■個人的理由で一押しの1988タイムスリップ『ライフ・オン・マーズ』!´▽`)/ | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

「88年度、やつらの楽しい復古捜査記!」

 

 

今日ご紹介するのは韓国ドラマですね。前回ご紹介したイ・ジュヨンさん主演の『タイムズ(타임즈)』に続いて、同じOCN発のタイムスリップものであるドラマ『ライフ・オン・マーズ(라이프 온 마스)』(→日本のホームページ)です。『タイムズ』がよかったので、その勢いで今回、全16話を見終わりました!♪ヽ(´▽`)/

 

いちおう、イギリスの2006年のドラマシリーズ『Life on Mars(邦題:時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ)』のリメイクで、主人公が現代の科学捜査の知識をもって、タイムスリップした先の昔の犯罪捜査に活かして行く、というものなのですが、こちらはそれ以上に、主人公が子供の頃の自らの家族に会って、憧れていた父の実際の姿とその死の真相を知っていくという、韓国的親子愛テーマのほうがメインプロットになっています。

 

さらに、それよりも何よりも私にとっての魅力は、懐かしい1988年の韓国の町並み、人々の姿、文化、人間関係が再び見られた、ということなのでした。

 

 

●かつて私をとりこにした時代の韓国

 

私が初めて韓国に来たのは1988年初め、まさにこのドラマで描かれている時代です。その後、定住するようになったのは1992年ですが、その80年代終わりから90年代初めの韓国が、私の中で一番の思い出であって、私の中にはいつでもその頃の韓国にもう一度暮らしたい。もう一度、その頃の街を歩き、もう一度その頃の下宿の友人たちや職場の同僚たちと一緒に時間を過ごしてみたい、という強い強い願望があります。

 

このドラマはまさにその私の夢を叶えてくれたような作品でした。チョン・ギョンホさん演じる主人公テジュは、現代社会の最先端の文化の中で生きながら、仲間を仲間とも思わないような冷徹さで周囲から嫌われる頭脳明晰刑事だったわけですが、1988年にタイムスリップすることで、その時代の韓国の温かい人間関係の中で感化され、じょじょにじょじょに人間らしい情緒を見出していく、という話になっているわけです。

 

やがて主人公の心が、「現代に戻るよりもここで暮らして行きたい!」と強く思うようになっていくわけですが、それがまさに私自身の願望そのままであって、私にとっては一言でいって幻想的でこそあったし、また一つの『応答せよ1988』であったと思います。

 

韓国に住み始めた当時の私は、下宿の仲間たちと、勤めた事務所の人間関係の中で、まさにこの主人公とまったく同じ体験をしたわけです。最初は皆のその歯に衣を着せぬ率直さ、馴れ馴れしさ、異常なほどの連帯意識、毎日のように共にとことん飲んで食べる文化に面食らったものなのですが、それがじょじょに、日本人であった私の中に浸透してきて、テジュのように、やがて私自身を完全にとりこにしてしまいました。

 

たしかに、その当時の文化的慣行は、現代人の目でみれば、人権だ、マナーだという観点で正しくないこともあったでしょう。しかし、それはそれで、その時代の文化の中ではふつうだったわけです。私の勤めていた事務所にも、ちょうどカン・ドンチョル係長のような背の高い上司がいて、朝、出勤すると女性職員を「キム嬢」のように呼んでは、インスタントコーヒーを淹れるように頼んでいましたし、彼女は電話受けや文書作成のような雑務ばかりしていました。

 

現代から行ったテジュは、女性の巡査がお茶酌みのように使われている姿に驚いて、逆にテジュのほうがときどき彼女にコーヒーを淹れてあげるし、彼女に名前を尋ねると、本人の口で「『ユン嬢』『ミス・ユン』と呼んでください」と答えるのを、きちんと正して「ユン・ナヨン巡査」と呼ぶようになり、同僚として重要な仕事を彼女にも頼み、また共に現場捜査にも出かけます。実際、ユン巡査は業務も格闘技も、事務所で一番優秀だったりもします。

 

 

●テジュを救った1988年の仲間たち

 

でもそれらの仕事上の常識の違い以上に大きなことは、その当時の職場の仲間意識、人間関係の文化であり、互いが互いを家族のように絶対的に信じて、決して疑わないという、まるでヤクザの義兄弟かという連帯感であるわけです。事実、酒の席では部下は係長を「ヒョンニム(お兄さん)」と呼び、熱いまなざしで「ヒョンニム、愛しています」というと、係長も「おう、俺もお前を愛しているぞ、こいつ!」といいます。係長が、一人ひとりのご飯の上に目の前の皿からキムチを手でつまんで載せてあげると、部下たちは皆、子供のように喜んでお礼をいいながら、美味しそうに食べます。それは汚いとか自分で取っても同じだという問題ではなくて、「愛」をもらって食べているわけです。韓国人が家庭で親から受ける愛の表現なわけですが、それが社会においても生きていたということになります。さらに愛を求める男性の部下は、「ヒョンニム、肉もお願いします!」、「分かった分かった、脂肪の少ない美味しい所をあげよう」という会話がなされるわけです。

 

それらが主人公テジュが生きていた現代と、1988年との間のコントラストとして描かれているわけです。だから、第1話冒頭で現代における主人公のスマートなビジネスパーソンぶりを見た後に、タイムスリップして1988年に舞台が移ると、その瞬間から完全に別のドラマを見始めた感覚になります。現代のテジュの「元約婚者」は、見かけはかわいく美人だが、仕事上はまるで女傑という現代ドラマの優れたヒロイン像です。それに対して、1988年のヒロインであるユン巡査は、もはや滑稽なくらい物腰が柔らかくて話す言葉もはにかみながら小声でおとなしいのですが、ところが節操を持って話すその言葉の一言ひとことはとても知恵に満ちて、心に届くし、深いわけです。

 

個人的にその姿は、私がかつての韓国女性たちに見ていた魅力そのものであって、それもまた懐かしくて涙が出そうでした。また、このコ・アソンさんという俳優がここまで魅力的なチャーミングさを備えていることを、今回初めて発見することにもなりました。

 

最後にやっぱり係長役の名優パク・ソンウンさんですよね。このガハハ演技は昨年の映画『オッケー!マダム(邦題:ノンストップ)』でも披露されていましたが、今回は1988年にあってそれが完全に完成していたといえます。その傍若無人ぶりが最高であって、一緒にいるだけですべての悩みがなくなるタイプの韓国の、この大きくがさつで偉大なる「ヒョンニム」によって、テジュの心が本当に救われていくわけです。(´ぅ_ ;`)

 

私にはこのテジュの心の変化がよくよく分かりました。なぜなら、すべて私自身が30年前に経験したことばかりだからです。それゆえに、何よりドラマを観終わることが寂しかったし、観終わればその世界に再び別れを告げて、2021年の世界にタイムスリップして来なければならないことが悲しかったです。ラストは楽しく歌うシーンとして、とうてい泣くシーンではなかったのですが、私はとにかく涙、涙でした。ということで、ある意味、至極個人的な理由ではあるのですが、『応答せよ1988』と共に、愛すべきまた一つの1988年モノドラマとしておススメです!ヾ(≧∇≦)〃♪

 

 

【あらすじ】 2018年、テジュは連続殺人の容疑者ミンソクを追っている最中、銃で撃たれ、さらには車にはねられてしまう。ところが、目覚めると1988年だった!? そこで、2018年にいるはずのミンソクを見掛けて追跡するのだが、テジュも不審人物として逮捕されてしまう。なぜか仁娍(インソン)市西部警察署に赴任する辞令を持っていた彼は、上司のドンチョルと対立しながらも事件を解決に導いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ドラマ『ライフ・オン・マーズ(라이프 온 마스)』予告編。

 

 

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