読みたい読みたいと思っていた本をやっと読めた。
本書はすでに絶版になっており、古本を入手。昔は神保町あたりの古本屋街で、時には一日中かけて目的の古本を捜し歩いたものだが、今は、Amazon検索で、ほぼ瞬時に見つかる。時代は変わったなぁと実感。店舗型の古本屋は絶滅しないまでも少なくなるだろう。
さて、2002年のワールドカップにおける日本代表監督のトルシエの指導こそ日本人に合ったものであると思っている。つまり、初めに戦術があり、その型に選手をはめこんでいく指導である。トルシエは練習でも相手を置かないでするのが多い。戦術、つまり「型」を選手に植え付けることに重点を置く。これはいわゆるオートマティズムの重視である。たとえば、トルシエの戦術、型の例としては、
ウェーブ=円を描きながら下がってパス受け、ボールをはたいて再び円を描いてゴールに向かって走り出す。
フラット3=ディフェンダー3人をフラットに並べて高く押し上げ、コンパクトさを維持する(プッシュアップ)とともに、オフサイドエリアを相手フォワードを牽制するための手段として使う戦術。
「プレッシング」=高い位置でどんどんプレスをかけて、相手を自由にさせないでボールを奪って早く攻めるというやり方。
さらに
「 ボールにプレッシャーがかかっていればラインアップ、プレッシャーがOFFの状態ならラインを下げる。そのときの下げ幅も相手のトップから3メートル後方と決まっていた。ボールが高く上がったときには誰がヘディングするかを周囲の選手が必ず指定する、ボールの位置に応じての体の向きの修正、バックステップの踏み方……マニュアルが明確で非常に細かかった。」
↑ミラン戦術の流れ汲んだ「フラット3」。理詰めのトルシエJ。世界標準目指すも4年遅れに【西部の4-4-2戦術アナライズ】 | フットボールチャンネル (footballchannel.jp)
このように「こういう局面ではこう動く」というあらかじめ決めておくのである。
私の国語指導でもオートマティズムを重視している。私のオートマティズムの例はたとえば,
記述のゴールデンルール
1、 心情記述の基本は五→1→2。
2、 性格記述の基本はHCD+S。二面性にも注意!
3、 説明記述は分解して置換せよ。
4、 比喩外し記述正解3条件①書いてあることと似た内容で②前後にあてはまる内容で③比喩は使わない。
5、 指示語の問題は指示語と取り換えられる内容を答えよ。
6、 変化記述はA→きっかけ→B
7、 比較記述は「Aは~が、Bは~。」
8、 主題記述は文章内容の抽象化が必要。対立内容にヒントあり。
9、 作文は条件を見落とさないで、小学生としての良識を示す。
10、 記述の奥義は「問を良く読み、問に答える」である。
記述のゴールデンルール、ついに発表! | 中学受験国語研究ブログ (ameblo.jp)
などである。
このトルシエ的なやり方には、「想定していない局面がある場合対処できない」という非難があるだろう。
しかし、想定していない局面などほとんどないし、戦術、型、基本が身についていれば勝てる=合格点は取れるのである。さらに、基本的戦術、型さえも身につけられない生徒が大半であるというのが実情なのだ。型さえ身につけられれば他の生徒を圧倒できるのである。
しかし基本的戦術、型を身につけただけではもちろん勝てない。体力=語彙が必要である。「問題のやり方が分かっても、それを表現できない」のではせっかくの戦術・型も「絵にかいた餅」になる。
ところで、先ほど「想定していない局面がある場合対処できない」といった。理想は、基本的戦術・型を身につけ、その根本的意味を理解し、想定していない局面にぶつかった場合、自分なりの戦術・型を編み出してくれることである。つまりは「型」から出てほしいのである。
そして、実はトルシエジャパンではその型から出るということが起きているのである。ワールドカップでの歴史的初勝利となったロシア戦ハーフタイムでの出来事。
「トルシエの指示が聞こえたか?もっとラインを上げなきゃダメだろう」
すごい剣幕で松田が返してきた。
「できねーよっ。そんなこと、やれったって、やってらんねーよツ‼」
とっくに選手たちは、相手チームの実情をとらえ、トルシエの戦術を超えた動きをしていたのである。だからこその歴史的一勝だった。
この松田のような選手、生徒を一人でも生み出すことが私の、そしておそらくはトルシエの理想なのである。
拙著です↓講師と生徒二人の会話形式で社会科を語る本です。ゼミナールに参加する気分で、暗記じゃない基本から説き起こす社会の参考書をぜひ知ってほしいです。以下から立ち読みも可能です。
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拙著に込めた思いについては
「やさしい中学地理」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
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を参照してください。
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