■何があっても家族の愛があれば感動に変わるという大型パニック・コメディ! | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

シンクホールに落ちたビラの住民たち。

 

 

●思わず私の話かと思ってしまう共感帯

 

久しぶりに韓国映画の紹介ですが、チャ・スンウォンさんとキム・ソンギュンさん主演のパニック・コメディ映画『シンクホール(싱크홀)』(キム・ジフン監督)ですね!せっかく手に入れたマイホームが、突如、地下500mのシンクホールに墜落してしまうという恐るべき大型絶望パニック映画です。♪ヽ(´▽`)/

 

でもそうでありながら、一番の見所はやっぱり韓国映画の醍醐味である親子の愛、特に今回のテーマは、父と息子の愛です。それが本当に感動的で思わず涙してしまいます。最近流行の『イカゲーム』でもデスゲームものに親子の情愛をしっかり入れて世界的ヒットになっているわけですが、この映画もパニック・コメディであるというのは外側の器に過ぎず、結局は家族の絆の話なんですよね。それはもう思い出すだけでうるうるしてしまうほどです。(>_<)

 

主人公は位置的にはキム・ソンギュンさんなのですが、コメディ演技としては圧倒的にやっぱりチャ・スンウォンさんの魅力が最高です。味わいある台詞ギャグがまさに芸術であり、見事としかいいようがありません。

 

ただ、個人的には今回の作品のキム・ソンギュンさん演じるドンウォンにあまりにも共感帯があり過ぎて思わず「私の話か」と思ってしまいました。そもそも、その平凡な容姿と雰囲気から、昔から没個性的な脇役が多かった俳優さんですが、演技は上手だったし、じょじょに顔が覚えられて主役も演じるようになっていかれましたよね。私の中では2012年の主演作である心霊スリラー『隣人(이웃사람)』が怖くて一番印象深かったです。一番「隣人」っぽい役者さんならではのシリアスなリアリティでした。

 

今回もそういうリアリティゆえの共感ではあるのですが、何よりも10年かかって頑張ってソウルに自分の家を買った、というわけです。5階建てのマンションの最上階501号に住んでいるわけですが、…う、うちと同じじゃないですか!(((°`∇´°;))) 

 

そのぐらいのマンションは韓国では「ビラ」といって、不動産投資の対象にならないために、残念ながら買った瞬間から値段が下がっていってしまいます。いっぽう10階以上の大型マンションは韓国では「アパート」といって、人気が高いのでどんどん値段が上がっていくわけです。

 

それで、「ビラ」の家を買った主人公は、お披露目パーティーに来た職員たちから「どうして銀行からお金を借りて無理をしてでもアパートを買わなかったんだ」といわれるわけですが、その言葉はまさに私が一番耳が痛い言葉なのでした。(T▽T)

 

2008年頃のことですが、今の我が家を買った時に、妻からまさにいわれたことでしたが、日本のバブル崩壊を知っている私が頑として反対してしまったわけです。その時に実際、少し借金をして、無理をしてでもソウルにアパートを買っていたなら、今頃は値段が3倍ほどには跳ね上がっていたでしょうね。今ではもう不可能ですが…。ということで、主人公家庭に他人とは思えない情愛を抱きながら見させていただきました。(^^;)

 

 

●公認された自らの価値知らせる親の愛

 

主に前半の集められたギャグが本当に面白く、チャ・スンウォンさんと共に『ランニングマン』でお馴染みのイ・グァンスさんのとぼけ具合が最高でした。それにしても地獄の底に落ちるような500mのシンクホール(地下空洞)というものが本当にあり得るのでしょうかね。見ていればまさに恐怖の一言です。

 

しかし、そのパニックの中で輝くのが父親の息子愛なのでした。まずは、チャ・スンウォンさん演じるマンスが男手一つで育てている息子が、父に反抗的な態度を取っているのですが、父親はとにかく息子が心配でしょうがない。皆で鶏肉を食べる時には、一番美味しそうな大きな鶏の脚をドンウォンが食べようと口の近くまで持っていった瞬間、「ちょっと待て」といってさっとそれを取り上げて息子に渡します。

 

私たち日本人にはあり得ない行動のようですが、韓国では親子の愛は皆が最も大切に思う公的な価値であるため、その一見あり得ない無分別な行動こそが、すべてを超えた心温まる父の愛なわけですよね。ドンウォンもその時、一瞬マンスを恨めしそうに見ますが、すぐに彼の息子の背中に手を当てて、優しく「いいから食べなさい」といいます。マンスは代わりに小さい切れ端をドンウォンに渡し、ドンウォンは再び一瞬ショックを受けますが、すぐに美味しそうに食べ始めます。それはそれでも嬉しいからです。

 

韓国人にとっては、子供がそのように、「公的な親の愛」によって、「自分は無条件に愛されている貴い存在である」と公認された自らの価値を知ることこそが重要であり、そこから人が生きる力、何よりも自尊感情を得るようになっているわけです。その後、父親マンスの絶体絶命の危機に対して、その反抗していたはずの息子が取った行動はまさに感動の一言です。(T_T)

 

さらにもう一つの父の愛は、最も平凡なサラリーマンお父さんであったドンウォンが、自らの息子を救うために命懸けで取るランボー的な行動力が感動です。さらに最後には、途中で思わず自己中心的な行動を取ってしまった姿を息子に睨まれて反省したマンスが取る決死の行動が、またこの映画のクライマックスとなっていきます。

 

それ以外の心温まる要素もいっぱいなのですが、そのすべてがなぜこんなに心温まるのか、あまりにも身近な韓国人の日々の愛情物語ではあるわけです。これも、コロナの中であるからこそ、そういうふつうの庶民の愛情表現に触れて心が安らぐのかもしれません。パニック自体は大型災害ですから、やっぱり胸が痛いシーンも多いのですが、結論からいえば、何があっても家族の愛を信じて生きていこう!と思わせてくれる貴い1本でした。おススメです!ヾ(≧∇≦)〃♪

 

 

【あらすじ】 ソウル暮らしとマイホーム購入の夢を叶えた家長ドンウォン(キム・ソンギュン)。引っ越し初日からおせっかいなマンス(チャ・スンウォン)と揉めてしまう。ドンウォンは新居お披露目パーティーとして職場の同僚たちを自宅に招くが、幸せなひとときも束の間、あっという間にマンション全体が地面の中に落ちてしまう。挨拶をするたびにぶつかっていたマンション住人のミンスとドンウォン。ドンウォンの自宅に招かれていたキム代理(イ・グァンス)とインターンのウンジュ(キム・ヘジュン)まで。地下500メートルのシンクホールの中に落ちた彼らは無事に抜け出すことができるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


映画『シンクホール(싱크홀)』(キム・ジフン監督)予告編。

 

 

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