■脱北者で逃がし屋美人ドライバーのカー・アクションが最高です！≧∇≦)〃♪

「返品不可能特送にすべてを懸けた！」

久しぶりに韓国映画紹介です。しばらくサボっていたので、紹介したい作品は多いのですが、とりあえず、今年これまで観た中で一番カッコよく面白かった犯罪アクション映画、パク・ソダムさん主演の『特送（특송）』（パク・デミン監督）をご紹介します！♪ヽ(´▽｀)/

アカデミー作品賞『パラサイト』のグローバル女優パク・ソダムちゃんがヒロインで、かつ同じく『パラサイト』で金持ち社長宅の幼い息子を演じたチョン・ヒョンジュン君が、10歳のかわいい「恋人」役として登場、おまけに茶トラ猫の「ポソンイ」までが愛嬌を振りまき、そこに、キレッキレのカー・アクションを中心に、一方で拳銃アクション、肉弾アクションも見られる韓国ノワールですからね。面白くなかったらおかしいです。基本ジャンルは、ハリウッドでいえば、いわゆるライアン・ゴズリングの『Drive』（2011）やアンセル・エルゴートの『Baby Driver』（2017）ばりの犯罪がらみの逃がし屋ドライバーモノのお話であり、彼女のテクニックとカーアクションが本当にすごくてハリウッドに負けていませんでした。

実際には逃がし屋なのですが、それを世を忍ぶ別名として「特送」と呼んで、その成功率100％のスゴ腕配送専門ドライバーが、パク・ソダムちゃん演じる「ウナ」なわけです。ただし、私が一番感動したのはそこではなくて、この「ウナ」が、ちょうどドラマ『イカゲーム』のヒロインと同じに、家族を北朝鮮に残して脱出してきた平安南道出身の「脱北者」なわけですよね。さらに命を懸けて彼女を守ろうとする、情の深い韓国人上司が元「脱北ブローカー」であり、彼女を助けようとする善の側の中心が国家情報院の脱北審査担当者であるという、まさに個人的に最も感情移入してしまう設定なのでした。

というのも、私が韓国のテレビで唯一毎週見ている最高のお気に入り番組が、脱北者のバラエティである『今会いに行きます（이제 만나러 갑니다）』（チャンネルA、2011年放送開始）だからですよね。その番組ではふだんは脱北者の脱北ストーリーなどの苦労の話がメインですが、ときどき彼らの脱北を助けてくれたありがたい「脱北ブローカー」が紹介されたり、彼らを韓国で受け入れた脱北審査担当者や彼らを地域でサポートする保護担当刑事が登場したりもします。その人々との脱北者たちの情のやりとりがまた感動なのでした。

たとえば、北で新聞記者を務めていたある女性エリートは、自らが脱北して来た時に、国家情報院の担当者が「金女史がこうなったのは金女史の過ちじゃないではないですか。金女史に罪があるとしたら、北韓で生まれた罪しかないじゃないですか。金女史が大韓民国に来られたことを心から歓迎いたします」といってくれたことで、どれだけ救われたかといいながら涙を流します。あるいはある男性脱北者は、自尊心が高い自分が韓国で適応できず、事業に失敗してお金に困って食べるものもないでいる時に、部屋を訪ねてきて黙って私費で大金を置いていってくれた保護担当刑事に対する感謝を語っています。

そのような脱北者たちの暮らす実情を少しでも知っている者としては、映画の中での会話の背後の事情が多く想像できて感慨も深かったですし、一番の悪役が、ドラマ『マイ・ディア・ミスター～私のおじさん～（나의 아저씨）』で3兄弟の末っ子を演じたソン・セビョクさんが演じる腐敗刑事なわけですが、彼が絵に描いたような悪徳警察として、脱北者を皆、差別用語で「アカ（パルゲンイ、빨갱이）」と呼んでいることが、自分が受けている差別のように胸が痛かったです。

また、国家情報院の脱北審査担当者というのが、ドラマ『未成年裁判（소년심판）』で非行青少年の真の理解者となろうとする青少年回復センターのセンター長役だったヨム・ヘランさん演じる「韓課長」です。彼女が、警察から「誘拐犯」とされて逃亡している「ウナ」の逮捕のために協力しながらも、決して警察をすべて信じずに、部下たちと共に独自に調査をしていくあたりが、脱北者たちを真に理解しつつ、何より彼らに対する社会の偏見と差別をよく知っている人間としての賢さ、鋭利さが感じられて感動的でした。（ただ、もう少し早く助けに来てほしかった）

ということで、出てくる俳優たちがみんな素晴らしく、最後に「ウナ」が「配送」する、チョン・ヒョンジュン君演じる「ソウォン」までが、最高にキュートで完璧な演技を見せているということために、この映画は最高なのでした！あと、猫もかわいかったのでさらにおススメです！ヾ(≧∇≦)〃♪

【あらすじ】 予想外の「配送」事故で手のほどこしようもない事件に巻き込まれた「特送」専門ドライバーのウナ（パク・ソダム）。なぜか引き受けることになった返送不可の手荷物に、出処不明の300億ウォンまで。警察と国家情報院のターゲットとなり、都心のど真ん中ですべてを賭けた追撃戦を繰り広げることになるのだが…。