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大橋翠石展 岐阜県美術館

岐阜県美術館で開催中の「明治の金メダリスト 大橋翠石~虎を極めた孤高の画家~」展を鑑賞

虎を描けば日本一の画家である大橋翠石。美術業界では、最も高値で取引される虎作家です。特に故郷である岐阜県や東海地方、兵庫県須磨で晩年を過ごしたこともあり、関西の財界人を中心に人気の高い画家です。その大規模な展覧会が、今回岐阜県美術館で開催中です。今回の展覧会は、兵庫県でも開催予定でしたがコロナ禍で中止となり、今回の展覧会が最後となります。

大橋翠石は、江戸末期に大垣市に生まれ、明治33年、1900年に行われたパリ万博で日本人としてただ一人金メダル(金牌)を受賞。4年後のセントルイス万博でも金メダルを受賞し世界で最も高く評価された日本画家です。1900年のパリ万博は日本が初出展し、現在ブームとなっている明治の超絶技巧の作家などが紹介され世界的にも日本の美術工芸が注目を浴びました。また、当時の有名作家がこぞって出品し、日本画では東西の巨匠、横山大観、竹内栖鳳、洋画では黒田清輝などを美術界の巨匠たちの中で、金メダルを獲ったわけですから、その実力の程は理解できると思います。

展覧会の内容は、初期から晩年の翠石の虎を中心に、獅子や鳳凰に子猫や子犬などの小動物に鳥や魚など、まさに翠石動物園のような内容です。前期と後期により変化する虎の姿は筆遣いに明快な変化があり、須磨様式と言われる後期の作品は、毛の一本一本を細密な描写で描かれ写実の妙技を感じます。今回の展覧会もポスターになっている「大虎図」は、翠石が亡くなる前年83歳の作で、その作品を観た時には、威風堂々とした姿に圧倒されました。数々の虎の姿を観るにつけ、師や母、長男の死、震災や戦争、肺炎など波乱の人生を歩みながら独自の画風を築き上げた孤高の画家として強い意志を作品から感じ取ることができました。そんな中でも目を惹いたのが、娘の婚礼の品として描いた屏風。表には躍動感の中に家族団らんの愛らしさがある猛虎の姿と白鶴の親子の姿が描かれていて、その画風とは対照的な翠石の人柄がにじみ出ているように思いました。

展覧会は、9月13日まで開催。12年ぶりに大橋翠石の画業を通覧できる展覧会を是非ご鑑賞ください。

大橋翠石 作家紹介


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