「自分の作品を有名な美術館に飾るという夢をほんの一瞬、実現したドイツ人の男がいた」
と書かれていた。
場所はドイツ・ミュンヘンのピナコテーク・デア・モデルネ美術館。
その名の如く現代アートやドイツ表現主義の画家の作品を多く所蔵している。
そこにこっそり、自身の作品を並べて展示したというもの。
実は、この男、この美術館に勤務しているスタッフ。
その彼が「オイラの作品がピナコテーク・デア・モデルネ美術館に展示されているんだぜ」とSNSに打ち込んだ。
そのため、それが発覚し美術館の警備員がこれを受けミュンヘン警察に通報した。
もちろん男は契約解除となり、美術館への出入り禁止の処分となった。
これは、当然の帰結とも言えるが、
かつて、このような「美術館ジャック」を行なった有名人がいた。
その名はバンクシー。
バンクシーといえば、さまざまなところにゲリラ的に現れては、作品を残してゆく。
その作品が共感を呼び、今や世界的な人気を得ている。
2021年に競売場に持ち込まれた彼の作品は、オークションにかけられている際に、
自動的に作品の下に仕組まれたシュレッダーにかかる構造になっていた。
それが途中で停止してしまったが、その作品が改めてロンドンで競売にかけられ、何と1,858万ポンド(約29億円)で落札された。
それ以前の、まだ彼の名が、そんなに知られていなかった2004年。
パリのルーブル美術館に勝手に"Mona Lisa Smile"と呼ばれる作品を展示したことがあった。
その作品は、レオナルド・ダヴィンチの名作「モナ・リザ」へのオマージュとして作ったもの。
ルーブル美術館がバンクシーを訴えたという話は聞かなかった。
ユーモアとして受け取るか、犯罪か。
美術館の考え方一つ、といったところがあるようだ。
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