トラブル修理-メルセデスベンツML350(166) AdBlueのトラブルでエンジンかからない | フリークのブログ

フリークのブログ

自動車の整備を、もっと身近に、もっと分かりやすく!!

「それって幾らになるの??」にも、明確にお答えします(^^)

高知県のお客様からヘルプのお電話。

 

 

症状を伺うと、

「AdBlueのトラブルでエンジン始動が出来ない」との事です。

 

普段からメンテナンスされている方ですのでAdBlueが空になってのスターターロックは考えられません。

 

更に詳しく聞けば、

燃料満タン・AdBlue満タンで、ご家族で信州に桜を見に旅行にお出かけしたそうです。

ところが・・・、ご自宅を出発して200km程度走った淡路島辺りでメーター内にAdBlue不足によるスターターロックのカウントダウンが始動!!

長野往復となると、まだまだ距離があります!

メーター内では残り800kmのカウントダウンが開始。

メーター内走行距離表示ときっちりリンクされていて、1km走る毎にカウントダウンメーターも1kmずつ減っていくという恐怖。

 

どうにか長野に到着したので、そこでもAdBlueを補充されたそうですが、入った量は200cc程度・・・

 

これは完全に「AdBlueレベルセンサーの故障」です。

 

 

長野からの折り返し、大阪付近でカウントダウンは残り50km!

そして、淡路島でカウントダウンはとうとう0kmに。

 

 

こうなると、もうエンジンは切れません。

エンジンを切ると、もうエンジンはかからないんです。

 

カウントが0kmを切った後は、SAに寄ってもエンジンはかけたままに。

 

 

 

どうにかご自宅に到着し、一度エンジンを切られたそうですが、その位置ではレッカー搬送に対応しにくい向きだった為、恐る恐る再びエンジンを始動。

その時はかかったそうで、その後向きをこの位置に。

再びエンジンを切って再始動してみて、その時もエンジンはかかったそうですが、結局それを最後に二度とエンジンはかかる事無く・・・

 

 

 

上記の通り情報を細かく伺えていたので、ある程度の準備をして出動です。

片道約200km走って、お客様のご自宅に到着!

 

 

東京海上の自動車保険にご加入頂いていますので、

フリークよりロードサービス出動(全て保険会社が費用負担のため、お客様ご負担はゼロ円)します。

 

 

 

 

メーター内にはAdBlue欠乏によるスターターロックのメッセージが表示されています。

 

 

 

せっかくですので動画も撮ってみました。

この様に、まるでスターターモーターが故障したかの様に、スターターボタンを押してもウンともスンとも言いません。

 

 

 

さて、現場でスターターロックを一時的に解除する訳ですが、ここでまさかのバッテリー電圧低下により、Mercedes純正診断機であるXentryは接続を拒否します。

 

そりゃそうです。

この後ECUリセットも行われる訳ですので、低電圧下で作業を行うと、最悪の場合ECUが飛びます。

 

 

 

こんな事もあろうかと、色々と持って来ています。

最悪の場合、現場でもAdBlue撤廃が行えるようにと準備しましたが、まずは別の診断機にてチャレンジ。

 

 

 

フリークにはもう一台「MaxiSys Ultlla」がありますので、

一世代前の「MaxiSys Elite」を持って来ていました。

 

 

 

(ある意味怖いですが)

低電圧なんのその、どんどん進んでいきます。

現場対応での緊急時は致し方無いですが、最悪の場合ECUが飛ぶ可能性があります。

フリークはECUの修理も可能ですので最悪の場合も問題ないのですが、こういった事は出来る限り「安定化電源」接続下にて行う必要があります。

 

 

 

どうにかスターターロック解除を行えましたので、無事エンジンもかかり、積載車に搭載出来ました。

 

 

 

いつもの4番リフトに設置。

 

 

 

安定化電源を接続。

 

 

 

こんなカートも売っていますので、興味のある方はご連絡下さい。

 

 

 

スターターロックを解除したと言えど、エラーは消えた訳ではありません。

AdBlueのヒーター兼レベルセンサーはトラブルを抱えたままですので、メーター内にはAdBlue補充の警告が出ていますし、再びスターターロックがかかってしまうのも時間の問題です。

 

今回の修理方法ですが、まずはAdBlueのセンサーを交換する必要があります。

価格は18万円程。

更にそこに、タンク脱着などを含む工賃がプラスになりますので、ざっくりと25万円位はかかってきます。

しかも、部品は欠品中です。

 

更に言いますと、こちらのMLは数年前にも交換されているそうですので、再び故障したという事になります。

AdBlueの故障は、NOxに次いで多く聞きます。

先日も、AdBlue故障&NOx故障を両方40万円かけて修理したけど、その修理から1年半で再びAdBlueが壊れて、それが引き金となってNOxまで引っ張ってしまっているという案件について、他県の整備工場さんから相談がありました。

 

大金をかけて直しても、また壊れてしまいます。

工業製品だから仕方の無い事ではありますが・・・

余りに、お財布に優しくない。

 

 

なので今回は、もうこのエンジンにはAdBlue及びNOxが無いものとしてプログラムを変えてしまいます。

だってこのOM642エンジン、この一世代前の車種にも搭載されていますが、それにはAdBlueやNOxは搭載されていませんでした。

 

単体そのままで正しく動いていたエンジンに、途中からあれこれ付けたから壊れるのか・・・?な??

 

 

 

 

ECUプログラム内には、現在のAdBlue量まで把握しているセクターがあり、そちらを正しい状態へと更新してあげてからデータを抜く必要があります。

もちろん、その他色々と事前処置がありますが、まずはどの位AdBlueが入るのかも気になるところ。

 

 

 

フリークで在庫しているAdBlueを充填します。

フリークで採用しているのは、

この高品位尿素水「エコツーライト」です。

 

 

 

 

200cc程度補充した段階で溢れてきました。

長野でもしっかりと満タンになっていた様です。

 

 

 

余談ですが、エンジン始動時にサービスインターバルのお知らせも出ていました。

 

 

 

これも今回リセットします。

 

 

 

事前処置の流れで再度診断も行いますが、未だしつこく、

「AdBlueレベルが低すぎる」というエラーを拾っています。

 

 

 

事前処置が終わったのでECUを外します。

場所は・・・またここ。

 

 

 

現場で作業することになってたら、かなり大変でした。

エンジンかかってくれて、本当に良かった!

 

 

 

プログラムを抜き取って改編し、再びインストールします。

このECUは更に、インストール後に更にプログラムを追加改編する必要があるタイプでしたので、BENCHとOBDそれぞれで接続して修正していきます。

もちろん、その他事後処置も必須です。

 

 

 

めちゃくちゃ弱っていたバッテリーは交換時期でもありましたので、このタイミングでメインもサブも交換させて頂く事となりました。

 

 

 

メインバッテリーは運転席シートの真下。

 

 

 

強烈に重い・・・・

 

 

 

日付記載、そして保証書にも押印!

 

 

 

無事搭載。

最近は事務仕事ばっかりのせいか、腕がプルプルしました。

 

 

 

こんなにも掃除がし易いタイミングって、なかなか訪れるものではありません。

掃除機で綺麗に。

 

 

 

後席足元用エアダクトを取り付けて、

 

 

 

カバーもきっちり固定。

 

 

 

もちろん、後ろ側も綺麗に。

 

 

 

サブバッテリーは、トランクルーム右側の壁の内側に。

 

それはそうと、

サブバッテリーから常時電源が取られ、ヒッチメンバーに走らせています。

 

 

 

ここで分割されて、

 

 

 

抜き加工された穴から外に向かって出されていますが、

最低限のバリ加工はしてくれているものの、万が一にも被覆がめくれたら大変なので、

 

 

 

保護チューブを通して、

 

 

 

ヒッチメンバーの根本までのハーネスを覆い、ずれないようにここでまずは固定。

 

 

 

更にそこから追加で覆って行き、

 

 

 

なるべく負担のかからない場所を選んで取り回しをし、プラスターミナルの根本までを覆って完成。

 

 

 

ついでに収納スペースも片づけておきました。

牽引フックを取り付けてまでご準備して頂いていた、せめてものお礼です。

 

 

 

今回入庫のタイミングでエンジンオイル交換も。

 

 

 

もちろんフィルターも。

 

 

 

前回も、そして今回も、

充填するのはロイヤルパープルのHPS 5W-30です。

 

 

 

最後に試運転を繰り返し、途中で再度修正プログラムをインストールしてから更に試運転。

 

最後の最後、Xentryにて今一度最終の点検を行い、全ての項目に問題無いことを確認して完成です。

※もちろんサービスインターバルもリセット済み

 

 

 

 

 

今回のトラブル「エンジン始動が出来ない」では、

・AdBlue撤廃プログラムインストール

 (AdBlueユニット通信エラーによるチェックランプ点灯対処プログラム含む)

・NOx撤廃プログラムインストール

・エンジンオイル(ロイヤルパープル)交換

・オイルフィルター交換

・オイルドレンプラグガスケット交換

・メインバッテリー交換

・サブバッテリー交換

以上の作業を行っております。

ご用命、ありがとうございました<(_ _)>

 
 <参考データ:車両走行距離  100,500km>





※同じ内容の故障事例でも、必ずしも原因は同じとは限りません。同じDTCでも原因が多岐にわたる事もあります。修理の基本である、しっかりとした問診と診断手順で原因究明して下さい。「同じ部品を交換したけど直らなかったけど、どうして?」という意味不明の連絡が同業者様から寄せられています。基本の順守をお願いします。ユーザー様も、症状が同じだからといってお付き合いのある整備工場さんに「この部品を変えて下さい」といった指示はお控え下さい。


※弊社では時々整備ブログを書かせて頂いておりますが、ブログ掲載を行って欲しくないお客様は事前に申しつけ下さい。出来る限りこちらからも「掲載可否」を頂く様心掛けますが、折り悪くその接点を持てない事もあるかと思います。ご来店時アンケートにも、「掲載可否」の項目を追加させて頂きました。掲載内容・記述内容に付いて訂正・削除をご希望の方はご連絡下さい。出来る限り早急に対応させて頂きます。
 

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

(1) フリークでは、密閉式ミッションの圧送交換が出来る様、様々なアタッチメントを製作・販売しております。メーカーから提供されていないストレーナーや、長期欠品しているストレーナーの在庫も出来る限り取り揃えています。商品一覧はこちらです → F-PETシリーズ

 

(2) フリークは、AUTELの代理店でもあります。AUTEL製品のご購入を検討されている方は、連絡頂けましたらお見積もりさせて頂きますAUTEL インテリジェント テクノロジー

 

(3) 弊社への連絡は、LINEかメールをご利用下さい。連続したお問い合わせの中で失念してしまうのを防ぐ為です。ご協力下さい。LINE-ID 「freakltd」 メールアドレスは 「 info@c-frk.jp 」 です。

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

 

株式会社フリークのホームページはこちら

 

 

ブログランキングに登録しています。
クリックして頂けるとランキングが上がりますので、お願い致します(^^)

 

 

愛媛新聞社の「マイベストプロ」に掲載されました

 

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・