僕たちの心の深い所には普段は気づかないような「無意識の不安感」というのがある。幸福に飢えている人ほど漠然とした不安を抱えて生きているものだ。
特に現代は先が見えない時代である。
テレビでもネットニュースでも重苦しいニュースが流れ、経済も政治も社会も不安だらけだ。
それでも人はそれほど不幸でもなく、かといって幸福というわけでもない。幸福と不幸の間をフワフワ漂い、将来に対する不安を抱え苦しんでいるようである。
「蜘蛛の糸」や「羅生門」などで有名な芥川龍之介は服毒自殺で世を去った。
芥川龍之介は自殺する前に久米正雄に「或旧友へ送る手記」という遺書を遺しているが、その手紙の中には「ぼんやりとした不安」という言葉が書かれていたそうだ。
不安は時に人を自殺に追い込む。
漠然とした不安を抱えるというのは「絶望的」な状態のようだ。
絶望しきっていないけど希望にも手が届かない。そんな不安定な状態が続くと人は辛く苦悩する時間が増える。
しかしいっそのこと徹底的に絶望すればそこから考え方や行動が一気に変わることもある。
なぜなら絶望の底には必ず希望が潜んでいるものだからだ。
だから気分よく、あきらめよう。
「諦める」というのは投げ出すことではなく、「明らかに究めること」だ。
諦めて絶望したら自分が変わらざるを得なくなる。そうすると状況を良くする為の光明だって見えてくる。
だからもし君が漠然とした不安を抱えて苦しんでいるのなら諦めて一度絶望してしまってもいい。
絶望の底には必ず希望が潜んでいるものだから。
そこから這い上がればいい。