みなさん
12月ですね
大阪は一気に寒くなってきました
この時期になるとインフルエンザ始め、様々な風邪ウイルスが蔓延して上気道炎症状を起こしていきます
予防のためにうがいや手洗いを励行するのですが、先日とある質問を受けました
マスクはどのくらい効果があるのでしょうか?
ということです
とても素晴らしい質問ですね
マスクも無料ではありません
結論から述べます
多分効果的ですが、エビデンスは限定的です
効果があるとすれば、次の二つの理由です
①口腔内の感染源の飛沫を防ぐことができる
②口腔内の乾燥を防ぐことができる
前者ですが、これは想像すれば容易いことで、唾が飛び散る環境とそうでない環境、どっちが感染しやすいかを考えれば良いわけです
インフルエンザは通常飛沫感染です
咳やくしゃみで飛び散った微小粒子を吸い込んで感染する場合があり、この微小粒子を飛沫と呼びます
なので、マスクすればそれが防げます
一回くしゃみをするだけで数十~数百万の飛沫が飛びます
そして半径1m程度にいる人にバラ撒くのです
例えば学校生活
咳やくしゃみをする
→前の席の人の後頭部に撒き散らす
→前の席の人が頭を触る
→その手で食事
→感染
というわけです
マスクは人にうつさないための予防策ですもあるのです
で、
たまにこんな感じでマスクを着用している人がいますが、意味がありませんよ
と突っ込んであげてください・・・・
そして後者ですが、ウイルスは乾燥した環境で感染しやすくなると考えられています
粘膜が乾燥すると防御機能を発揮できないのではないかということです
通常粘膜の表面には腺毛と呼ばれる毛みたいな組織があり、これが体の中に異物が入らないように異物を流して押し出します
乾燥するとこの腺毛の働きが弱まり、異物はそこに留まりやすくなるのです
というわけで、マスクをして湿気を気道にとどめることで感染しにくくなるのではないかと考えられているわけです
ではそれを証明した研究はないのかということですが
あれこれマスクの効果を調べた文献があります
新型インフルエンザが流行した時にこの手の研究が流行りました
一つ紹介します
Cowling BJ, et al.
Facemasks and hand hygiene to prevent influenza transmission in households: a cluster randomized trial.
Ann Intern Med. 2009;151(7):437-46.
香港の研究
手洗いのみのグループ、マスク+手洗いのグループを、生活指導のみのグループと比較してインフルエンザ感染のリスクを調べた研究
259家族(794人)を解析したcRCTです
※cRCTについて
RCTはランダム化比較研究→研究対象をランダムにグループ分けして、介入群と何もしない群を比較。
cRCTはクラスターRCT→研究対象を分ける時に個人ごとだとRCTで、家族とか学級とかの単位毎でランダムに分けたものをクラスターランダム化するといいます。
アウトカムは介入から7日以内のRT-PCRでのインフルエンザ感染確認と臨床診断
手洗いのみは感染を予防する効果がありそうだが有意差なし
マスク+手洗いのグループも有意差はなし
ただし、マスク+手洗いのグループでは最初の家族が発症してから36時間以内に介入したサブグループを対象にした場合には、生活指導のみのグループと比較して家族内感染の低下が認められたということです
adjusted OR 0.33 (95% CI: 0.13-0.87)
というわけで、マスクの効果がありそうなんですが、規模が小さい研究であったり、サブグループのみの限定的な効果だったりで微妙な感じです
他にも幾つかの報告がありますが、ずっとマスクを本当に着けていてくれたのかとか、手洗いをどの程度実行してくれたのかといったコンプライアンスの問題があって評価が難しい試験です
普通に考えれば私生活を普通に送る一般市民が手洗いとマスクをどの程度遵守してやってくれるかというのは保証が難しい問題なのです
マスクに劇的な効果はないのだけれども、害もあまり考えられませんから、やるに越したことはないと思います
僕も仕事するときは着用を心がけています
12月ですね
大阪は一気に寒くなってきました
この時期になるとインフルエンザ始め、様々な風邪ウイルスが蔓延して上気道炎症状を起こしていきます
予防のためにうがいや手洗いを励行するのですが、先日とある質問を受けました
マスクはどのくらい効果があるのでしょうか?
ということです
とても素晴らしい質問ですね
マスクも無料ではありません
結論から述べます
多分効果的ですが、エビデンスは限定的です
効果があるとすれば、次の二つの理由です
①口腔内の感染源の飛沫を防ぐことができる
②口腔内の乾燥を防ぐことができる
前者ですが、これは想像すれば容易いことで、唾が飛び散る環境とそうでない環境、どっちが感染しやすいかを考えれば良いわけです
インフルエンザは通常飛沫感染です
咳やくしゃみで飛び散った微小粒子を吸い込んで感染する場合があり、この微小粒子を飛沫と呼びます
なので、マスクすればそれが防げます
一回くしゃみをするだけで数十~数百万の飛沫が飛びます
そして半径1m程度にいる人にバラ撒くのです
例えば学校生活
咳やくしゃみをする
→前の席の人の後頭部に撒き散らす
→前の席の人が頭を触る
→その手で食事
→感染
というわけです
マスクは人にうつさないための予防策ですもあるのです
で、
たまにこんな感じでマスクを着用している人がいますが、意味がありませんよ
と突っ込んであげてください・・・・
そして後者ですが、ウイルスは乾燥した環境で感染しやすくなると考えられています
粘膜が乾燥すると防御機能を発揮できないのではないかということです
通常粘膜の表面には腺毛と呼ばれる毛みたいな組織があり、これが体の中に異物が入らないように異物を流して押し出します
乾燥するとこの腺毛の働きが弱まり、異物はそこに留まりやすくなるのです
というわけで、マスクをして湿気を気道にとどめることで感染しにくくなるのではないかと考えられているわけです
ではそれを証明した研究はないのかということですが
あれこれマスクの効果を調べた文献があります
新型インフルエンザが流行した時にこの手の研究が流行りました
一つ紹介します
Cowling BJ, et al.
Facemasks and hand hygiene to prevent influenza transmission in households: a cluster randomized trial.
Ann Intern Med. 2009;151(7):437-46.
香港の研究
手洗いのみのグループ、マスク+手洗いのグループを、生活指導のみのグループと比較してインフルエンザ感染のリスクを調べた研究
259家族(794人)を解析したcRCTです
※cRCTについて
RCTはランダム化比較研究→研究対象をランダムにグループ分けして、介入群と何もしない群を比較。
cRCTはクラスターRCT→研究対象を分ける時に個人ごとだとRCTで、家族とか学級とかの単位毎でランダムに分けたものをクラスターランダム化するといいます。
アウトカムは介入から7日以内のRT-PCRでのインフルエンザ感染確認と臨床診断
手洗いのみは感染を予防する効果がありそうだが有意差なし
マスク+手洗いのグループも有意差はなし
ただし、マスク+手洗いのグループでは最初の家族が発症してから36時間以内に介入したサブグループを対象にした場合には、生活指導のみのグループと比較して家族内感染の低下が認められたということです
adjusted OR 0.33 (95% CI: 0.13-0.87)
というわけで、マスクの効果がありそうなんですが、規模が小さい研究であったり、サブグループのみの限定的な効果だったりで微妙な感じです
他にも幾つかの報告がありますが、ずっとマスクを本当に着けていてくれたのかとか、手洗いをどの程度実行してくれたのかといったコンプライアンスの問題があって評価が難しい試験です
普通に考えれば私生活を普通に送る一般市民が手洗いとマスクをどの程度遵守してやってくれるかというのは保証が難しい問題なのです
マスクに劇的な効果はないのだけれども、害もあまり考えられませんから、やるに越したことはないと思います
僕も仕事するときは着用を心がけています