2008/09/15

海外旅行でもう買い物はしません

ひさしぶりにグアムに来た。近くて手軽なリゾートで時差もたったの一時間。旅行代金もどういうわけか、沖縄などより安い場合が多い。飛行機の距離は倍ぐらいなのにかかわらずである。

ところで、海外旅行における楽しみのひとつは買いもの。特に女性にとっては、その傾向が強い。ブランド品や高級嗜好品、化粧品などが日本より安く買えるというのがその魅力である。

ところが最近、海外で買い物をしようとしても、購買意欲がわかない。価格が安くないからである。

今回、いろいろチェックしてみた。(興味があるものだけですが・・・)

・Louis vuitton が、せいぜい10から20%引き程度。
・高級化粧品は少しましで、20から30%引き程度。
・Tumi のかばんは、ほとんど変わらず。
・Callaway のゴルフクラブもせいぜい20%引き。
・酒は同じ銘柄なら、日本の方が安いぐらい。
・Ralph Lauren のポロシャツも日本と同程度。

のように、日本の値引きなしの標準価格と比べさえも大して安くないのである。昔は、ウイスキーは半額、ブランド品も4割引、衣料品も半額、ゴルフクラブも6割引きで買えたものだが、その印象が残っているだけで、現実はかなり違っている。しかも、現金で買っている人などは、為替の手数料を加味するとむしろ損をしているかもしれない。

もともと、海外で買う方が安かった理由はいくつかあった。

① 円高により、購買力以上のものを買うことができた。
② 国内では税金によって、実際より高いものを買っていた。
③ 日本市場のビジネスモデルが、高コスト構造になっていた。
④ 輸入業者がブランド戦略で高マージンをとっていた。

その一つ一つの現状はどうか?

① 若干緩和されたものの、購買力平価と比較すると、円が弱い。プラザ合意後の強い円を背景にした、海外旅行での買い物王は幻なのだ。また、国内の輸入業者が、為替レートに同期して頻繁に価格を変える仕組みを手にしたため、もはや、差益による安さの実感は味わえない。円が強くなると、即国内の輸入製品が即安くなるからである。

② 昔の酒はこのパターン。国内で1本1万円するスコッチが、アメリカのスーパーで15ドルというような体験をしたこともあった。いまや輸入酒への課税は劇的に安くなって、しかも大型ディスカウント店などもできたため、バーボンも、スコッチも、ワインも、たいていのものは海外より安く買える。

③ 衣料品などはこのパターン。国内で高コストかけて、大量に作って、売れないとメーカが引き取って廃棄。製造原価なんて実は売値の10%以下で、多段階流通コストが30%、廃棄損が30%なんてものもざらだった。なんでもないTシャツが、1枚5000円なんてことがあったのもこのためだ。これには、たとえばユニクロが徹底した直接管理で格安衣料品を提供。Tシャツ680円でも利益がでる。乱立するアウトレットも、ブランドを失わせずに、廃棄品を市場に出すよい手段となった。要するに国内で、安くてリーズナブルなものが手に入る、当たり前の市場になったのである。

④ ゴルフクラブやTUMIのかばんがこのパターン。並行輸入はもはや確立されたビジネスモデル。正規代理店がいかに高マージンで市場を管理しようと、インターネットで手軽に現地での値段を知ることができる。ときには、その海外サイトから直接買うこともできるし、並行輸入業者のサイトで買ったとしても、10%程度のマージンで本物を手にできる。正規代理店のメリットは、たかが知れている。

と言うように、簡単に考えるだけでも、海外で買い物をする必要性はほとんどない。時代は変わったのだ。

DFSなどは、よほどのマーケティングや企業努力をしない限り、近い将来、日本人の誰も海外で買い物をしなくなるだろう。海外旅行から、買い物の楽しみがなくならぬよう新しいアイデアを期待。

さて、今までの話を逆に考えると、海外で買うべき価値があるものが見えてくる。

・ 正規代理店の管理が徹底して厳しく、並行輸入品がほとんど手に入らない。
・ 国内の正規価格と比較して、3割以上安く為替の手数料や追加運賃を加味しても安いもの。
・ 同じく正規輸入の管理が厳しく、海外でしか手に入らない、日本未発売の商品。

大好きな高級ブランドの特定商品。それも日本では、並行輸入でさえも絶対手に入らないものぐらいで、ほとんど思いつかない。

もちろん、旅行の記念品は別。思い出はPriceless。
たまの海外旅行、買い物時間がとれない生活を考え、値段は気にせずショッピングという人も、ご自由に!

北岡豪史@オレンジの街角(www.kitaoka.biz)
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1 件のコメント:

KN さんのコメント...

KNです。(ご無沙汰です。こちらでは初コメントです)


私も海外ではいつもがっかりします。
(結局のところお土産のみ購入・・・というパタンが多いです)

お金も期待するほど安くないと感じもしますが、

★そもそも、大概のモノは日本で買える(場合によっては安く)

ということで、よほどその場所とその瞬間でしか変えないモノしか買う気にならないというとこがホンネですね。

海外に行くと、物理的な遠さを感じるよりも、「均質化」をより強く感じるようになりました。(ホントは「違い」をもっと感じたいんですけどねー)