フライドチキンと海のおと。

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思わずゾッとする怖い話

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聞きまつがい。

いやあ。
いろいろと疲れたわ。
なんやかんやあったわ。
ま、いーんだけどね。
で、ちょっと更新が滞ってしまいました。
みなさま、申し訳ございません。
生きてますよー。





さて。


僕は子どもの頃、相当に頭の悪い少年だった。
ま、今も決していいとは思えないけどね。
よく聞き間違いというか、
勘違いをしていたようだ。
“語感”というやつに騙されるのだ。


例にあげてみよう。


「苔むす」という言葉。
コケがびっしり生えている、という状況ですね。
僕はこれを「コケのムース」だと思っていた。
子どもの頃。子どもの頃ですよ。
コケのムース。
見た目は抹茶ムースにさも似たり。
でも青っぽい味なんだろうなあ。
甘みと合うのかなあ。
なんて思ったり。
コケの、ムース。

ハライチかよ。



もう一つ。
「文房具屋」という言葉。
僕はこれを「文ボーグ屋」と頭で変換していた。
ボーグという言葉に何だかサイバーパンクな風味を感じたのだ。
そういえばあの店にいるおばちゃん。
なんだか動きがアンドロイドっぽいなあ。
たまにいるマッドサイエンティスト風のじいさまに改造されたんだろう
か。
そうかそうか、アンドロイドか。
だからおつりとかも絶対に間違わんのだなあ。
なんて思ったり。
ははは。

ばーか。





バイク便のライダーを指し、


「もうすぐライダーがウチに来る」


と母が言った。
僕は勝手に本郷猛的濃い口おにいさんを想像し、
来たら必ず


「僕もあなたと一緒にショッカーと戦いたい」


旨を伝えようと思った。
かくして数十分後に「まいどー」と現れた、
なんの変哲もない小太りのおっさん風宅配ドライバーを見た時の、
僕のヘコミっぷりったらなかった。


ははは。

俺ばーかばーか。


もちろんそのドライバーさんはプロのライダーだった。
確実に誠実に、荷物を運んでくれたんだからね。
この先何回くらい、
こういった勘違いをやらかすんだろうか。
不安で夜も眠れなくて、昼寝ばっかりしている。
俺ばーかばーか。

山に棲むもの その3

父と友人はいっさんに駆けた。
帰らなくては。
ここから離れなくては。
命の危機すら感じたという。


あの大きな木を右に折れてまっすぐ行けば。
村が見えるはずだった。
だが、見えない。
いつもあるはずの道がなかった。
麓に突き抜けるはずの道は大きく湾曲し、
また山の中腹に連れ戻された。


おかしい。そんなはずはない。


二人は二度、三度と同じ道を走った。
違う道を通ろうという考えはなかった。
知っている道ですら迷っているのだ。
知らない道など、

一体どこへ迷い込むかもわからない。
陽はもう山の稜線に消え入りそうだ。
こらえていた涙が噴出しそうになった。
さらに同じ道を走った。
これで五度目。


「見えた! 村だ」


二人が歓喜の声を上げた。


その瞬間、父は聞いた。


耳のすぐ後ろで、何かが舌打ちをしたのだ。



構わず、山を転がり出た。
ほんの一瞬だけ、
巨大な鳥のような何かが木々の間を飛ぶのを見た。





切り傷だらけで疲れ切った父を見て、祖母は顔色を変えた。


「ああ、そうか。センジュガナの日か」


そして泣きじゃくる父を抱き寄せ、何を見たのかを聞いた。
父が大きな鳥のようなものを見たと言うと、


「そうか、あれを見たか。よく生きて戻れたなあ」


と言って涙を流したという。

山に棲むもの その2

こんなこともあった。



友達と二人、山で鬼ごっこをしていた。
と、妙な声が聞こえた。
鳥のような赤子のような。
笑い声のような泣き声のような。
男のような女のような。
ちょっと活字化できない、妙な声だったそうだ。


見たこともない珍しい鳥でもいるのかもしれない。
そう思った父は、
友達と連れ立って山奥に分け入った。


よく遊ぶ辺りを離れ、二人は山中を進む。
とはいえ勝手知ったる山だ。
毎日のように遊んでいるので、けもの道まで知り尽くしている。
臆することなく、ずんずん奥に進んだ。
もう少し遠くでさっきの声が聞こえた。
さらに進む。


その辺りで二人は気づいた。


思ったよりずっと日が傾いている。
肌寒くなり、景色は他人行儀な顔をしている。
周囲は静まり返っていた。
妙な鳴き声どころか、ヒヨドリの鳴き声すら聞こえない。
山が静まり返る時にはろくなことが起こらない。


「えらく静かだな……」


そう父がつぶやいた時、


<げげげげげげげげ>


という凄い嗤い声が響いた。
<つづく>

山に棲むもの その1

僕の父は四国出身だ。
今より何十年も前、父がまだ少年だった頃は、
父の住む漁村はもはや隔離された感もある“超田舎”だった。
前は海。後ろは山。
その山を大きく隔てて隣町がある。
今はその山のど真ん中に大きなトンネルが掘られて、
かつて隔離されていた村は、
“次の町までの通路”みたいな扱いになっている。
もちろんアクセスは楽になった。
村の人は喜んでいるようだ。


子どもの頃は、
夏になると田舎に帰省した。
村の前にある海は水がきれいで、
磯には見たこともない不思議な生き物もたくさんいた。
思えば僕の“変な生き物”好きは、
この時代に醸成されたものなのかもしれない。



僕がその海や山で遊んでいた頃よりもうんと昔。
五十年ほど前だ。
少年だった父にとっても海や山は最高の遊び場だった。
祖父や村の大人から、
海や山に関する不思議な話もよく聞いたらしい。
父自身も経験したという。




ある日、山で遊んでいた時のこと。
どんどんどん、という落雷のような音が聞こえた。
父とその友達がびっくりしているとほどなく、
ざざざざ、と草や灌木をへし折りながら、
大木が5・6本、山の斜面を滑ってきた。
それら大木の切断面はあきらかに、
斧やのこぎりで切り倒されたそれではなかった。
何だかむしりとられたような。
さっきまで生えていた木を、
巨大な何かが掴んで力任せにちぎったような。
そんな切断面だったそうだ。
<つづく>

例によって酒がうまい

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