神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫 人種問題(3-032)
読売新聞 1938.11.23-1938.11.25 (昭和13)

 

(上) 動く""求利""の魔手 彼等への認識改めよ

 

自動車王喝破

ロンドンタイムスの元主筆故ウイッカムスチートは「作家も政治家も外交官も思い切ってユダヤ人問題に手をつけなければ一人前でない」と書いているが、彼は欧洲大戦中英国宣伝謀略ブラックチェンバー、クリューハウスに立籠り、対澳洪国宣伝部長として辣腕を揮い、戦線の澳軍を宣伝の毒ガスで戦意を失わせ崩潰させた殊勲者であるから意味深長である。日支事変の進展に連れ今まで背後に隠れておった世界の癌といわれるユダヤ人問題も、日本朝野のうちに少なからず認職されて来た。近来殊にドイツ外交官の暗殺問題を機としてユダヤ人問題は愈よ政治に外交に世界的の波紋を投げかけている。然らばユダヤ人問題とは何か、自動車王フォードは今から十九年前その著書国際的ユダヤ人の序言に「ユダヤ人問題とは当の周知の事柄、即ち財政及び商業上の支配、政権の□断、あらゆる生活必需品の独占、及びアメリカ言論機関を意の儘に操縦する事等に関係する問題に止まらないで現今においては文明の実生活界中にも侵入しているのである。ここにおいてか該問題は全アメリカ人の死活問題となった次第である。なおユダヤ人問題は南アメリカにも関係する問題であって、今や大いにその範囲を拡張して南北を通じ全アメリカの諸事件に関連する脅威的一成分となっている。またユダヤ人問題は諸国民を不安ならしめる計画的組織的擾乱の危険な現象と頗る重大関係を有し、しかも決して新現象ではなくその根源は遠く過去に存在し、この長期間の継続は各種の変化過程を示し過去は現在の、現在は将来のための次の過程の準備となって進むべき道を明示し来ったものである」

 

独少佐の先見

更に英帝国ファシスト連盟の指導者アーノルドリース氏は「英国のファッシストはユダヤ財閥に依って代表されている金権政治に対抗して、英国人のための真の英国政府を再建するのだ、吾々の敵は人類平等や偽善に満ちた国際主義の名に隠れて英国大衆の金を捲上げ、過激派と国際連盟と国際決済銀行と金本位制を武器として各国民の伝統精神を亡ぼさんとするユダヤ人である。今日英国と仏国とが提携しているのは民族的な真の提携ではなくそれは両国政治の要衝を握っている国際的ユダヤ財閥のやっていることだ」といっている。また今事変三年前にドイツのストッス少佐著「ユダヤ人と日本の戦」中に彼は、今日の日支衝突をユダヤ人世界支配の経済戦思想戦上必然的帰結としてドイツ人一流の科学的克明な態度で論破しているが、今日これを見ると不幸にして彼の所論予言が的中した結果となっている。彼は「国際ユダヤ人は彼等の支配する世界経済の目的に合致せしむるため、諸民族の協力性の基調たる団結を破壊しこれを分裂奴隷化せしめ、更に永遠に亙る金の独占と投資の自由を確保するために、非ユダヤ民族をして幾代にも亙って負債を負わしめた今日の世界金現在高を数倍超過する程の厖大なる借財を全非ユダヤ民族のうちに負わしめた悪魔的な種々の戦争は、ユダヤ世界経済の目的逹成のために工夫された彼等の方策中の尤なるものである。彼等は断じて自ら戦争に参加することをしない、しかしながら彼等は他の諸力を交互に戦争に駆り立て勝者も敗者も共に従属的な生活を余儀なくするように仕向けるのであると書いている。非常時は問題を単純化する傾向があるが隠れたるユダヤ人問題も亦少なからず表面暴露されて来た。これ等を冷静に検討すると日本知識階級の従来の国際常識は甚だしく不備な点のあったことが判る。ユダヤ人問題はその認識不足の一適例を提供するものである、故に、それについて記載して見よう。但しお断りして置くが余はここに鄙見を開陳せんとするものではない。内外ユダヤ人問題研究機関または個人の意見を過去十九年間の経験を基とし公平に綜合し読者に紹介せんと試みるものである。

 

仏の援蒋裏面

最近に至ってフランスの反日態度が著しく日本朝野を刺激しているが、これは必ずしも仏国民若くは仏政府を責むべきものではなく、仏国朝野に蟠踞する特殊民族の動向と見るべきものである。仏領印度支那の防備強化、英仏共同対日示威、西沙島占拠事件、或いは仏国の対支借款説流布等を観察すると仏国植民相のマンデルことユダヤ名ジェロボアム・ロチルドの活躍がパリ外交界に話題を提供している。彼は米国ユダヤ人機関誌アメリカン・ヘブリューなどがフランス未来のビーコンスフィルドと激賞している有力ユダヤ政治家である。彼は世界大戦当時クレマンソーの書記官長を勤め大戦外交の裏面に暗躍した男で、虎のクレマンソーの背後にあるグレーハウンドとして外交界に有名であり、現今でもムソリーニ首相は彼をフランス政府の黒幕として睨んでいる事は同誌即ちユダヤ人自ら書いている所である。何故に彼が閣僚中の反対説を排して反日行動に出ているか?それは要するに支那における仏国ユダヤ財閥ドレヒュース等の権益擁護の同胞的感情が多分に支配しており、またユダヤ人の仇敵ナチス・ドイツの盟邦たる日本が憎いからに外ならない。進退に兔角の噂のある駐支仏国大使ナヂャール氏もユダヤ人である。彼は極東ユダヤ人王国といわれる上海の同族の誇りとする所の熱心なるユダヤ民族主義実践者である。序にいえばヒューゲッセン前駐支英国大使もユダヤ人である。更に支那における外国権益なるものを検討すれば上海、香港を中心とする国際ユダヤ財閥の権益と称しても過言でない。