!

 

 

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