葛飾北斎のお墓は、昨年まで住んでいた台東区の浄土宗誓教寺にあります。稲荷町と田原町の間で、良く前を通っておりお参りもしました。
今年は大晦日に長野へ行き2日には帰って来たのですが、元日に小布施にある北斎館へ行ってきました。
90年の生涯で、多くの錦絵・絵手本や肉筆画を制作した葛飾北斎ですが、初めて信州小布施を訪れたのは83歳の頃だそう。
東京から小布施まで今でこそ2時間少々ですが、新幹線などない時代に
江戸から小布施まで83歳の老人が歩いたなんて…とても信じられません。
そのきっかけは、天保の改革により江戸で制作が制限されたとも
地元の豪農・豪商の高井鴻山の招きに応じたとも、さまざま説があるようです。
どこへ行くか迷ったのですが、元日の開館を確認して北斎館へ。
昨日まで開催されていた、葛飾北斎が描くさまざまな演出を盛り込んだ空間表現を楽しむ展覧会を観てきました。
森羅万象を描く絵師として多くの人気作品を残した葛飾北斎は、物事を写実的にとらえるだけではなく
背景や構図などの空間に独特の表現を含ませることで観るものに斬新な世界観を示してきました。
風や光といった目には見えない自然現象までも絵具や墨の濃淡を利用して巧みに表現し
空間を装飾することで、作品全体の魅力を高めたのだそうです。
このような北斎独特の表現力は、若くして弟子入りした勝川春章から学ぶと共に、他の流派や海外の技法を吸収しながら成熟していったようです。
観ていてもこの展覧会はホントに一人の人が描いたのかしら?と疑ってしまうほど多彩。
現代ならネットを使ってインスピレーションを受けることも可能ですが、長距離の移動もままならない江戸時代…
リアリティ溢れる作品の一方で、誇張的・幻想的な作品も多く、北斎という人はまさに超人ですね。
小布施では鴻山の庇護を受け、アトリエというべき碧漪軒を与えられ、非常に恵まれた環境の中で北斎は大作を残します。
中でも85歳の時に東町祭屋台天井絵の龍図と鳳凰図を
86歳の時には上町祭屋台天井絵の男浪図と女浪図を手がけ
さらに88歳で岩松院本堂大間の天井絵の鳳凰図を描いたというのですから驚きます。
なんというバイタリティ!どれも北斎の世界観が色濃く残る傑作で、一度は観たいと思っていた作品ばかり。
今回は元日で人も少なく思う存分楽しめましたが、これを書いていたらまた行きたくなってきました。
同じ頃に描かれた肉筆画や掛け軸など、北斎館にしかない作品も数多く残されているそうなので、それも楽しみ。
好きなことを仕事にしつつ、ここまで追求できるなんてホントに凄い人だったんですネ。
今回残念だったのは元日であまりお店がやっていなかったこと。次回は栗の美味しい時期にのんびり小布施の街を散策したいナ。
Googleマイマップで作成したオリジナルマップです。
地図から記事を引くことができます。(一部未対応)
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