今回のブログは、同業者様からも質問の多いBMWミニのATF圧送交換に付いて、施工方法と手順を詳しく記した「作業要領書」の意味合いも含め作っております。
F56ミニ ジョンクーパーワークスのATF圧送交換で、高知県よりご来店頂きました。
F56ミニのATF交換は、
通常、下から抜いて上から入れるだけの作業しかできませんが、
弊社で販売しています「F-PETシリーズ BMW-No1」を使えば、
ATFチェンジャーを使用しての圧送交換が可能となります。
JCWの場合はオイルクーラー容量が大きくなっていますので少し狭い環境での作業が強いられますが、こちらのブログにはアタッチメントに取り付けているアダプターの向きなども写真掲載しておきますので、同じ様にして頂ければ作業は簡単に進みます。
それでは始めます。
真っ赤なJCW。
先に、現在の油量を確認するために、診断機を接続してリフトアップします。
現在の油温は66℃。
オーバーフロープラグを外してみるとフルードは溢れて来ましたので、一先ず油量は問題無しとしましょう。
伺えば、最近地元の整備工場さんにてATFの交換を行ったそうです。
交換方法は下から抜いて上から補充したそうですが、その際に、
「0.5リットル程しか出て来なかったよ!」と言われたとの事。
そんな訳ありません(笑)
四角い部品が、JCW専用に大型化されているATFクーラーです。
奥の丸い部品がATFのドレンプラグになります。
このドレンプラグはオーバーフロープラグも兼ねています。
まずは小さい方のドレンプラグを取り外します。
この時に、現在内部に入っているATFを比較用の瓶に採取。
この段階では0.5リットル位しか抜けません。
続いてオーバーフロープラグを取り外します。
17mmのヘックスが必要ですので、お持ちでない場合は事前にご用意下さい。
もしお持ちでない場合は、アストロのドレンプラグソケットセットが安くてお勧めです。
フリークでもこれを使っていますので、四角のドレンプラグを持つプジョー系が来ても、ベンツ&BMWのデフ交換の際も、ポルシェのトリプルスクエアプラグでも、今の所全部問題無く取り外せています。
このお仕事、ネジが外せなかったらそれで終わりですからね(^^;
※アストロのサイトへリンク張りましたが、楽天でも売っているみたいです。
オーバーフロープラグを取り外すと、ドバドバ出ます(笑)
真っ黒ですね。
2.5リットルは抜けました。
小さい方のドレンプラグOリングは切れかけていました。
今回、このプラグもOリングも新品に交換します。
オーバーフロープラグのOリングももちろん交換です。
作業される方は事前にご準備必須です。
一通り排出が完了したら、オーバーフロープラグはしっかりと締め付けます。
小さい方のプラグは、最後の最後、油量調整が完了するまで新品は使用しません。
フルードを充填して行く際にオーバーフローから出て来るのを防ぐ為、古いプラグを、手で軽く止まる位までで構いませんので取り付けておいて下さい。
このミニがJCWで無かったら、この辺りの作業ももっと簡単です。
ただし、JCW以外のこのミッションの場合、ATFクーラーの取付ボルトが恐ろしく強固に締まっていますので、緩めに掛かる際はしっかりと気合を入れて挑んで下さい。
「はいはい、このボルト外せばいいのね~」
なんて軽くやっちゃうと、まさかの頭舐めを起こします。
「固すぎてボルトの頭舐めてしまいました・・・」という電話が今でも時々入ります。
オイルクーラーが取り外せました。
アタッチメント「BMW-No1」を取り付けます。
オイルクーラーが逃げるスペースを確保する為に、アダプターの高さはこの組み合わせでお願いします。
(写真手前が1段高く、奥が低くなっています)
写真のアタッチメントは、開発途中に作成したプロトタイプになりますが、実際の商品はアルマイト加工し青色にしています。
オイルクーラーはフレームに引っ掛ける様な感じで、この様に逃がします。
別の角度から。
こんな感じで逃がします。
このフレーム部分の向こう側にはすぐそこにはクーリングファンがいますので、超えてしまうとオイルクーラーが接触してしまいます。
ほんの少しだけきついですが、そのきつさが逆にきちんと固定されることに繋がり、施工中に移動する事がありませんので安心して作業が出来ます。
それでも不安な方は、クーリングファンのカプラーを抜くかヒューズやリレーを外すかして動作を停止して下さい。
余程外気温が高い状態で無ければ、作業中にクーリングファンが回る事はありません。
真夏に、上記対策を取られて作業される方は水温管理をしながら、時々扇風機やエアブローなどで空気を与えて下さい。
ホースはこの様に接続です。
抜けた量よりも必ず少し多めに充填です。
最初、3.5リットルを充填します。
そしてエンジン始動!
この状態で、手で軽く取り付けていた小さい方のドレンプラグを取り外して一度現在油量を確認します。
エンジンがかかった状態で、油温が低いとはいえ排出されて来なかったので、さらに追加で0.5リットル足します。
全部入り切る前にオーバーフローされて来たので、またまた軽くプラグを取り付けてから圧送交換をスタート。
圧送交換のスタート時は、少し多めからスタートです。
お待たせしました。
圧送交換をスタートします。
もうこの時点で、抜き取られて来るATFと、充填をしている新品のATFとの色味や透明度に差がありません。
ミッションの内部に流れているATFは、ここまで綺麗にする事が出来たのです。
再度、小さなドレンプラグを取り外します。
添加剤「SOD-1プラス」を添加します。
シリンジ先端をドレンプラグに当てれば漏れずに充填出来ます。
添加剤の充填完了後もATF量が少し少ない様で、オーバーフローされて来ませんでした。
ほんの少しだけ少ないという予想は付いていますので、そのまま油量調整が出来る油温に上がるのを待って、設定温度になった時点で更に0.3リットルだけ追加補充。
※油量調整温度 35~45℃
0.2リットルが入った位の所で、ツルツル~とATFがオーバーフローされて来ました。
続いて、車に乗り込み、シフトをパーキングから順にそれぞれのシフト位置に2秒ずつ止めながら2往復させます。
その作業が終了したら、再度油量調整を実施。
糸状にATFが垂れて来ている事を確認し、油量調整完了です。
オーバーフローされて来たものを比較用の瓶に採取。
最初と最後でここまで色味・透明度が変わります。
実はこれでも元がまだ綺麗だった方で、もっともっとドス黒く汚れているATFやCVTFを多々見て来ました。
圧送交換後はシフトフィーリングも非常に良くなり、ミッション本体の長寿命にも大きく貢献してくれます。
ある方が言われていました。
「作動油が劣化しない訳は無く、無交換なんて有り得はしない。ただ、ミッションが自動車メーカーの手に渡り車両に取り付けられたその瞬間、何故かメンテナンスフリーに変わってしまう」
機械であり作動油ですので、上記のお話の通り劣化しない訳がありません。
交換せずにそのまま使い続ける事で、故障トラブル&リスクは大きくなっていきます。
機械なのでいつかは故障してしまいます。
ですが、それを出来る限り遠くに、そして出来るだけ長く調子のよい状態を維持してあげる事。
それは、今回の様にフルード交換する事で可能となります。
ATFの交換をすると壊れるよ!とは、ネット上でもかなり目にします。
ある自動車メーカーの講師の方ですら、「5万キロを超えた車両はATF交換すると壊れます!」と私の目の前の教壇で言われていました。
では、「壊れる」と言われた方々は、一体何台のATF・CVTF交換を施工した上でのお話しなのでしょうか?
恐らく、この、まことしやかに囁かれ続ける確証の無い情報を信じ、発信しているのでしょう。
私は今までかなりの台数のATF交換・CVTF交換を行ってきました。
そんな私が言うのですから、少しは信じて貰えるかな~なんて思っています。
試運転の結果も絶好調!!
作業完了後に診断機を接続し、最後にエラーなど総チェックして、全ての作業が完了です。
今回のATF圧送交換では、
・圧送交換アタッチメント BMW-No1使用
・オイルクーラーOリング交換
・スクリュープラグ交換
・スクリュープラグOリング交換
・オーバーフロープラグ交換
・オーバーフロープラグOリング交換
・ATF 19.6リットル使用
・SOD-1プラス添加
以上の作業を行っております。
<参考データ:車両走行距離 38,000km>
そして最後に少し宣伝を(笑)
今回使用したアタッチメントは、
販売しているサイトは こちら です。
他にも、色んな車種のアタッチメント、そして、日本国内では手に入らないATFストレーナーなども取り扱っています。
※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。
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(1) フリークでは、密閉式ミッションの圧送交換が出来る様、様々なアタッチメントを製作・販売しております。商品一覧はこちらです → F-PETシリーズ
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