温故知新~温新知故?

音楽ネタが多いだろうけど、ネタのキーワードは、古きを訪ねて新しきを知ると同時に新しきを訪ねて古きを知るも!!

22世紀の民主主義 読了〜海上自治都市協会、無意識民主主義、「エビデンスに基づく目的発見」「エビデンスに基づく価値判断」など素晴らしい内容でした〜

2023-01-23 17:57:46 | 
よく覚えていないけど、この本も以下の朝日新聞の書評を見て図書館で予約。いや、書評でなくて読書欄の広告でも見たのかもしれない。人気の本らしく、順番が来るのには時間がかかった。1ヶ月くらいかな。
データを介した人びとの行動履歴の収集とそれに基づく最適戦略の決定はデータ・サイエンスの得意とするところだ。もちろん、日進月歩とはいえ、アルゴリズムによる推測や決定はバイアスをまだ除去しきれていないし、データ収集手段がどれだけ拡(ひろ)がるかという技術的制約、ヒトが生来尊重してきた自己決定の感覚とのバランスなど、検討の余地がある課題は少なくない。しかし、立法・行政・司法の自動化という考え方自体は、現在政府が推進している「証拠に基づく政策立案」とも一致しており、本書の提案はその極端な発露でしかない。
 より本質的なのは、前提となる公理がない状態から、人びとの行動履歴「だけ」で社会が欲している目的(価値判断の基準)を推測できるかという問題だ。筆者は肯定的だが、評者も含めて懐疑的な読者も少なくないだろう。
目次は以下の通り
第1章︓故障 「民主主義は最悪の政治形態である。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば」 今、民主国家はどんな持病を抱えているだろう か︖
第2章︓闘争 選挙やその周辺の仕組みをどう改造すればいいだろうか︖ 一人一票で本当にいいんだろうか︖ 選挙区は地域で決めていていいんだろうか︖
第3章︓逃走 逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。だが、逃げたくなるのが人情だ。 民主主義から逃げ出してしまう方法はないだろうか︖
第4章︓構想 問題から目を逸らして逃走するのではなく、民主主義の理念をより純粋に体現する仕組みを作れ ないだろうか︖ 選挙も政治家もない民主主義は ありえないだろうか︖
この本は、日頃、政治や選挙って、どうにかならないものだろうかとか、メディアはどうしてエビデンスを示さないのでフェイクっぽいニュースを、報道するのだろうか?などの疑問点を私と共有していて、なかなか興味深い内容だった。それは、上の本の写真に示した、ポストイットの量でみなさんもわかるだろう。よって、今回は、いつものようにキーワードを紹介するのは、本当にキーワードだけ拾う感じで簡略化する。それを以下に紹介。これだけポストイットがつくということは買うべき本なのかもしれない。
ー若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは何も変わらない。-->データから言える
ー選挙や政治というゲームに参加してプレイ
ーそもそも民主主義と資本主義は相容れない
ー民主国家ほど2001〜19年の経済成長が低迷-->データから言える
ー民主国家ほどコロナ禍初期に苦しんだ-->データから言える
ー「民主主義が人間をダメにするんじゃない。人間は元もとダメということを教えてくれるものだ」
ーブラジルでは、70歳以下の有権者の投票が気味で、蘇フェイ城の有権者の投票は自由
ー「ある世代だけが投票できる世代選挙区を作り出す」「投票者の平均寿命で表を重みづける」「未成年など選挙権を持たない子の親に代理投票権を与える」
ー海上自治都市協会と呼ばれる新国家設立運動-->現実にすでにある。幻の独立国家「ローズ島」の存在
ーまずやるべきは、民意や一般意思に関するデータをもっと解像度高く、いろいろな角度から取ることだ。
ーデータとしての民意、会議室の声を聞く-->データだけでなく生の声
ー無意識民主主義-->これは賛成だけど、それの解決をアルゴリズムだけに頼るのは賛成できない。
ー「エビデンスに基づく目的発見」「エビデンスに基づく価値判断」-->大賛成
ーグローバル軍事意志決定OS Gotham -->あるらしい。
結構いっぱいキーワードをあげてしまったけど、この辺でやめておきます。このようにいっぱい面白いキーワードがありますので、え?!、と思うキーワードがあったら、ぜひ本書を読まれることをおすすめです。

内容についての私の感想は、以下のアマゾンの読者書評にちかい。1章から3章までは、同感、同感という感じだったが、第4章で解決策はアルゴリズムで解決というのは納得できなかった。

5つ星のうち4.0
頭の体操に
日頃から政治問題について考えている人の多くは、現在の制度・環境下で何ができるかを考えがちだと思う。だからこそ、一歩引いた視点で民主主義を考え直すという試みは面白いし価値がある。 硬直した日本の政治・選挙制度が変わるのは、それを変えざるを得ないような重大インシデントの発生が契機になりそうだが、その頃に本書で紹介されるような種々のアイデアが人々の常識になり各種検討が進んでいたら、何も準備しないよりはマシだろう。 政治家の報酬を長期的課題解決のインセンティブと紐づけるのとかは、今すぐにでも検討したらいいのに。 個人的には投票の度にもどかしい思いをしているので、論点別に投票するような液体民主主義の研究が進むことに期待したい。でも実行するのは人だし、投票も面倒になるし、論点間の優先順位付けとかも難しいし、大きすぎる政府も嫌だし、AIに任せることに納得するにも時間かかりそうだし、とか考えると、自分が生きているうちにお目にかかるのは難しいのかもしれない。

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