中学入試における作文問題の増加 | 中学受験国語研究ブログ

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とある大手塾で4年連続ナンバーワンの評価をいただいておりました。中学受験生、その保護者あるいは教育関係者に役立つ情報を提供します。

一 本年度中学入試における作文問題

KSFC~避難生活の際の工夫

栄東第一回~最高の自分と思った時のこと

学芸大世田谷~作者の考える美意識についてあなたが考えたこと

暁星~「自分の周囲の景色が急に明るくなった」について同じような気持ちになった経験を教えてください

城玉1回~あなたのニッチは?

世田谷学園第一回~あなたにとって大人に一歩近づけたといえるのはどのような状況で、どのような行動をとれたときか、「今までは~だが、~」の形で、その理由も答えなさい

藤嶺学園藤沢~あなたが今までの人生の中で困難を乗り越えた経験、どんな困難か、どう乗り越えたかを書くこと

神大附属~私を「ワタシ」と「ワタクシ」と読んだ場合の「私」の印象の違いを説明したうえで、あなたが「ワタシ」と「ワタクシ」のどちらで読む方が当然だと判断したかについて、その理由を含めて文章で説明しなさい

公文国際B~昆虫にとって船はなぜ自分たちを絶滅させる使者として無視できない存在なのか、自分で考えて分かりやすく説明せよ

三田国際第一回~元の世界と現在の世界と比べて、どちらの方が良いか?自分の考えを述べなさい

横浜第一回~コロナ禍の中、あなたが観光業に携わっているとして、どのような工夫をしますか

大妻多摩総合進学第一回~便利幸福を求めた結果の矛盾点・問題点の具体例を一つ指摘し、あなたの考え(どのような理由から何を優先すべきであると考えるのかを書きなさい)+(天国のお母さんに絵を描くことに対する今の思いを伝える手紙を書きなさい)

カリタス第一回~生き物の「いのち」を科学で説明できる「生命」として扱っていると考えられる具体例を一つ考えて書きなさい

吉祥女子~あなたの日常生活などで科学的でない思考が表れている具体例を挙げ、どのような点で科学的でないのか言えるのかを説明せよ

光塩第二回~ふと「知」と出会った経験の具体例とそこから得た楽しみについて書きなさい

淑徳与野第一回~「映像配信授業の良い点を一つ挙げよ」

頌栄第一回~父母とのトラブル、また解決策を実際の体験や例を用いて作文して答えなさい

昭和女子大附属A~自分で決断したことについて、悩んだり大変だったりした経験

玉川聖学院第一回~あなたにとってたった一つといえる大切な場所はどこですか

田園調布第一回~「男らしい」「女らしい」を意識しなくなってきているがその例を挙げよ。それに対するあなたの意見、根拠。

フェリス~わからないことがあってそれがおもしろいと感じたあなたの体験を、どのようにおもしろかったかがわかるように書きなさい。

山脇A~身のまわりのプラスチック製品の例を一つ挙げ、利用をひかえることが可能かどうかについてあなたの考えを述べなさい。ただしレジ袋以外の例にして、理由も答えなさい。

横女A~あなたがメディアと」接するときどのようなことに気をつけるべきか

横浜雙葉~ふたばさんは学校が存在する意味とは何かについて考えてきましたが、それは人間的な意味での知的創造を目指してきたものといえるでしょう。あなたが、ふたばさんのように考えていきたいことは何ですか?考えたこととその理由を述べなさい。

和洋九段~新大陸を発見したら。そこで安定した生活を始めるために何をしたいか

和洋国府台~文章内容に基づき、「本物のやる気について」レポートをまとめさせる

なお。資料にからめる作文問題もみられる。これについては、大学入試共通テストの中学入試への影響 | 中学受験国語研究ブログ (ameblo.jp)を参照してほしい。

 

今まで、作文は開成などでも出題されていたが、どちらというと新興校での出題が多いというイメージであった。しかし、男子伝統校の海城(資料にからめてだが、文章から発展研究として、資料・図表などを与え、自説などをまとめさせる問題)、鎌倉学園(文章と関係なく資料、図表から自説を発表させる問題)、世田谷学園などの男子伝統校での出題が見られたことは大きいと思う。これらの学校では、国語より算数が重要であるという印象があるからだ。

文章の内容を正確に捉えるという従来型の指導に加えて、文章の内容を自分の経験などに結び付けさせ、意見を形成させる指導が必要不可欠になってきた。

 

二、一の背景にあるもの

この背景にあるのは学習指導要領が改訂されることである。

2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート! | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)に次のようにある。以下引用する。

「どのように学ぶか」も重視

キーワードは「主体的・対話的で深い学び」の視点

(1)「主体的な学び」の視点
学ぶことに興味や関心を持ち、自分の進路や職業などの方向性と関付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげるような学びになっているかという視点。

(2)「対話的な学び」の視点
子供同士が目標を共有し力を合わせて活動をしたり、先生や地域の人との対話や先人の優れた考え方を手掛かりに考え、自分の考えを広げ深めるような学びになっているかという視点。

(3)「深い学び」の視点
各教科等で、その教科等なりの「見方・考え方」を学ぶだけでなく、様々な教科等で学んだ見方・考え方を相互に関連付け、自分なりに問題を見いだし解答を導きだせるような学びになっているかという視点。

 

これで引用を終えるが、「対話的学び」が要求されているから、対話形式の問題も増えており、「深い学び」が要求されいるからこそ、「意見を発信される問題が増加しているのである。

 

学校教育においてはもちろん、塾での教育もトップダウン型、映像授業型の授業が高評価を受けるような一部の塾では改革を迫られていると言わざるをえない。

 

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