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先日、何年もほったらかしにして

見る角度によってはちょっとした林にすら見えていた庭を

庭師さんにやっつけてもらいました。

裏の見えない方は近所の方のご好意で、木と言う木、すべてをただの棒にされてしまい

これはもしや、何かの報復か?と思うほどだったので

表もやるよ~、と言うご近所さんを大人の対応でかわし

知人の紹介で庭師さんにお願いしたとゆー訳なのです。

お陰さまですっかり綺麗になった我が家の庭。

母が元気だった頃は色とりどりの花が文字通り咲き誇っていたのだけど

今のわたしに花の世話が出来るわけもなく…

せっかくお庭が綺麗になったのだから、草引きでもしよう、と息子を半ば無理やり誘い

玄関を出てすぐのところにある花壇(と言っても花はないけど)の草引きに取りかかるわたし。

息子は散らばった枯れ葉などを竹ぼうきでまた散らかしたりしている。

ふと顔を上げると、母の故郷の対馬で自生する「なんじゃもんじゃ」の木がその若葉を風に揺らしている。

数十年も前に、母が対馬から持って帰り、ここに植えたのだった。

対馬では五月になると、山が白く染まるほどたくさんの花が咲くのだと言うが

母のなんじゃもんじゃは一度もその花を咲かせたことはなかった。

「対馬じゃないと咲かんのやろうねぇ…」毎年残念そうになんじゃもんじゃを見上げていた母。

母が生きている内に何とか花を咲かせて見せてあげたいと、ずっと思っていた。



揺れる緑に隠れるように、白い、花びら…?



弾かれるように立ち上がって見てみると

白く、柔らかで儚げな花が、咲いていた。

信じられない思いで、息子を呼ぶ。

花が咲いてるよ!すごいね!きれいだねー!!

興奮するわたしと白い花を交互に、不思議そうに見上げながら笑う息子。



翌日、花のついた枝を大切に大切に切って、母に見せに行った。


ママ、なんじゃもんじゃの花が咲いたよ

ずっと咲かなかったのにね

きれいな花だね

たくさん咲いてるよ


母の反応はなかったけれど


対馬の、花だよ


そう言ったとき

母の目が少しだけ大きく開いた。


この春に亡くなった、対馬のおばあちゃんが咲かせてくれたんだね


この、白い、優しい花を。

あなたのために。





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