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前回の続きです。
私はVTR撮影を一旦止めてもらい、商品を差し替えてもう1パターンBさんに取り組んでもらうこととした。
300円の商品は同じで、200円と100円の商品を一部差し替えて新たに60円の商品を追加した。1回目の時が900円だったので総額は960円となる。プログラムの手順は同じで、
・総額の計算
・600円お給料が出たら何を買うか
・4つ商品を選んでもらう
・キャッシャー、お支払い
手順を構造化することで重度の自閉スペクトラム症のBさんにも取り組みやすいよう私なりに改良を重ねた最終パターンで、上記の内容に加えて、
・一番高い商品を選んでもらう(高い安いの概念は絵で説明)
・もし60円の商品を選んだらお釣りがいくらか
私はBさんの傾向から安い商品から先に選ぶと読んでおり、お釣りがいくらかと言う引き算の練習はほとんどしていなかったが、最後になるからぶっつけ本番でやってみようと決めた。
まずは総額の計算だが100円単位の商品と10円単位の商品が混在することになるが、繰り上がりのない足し算が確実にできるBさんは960円とすぐに言い当てた。
それではお給料が600円出たら何を買うか4つまで選んでくださいと言う流れは同じで進めると予想通り60円の商品を混ぜて100円の商品3つ合計4つBさんは選んだ。
私は1回目と同じようにキャッシャーをやり、
「お支払いは360円です」
と言うとBさんは少し混乱し始めた。100円単一ならすぐにできるが10円単位の支払いが出たことで何枚手許の100円の疑似通貨を渡せばいいか分からない模様だった。SSTは成功体験の積み重ねなのでできた部分をほめるのが基本で、できない部分もできるよう助けることも必要である。
最初は持っている600円を全部出そうとしたので、まずは360円なので1枚ずつ出すようお願いした。4枚出したところで手を出して止め、
「これで400円ですので360円は支払えます。そうするとお釣りがBさんに返ってきますがいくらですか」
と聞いてみた。答えは返って来ない。引き算の概念は練習をあまりしていないこともあって理解していない模様だった。数秒待ったが返事がないので、私も仕方なく、
「お釣りは40円です。有難うございました」
と10円の疑似通貨を4枚トレーに乗せて返した。ここは練習不足なので仕方ないが自分の工夫点が少し見えた。
そこで最後に商品をカゴに戻して、
「今カゴの中にある商品の中で1番高いものを選んでください」
とBさんに聞いて事前に用意していた値段の概念図を見せた。数が多いと高い、少ないと安いことを説明すると300円の商品を選んだので、
「大正解ですね。それでは今日の練習はこれで終わりです」
と言い最後の買い物SSTを無事終えた。Bさんはこれで終わりだが私は実習が終わって記録を書いてから実践について職員たちの前で発表し、私の描く社会福祉士像についても同様に発表することが待ち受けていた。
話は次回に続きます。