東京都調布市の小学校で、担任教諭が乳アレルギーの五年女児(11)に給食で誤って粉チーズ入りチヂミを渡し、女児が死亡した事故から二十日で一カ月がたった。食物アレルギーのある児童や生徒は全国で二十万人ともいわれる。ミスを防ぐにはどうすればいいのか。調布市や研究者らが検証を続けている。 (梅村武史、大平樹)

■一覧表には×

 この小学校には食物アレルギーのある児童が十六人おり、特別な給食体制を取っていた。栄養士とチーフ調理員、保護者が打ち合わせ、原因食材を除いた「除去食」を用意。ほかの児童と違う色のトレーで調理師が直接、手渡していた。

 特に重い症状が現れる女児ら四人がおかわりを求めた場合、担任は学校側が作成した「除去食一覧表」を確認し、提供していいかどうか判断する決まりになっていた。

 それでも事故は起きた。女児がチヂミのおかわりを求めた際、担任は保護者が作成した献立表を女児から見せられた。チヂミには禁止のマーカーが引かれておらず、粉チーズ入りを渡してしまう。除去食一覧表にはバツ印があったが、チェックを怠ったという。

 「担任が学校の資料で確認すべきだったのはもちろんだが、給食時は(教室内が)混乱するから一概に責められない。『除去食の子はおかわりなし』とシンプルに運用したほうがいい」。藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院小児科の宇理須厚雄教授はそう指摘する。

■緊急時の対応

 今回の事故では女児が体調不良を訴えた後、アナフィラキシーショックの症状を抑える自己注射薬エピペンを使うタイミングも遅れた。学校では二カ月前にエピペンの講習会があり、担任も緊急時に使う必要性を認識し、女児に「これ打つのか」と尋ねている。

 だが「打たないで」と言われ、ためらった。校長が注射したのはそれから約十分後で、女児はすでに意識がなかった。宇理須教授は「エピペンは打つのが早過ぎても副作用は小さい。迷ったら打つべきだった」と話す。

 さらに、養護教諭が女児の訴えでトイレまで背負って連れて行ったが、宇理須教授はこれも「血圧が下がっているときに体を縦にすると、脳や心臓に血液が届かなくなる」としている。

■事故を教訓に

 学校給食をめぐっては、一九八八年に札幌市の小学六年生がそばアレルギーで亡くなっている。日本スポーツ振興センターの調査では、給食に伴うアレルギーの健康障害は二〇〇八年度までの四年間で八百四件。死亡につながりかねない重い症状も少なくなかった。

 「誤食さえ避けられれば良かったという短絡的な結論は避けなければならない。ヒューマンエラーは必ず起きる。不幸な事故から学ぶことが第一」。相模原病院臨床研究センターの海老沢元宏アレルギー性疾患研究部長は、全国的な実態調査に基づく再発防止策の必要性を強調する。

 医師や弁護士らを交えた調布市検証委員会は二月中に報告書をまとめる。会長を務める市教委の塚越博道教育部長は「子どもの死を無駄にしないで、という遺族の希望がある。マニュアルの不備を洗い直し、手本となる対策を打ち出したい」と話している。

 アナフィラキシーショック 強いアレルギー反応の結果、腹痛やおう吐、血圧低下、呼吸困難などが同時に、急激に現れる症状。放置すれば生命に関わる重い状態になる。


東京新聞 2013年1月21日 



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