定時で帰ることになっているが、そのまま家に帰るというのもつまらない気がして、
時々、公園に立ち寄って帰ることがある。
M氏は、今日も夕暮れの公園のブランコにひとり腰かけた。
やがて日が落ち、夕闇に星がきらめき始めた。
あたりは、すっかり静かになり、近くにいる人たちの会話が聞こえてくる。
隣のブランコから若い男女の話し声が聞こえてきた。
「だんだん星が見えてきたね」
「空気が澄んでいるせいか、とても綺麗に見えるわ」
「正面に見えるのはオリオン座だ。
この星が見えてくると冬がやってきたという合図でもあるんだ」
「そうすると、私たち付き合い初めてから星座が一回りしたことになるのね」
「まだ、一回？
もっと、ずっと、二人でこの星座が回るのを見つめていたいね」
「えっ、それって、もしかして、、、」
「あっ、流れ星！」
「そう言えば、流れ星が見えている間に願いを言うと、叶えられるっていうよね」
「うん、そうだね。今度現れれば、願い事を言おう」
M氏が、そろそろ帰ろうかと立ち上がった瞬間、
「あ、また流れ星！」
「早く！早く！願い事」
「ラーメン食べたい！」
「私もー！」
M氏は、つぶやいた。
「同感」
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<了>