『失敗か成功か』 ・・・ 自信を失ったときに②(第98回) 令和2年6月掲載
百の事を行って、一つだけが成ったとしたら、これははたして失敗か成功か。
多くの場合、事のならない九十九に力を落とし、すべてを失敗なりとして、悲観し意欲を失い、再びそのことを試みなくなる。
こうなれば、まさに失敗である。
しかし、よく考えれば、百が百とも失敗したのではない。たとえ一つであっても、事が成っているのである。
つまり成功しているのである。一つでも成功したかぎりは、他の九十九にも成功の可能性があるということではないか。
そう考えれば勇気がわく。希望が生まれる。
そして、事のなった一つをなおざりにしないで、それを貴重な足がかりとして、自信をもって再び九十九にいどむことができる。
こうなれば、もはやすべてに成功したも同然。必ずやその思いは達成されるであろう。
どちらに目を向けるか。
一つに希望をもつか、九十九に「失望するか。失敗か成功かのわかれめが、こんなところにもある。
繁栄への一つの道しるべでもあろう。
松下幸之助
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