少年は本当に孤独になった。

力を持っていたとかそういうことはハッキリ言ってどうでもよかった。力があるからどうなんだと、少年はいつも思っていた。

あの少女に会いにいけるなら、なんでもしてやると思っていた。


『お前は誰よりも能力があり素質がある。この国でお前だけ、特別な存在になれるのだ』

周りの大人はそう言って少年の気を逸らそうとしてきた。そんなことは少年には無意味であるのに。少年はただ窓の外をぼーっと眺める日々が多くなった。力があるということは、この世界では希少なものらしい。

『やはりお前は素質がある。お前なら・・・』


大人の闇を見ることができるようになった。少年は望まざるものを手に入れるようになった。少年はだんだん人が嫌いになっていった。人よりももっと価値があるものを探しにいくようになった。草花を見てもなんとも感じなくなった心を元に戻す為に。


渡りの力、それは世界を行き来する禁忌の力。
世界に干渉できる力。


それを知ったのはある程度年がいった頃だ。そして、その渡りの力を取り戻したとき、少年は力を自由に使えるようになった。




また、会えると。


こころの中で、考えた。