『イナズマイレブンGOギャラクシー』第38話「天馬VS剣城!」の感想 【正統派展開と思いきや意外展開の嵐!】
ちょうど一ヶ月ぶりの更新、お待たせしました。
恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第38話「天馬VS剣城!」を観ての感想を書く。結局イナズマイレブンGOのシリーズはこの2人のライバル関係であるということが改めて描かれる。ただ一筋縄でいかないというのもイナズマイレブンシリーズのある意味伝統。ものすごく意外な展開が後半に起こり、オーソドックスな展開にはなっていない。さすが日野社長(褒め言葉)。
また番組をご覧の方はもうお知りおきの話だが、イナズマイレブンシリーズは本作の最終話を持って一旦テレビアニメの放映枠からは去るということになった。非常に残念だけどその辺の話は最終話まで書いてから総括したい。私の中ではまだ終わっていないわけだし。
当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。
- 前回の感想は、
『イナズマイレブンGOギャラクシー』第37話「決戦!ファラム・ディーテ!!」の感想 【必殺技の応酬は見ていて楽しい!】
をご覧ください。
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松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は、長き戦いを経て星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の決勝戦の舞台【ファラム・オービアス】に到着した。
そこに待ち受ける敵、それは銀河系最強の惑星、ファラム・オービアス代表【ファラム・ディーテ】。しかし天馬たちを心から震撼(しんかん)させた事実はチームメイトだった剣城京介(CV:大原崇)がファラム・ディーテのキャプテンマークを付け、敵のリーダーとして立ちはだかったことであった。
天馬たちの疑念に一切の弁解もせず打倒アースイレブンを宣告する剣城。さらにさらに、これまで監督としてアースイレブンをここまで率いて来た黒岩流星(CV:佐々木誠二)までもがファラム・ディーテに与(くみ)する。
エースストライカーとチームの支柱を同時に失っただけでなく、それらが敵として向かって来るという最大のピンチ。剣城は打倒アースイレブンが掛け声だけではないことを証明するかのように必殺シュート「バイシクルソード」をアースイレブンゴールに突き刺し、先制点を奪う。
天馬は友の裏切りに深く傷つくが、プレーを介して剣城の行動に何か深遠な意味があることに気付く。それは長年戦友として、そしてライバルとして同一チームにいたからこその気付きだったのかもしれない。
剣城が心の底から地球を裏切ったのではないと確信した天馬にもはや憂いは無かった。「宇宙一を決するこの大舞台で本気の剣城の率いるチームとサッカーを楽しむ」という新たな目的を得た天馬たちアースイレブンは敢然と立ち向かい、瞬木隼人(CV:石川界人)の必殺シュート「パルクールアタック」が同点ゴールをこじ開ける!!
剣城「ふっ……やはり楽しませてくれる相手だ」
剣城は同点に追いつかれたというのにどこか嬉しそうにかつての友たちのプレーを称(たた)える。だが真剣勝負なのは彼の本音でもある。どんな意図があれど、この試合は負けられないという思いは剣城の心中を満たしていた。そして特に、天馬にだけは後塵(こうじん)を拝するわけにはいかなかった。
剣城「だが、それもここまでだ!!」
一転して厳しい視線を向ける先、そこには当然のごとく背番号8番の男の背中があった。天馬も剣城の鋭い視線を感じて振り返る。そして剣城に負けない鋭い眼光で、勝利を誓うのだった。
天馬「この試合、俺たちが勝つ!!」
オープニング
試合は両キャプテンの心理状態そのままに均衡状態に戻った。同点に追いつかれ、逆襲に転ずるファラム・ディーテ。
先陣を切る剣城に挑むのはやはり天馬だった。キャプテン同士の意地の張り合いのような激しいボールの奪い合いは一瞬天馬が制したかに見えた。
しかし剣城はその刹那(せつな)に体を入れ替え、スライディングでボールを奪い返し即座に駆け出す。お互いがお互いのプレーを称え合うかのようなプレーの応酬はそのまま両チームのプライドの激突でもあった。
剣城「さすがだ……だが!!」
天馬「やっぱり剣城はすごい!!」
そのままもつれ合うかのような体勢でぶつかり合う両者。お互いを認め合いつつも越えなければならない壁という概念において、2人は同じ星の人間でありながらこの宇宙の中で最大のライバルであるとも言えた。このシーン、「ドリブル技を持たない剣城なんだから天馬は『ワンダートラップ』使えば楽勝じゃん」とか私のようなことを考えてはならない。
試合は両者の同調者をも巻き込んで進行する。こぼれたボールを確保した背番号9番リュゲル・バラン(CV:ランズベリー・アーサー)から背番号8番、弟のガンダレス・バラン(CV:興津和幸)にパスが送られる。
しかしそれを鉄角真(CV:泰勇気)がヘディングでカット。ルーズボールは野咲さくら(CV:遠藤綾)がドリブルで敵陣に持ち込む。さくらは5番セレン・メルヴィル(CV:高垣彩陽)のスライディングタックルをかわし、前線の天馬にセンタリングを送る。
そこに駆け込むのは天馬と、そして剣城だった。空中のボールに飛びつく両者。お互いがまたも宿命の対決に挑む中、天馬の心中は2人が出会った頃の出来事に思いを馳せていた……
天馬「雷門サッカー部は誰にも渡さない! 絶対に!!」
剣城「じゃあ奪ってやるよ!!」
かつてフィフスセクターのシードだった剣城が雷門中サッカー部を潰しに来た際、頑強にそれに立ちはだかったのは天馬だった。その出会いの時の心境がお互いの意識にフィードバックしたのだろうか、往時(おうじ)の彼我(ひが)の実力差そのままに、発した言葉そのままにボールは剣城が奪い取ってしまう。
天馬を振り切り、独走態勢に入る剣城の前に立ちふさがるのは真名部陣一郎(CV:野島裕史)と皆帆和人(CV:代永翼)の頭脳派コンビだ。
的確なマーキングでシュートコースを限定された剣城は飛び上がって遮二無二(しゃにむに)シュートを放つが、シュートを撃つにはそのコースしかない状態で撃たれたシュートだけにキーパーの井吹宗正(CV:鈴木達央)も予測が立てやすい。ガッチリと受け止め、ゴールを死守する。
ナイスプレーに喜ぶベンチの西園信助(CV:戸松遥)とマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)。信助はさすがにキーパーだけあって、真名部と皆帆の動きがあってこそのシュート阻止であったことを理解していた。
信助「ディフェンスがしっかりとコースを塞(ふさ)いだからね!」
井吹はすかさず攻撃に転じるようオフェンス陣に檄を飛ばし、ボールを投げる。その先にはオフェンスの軸である司令塔の神童拓人(CV:斎賀みつき)がいた。
神童にパスを要求する天馬。神童は阿吽(あうん)の呼吸でそちらにパスを送る。その背を追うのは剣城。剣城の脳裏にも、天馬との最初の出会いのシーンが去来する。
フィフスセクターの刺客として雷門中に侵攻し、神童たちファーストチームをも痛めつけた剣城にとっての最後の攻略相手、それはサッカー初心者のくせに生意気な口を叩いた新入部員の頃の天馬だった。
その頃、唯一剣城たち【黒の騎士団】に対抗できたドリブル、今では一層の磨きがかかった宇宙随一のドリブルで攻め上がる天馬。そこに駆けつけるのはアイパッチが印象的なサディスティック美女、背番号6番ヒラリ・フレイル(CV:小林ゆう)だった。
獲物を狙う時の彼女のクセなのだろう、舌なめずりをしたヒラリは天馬からボールをかすめ取る。剣城に気を取られていたとはいえ、天馬から必殺技なしにボールを奪うとはさすがは紫天王の一角だ。
ヒラリは即座にヒールパス。天馬の後方に迫っていた剣城にパスを出す。この辺の連携は素晴らしく、ヒラリはもしかしたらチーム・サザナーラでプレーをした際にアズルとまでは行かなくともチームメイトの考えを一定程度読む技術を得たのではないかと思わせた。
パスを受けた剣城の、天馬との記憶がさらに呼び覚まされる。雷門中だけでなくサッカーそのものを否定していた剣城の思い、それを打ち砕かんとした天馬の思い。その思いのぶつかり合いが現実のプレーにまたもフィードバックする!
天馬「俺は……!!」
剣城「お前には……!!」
天馬&剣城『絶対に負けない!!!』
やはり2人とも「お前にだけは負けたくない」の思いで戦っていた。両者のその思いがまったくの同程度であったことを示唆するかのように、その力比べはお互いがはじき飛ばされ、引き分けに終わる。その魂の激突は皮肉にも背後に迫るブラックホールの存在を際立たせている。
ダメージを受けたであろう両者を、勝利の思いを持って応援する2人の王女たち、ララヤ・オビエス(CV:高垣彩陽)とカトラ・ペイジ(CV:上田麗奈)が心配そうに見つめる。
ルーズボールには2人との付き合いがもっとも長い神童が飛びつく。後輩2人の思いには一切の感情を混じえず、クールに職務を果たす神童は九坂隆二(CV:岡林史泰)にパスを出す。
天馬の頑張りを素直に受け止める九坂は7番ネオル・ロッツ(CV:戸松遥)の妨害を、ソウル発動という強引な手段で打ち破る。
例えおにゃのこ相手であっても森村好葉(CV:悠木碧)以外のおにゃのこには容赦ない九坂。チーム・ラトニーク戦での虫人間相手の時のようにグラウンドにめり込むような潰され方じゃなかっただけマシなのかもしれない。
ネオルをぶっ潰した九坂は最前線の市川座名九郎(CV:小西克幸)にパス。肉体派同士のホットラインだ。座名九郎に張り合うのは4番DFのラドン・モーム(CV:泰勇気)だった。座名九郎より高く飛んだラドンはボールを奪取し、ボールは一旦は九坂が潰したネオルが押さえる。
当然のごとく向かって行く九坂だったが、さっきのお返しとばかりにネオルの必殺技「ホログラムロック」の魔の手が九坂を捕らえ、グラウンドに叩き伏せる。全国のネオルファンはここで大いに溜飲(りゅういん)を下げて欲しい。
ネオルは11番FWのロダン・ガスグス(CV:藤村歩)にパスを送るが、そこは神童がカットする。目まぐるしいまでの攻守の展開だが、これこそが両チームの実力の高さの証明でもある。
神童は同点ゴールを奪った瞬木にパス。チーム1の瞬足は逆転ゴールを決めるべく、敢然とファラム・ディーテゴールに走り込んで行く。
だがそこには両チーム1の巨漢、3番DFのバルガ・ザックス(CV:岩崎了)が待ち構えていた。どこから取り出したんだと小一時間問い詰めたくなる巨大な岩のハンマーを振るう必殺ディフェンス技「ロックハンマー」で瞬木の攻勢をストップさせる。
バルガ「遅い! 亀の歩みのように遅い攻撃だ!」
その後も両チーム一歩も引かない大熱戦が続く。その両チームの素晴らしいプレーがライフエナジーとして対ブラックホール最終兵器【コズミックプラズマ光子砲】のエネルギーとなっていく。大いなる野望を秘めたこの試合の首謀者、ビットウェイ・オズロック(CV:津田健次郎)はその状況を笑みをもって見つめていた。決してサッカーを楽しんでいるわけではない。野望へのカウントダウンが順調に進んでいることが彼の興味の全てなのだ。
オズロック「いいぞ……もっと熱くなれ……」
オズロックのそんな歪(ゆが)んだ思惑は範疇(はんちゅう)の外とばかりに試合は続く。ドリブルでゴールに迫るヒラリを見て、皆帆にプレッシャーをかけるよう指示を出す井吹。ディフェンスの司令塔はキーパーが務める、まさに理想形だ。
だが攻撃時に挑みかかってくる男はヒラリにすればこの必殺技の格好の餌食(えじき)だ。妖艶な笑みを浮かべ皆帆の頬を軽く撫(な)で、しかる後に斬り捨てる! ヒラリの代名詞的な必殺技「ジャックナイフ」が炸裂する。
邪魔者を排除したヒラリはストライカーであるロダンにラストパス。ロダンはノーマルシュートを放つが、それは井吹のパンチングによって阻まれる。シュートは辛くもサイドラインを割り込むが、件(くだん)のロダンに痛めつけられた井吹の足がさらなる悲鳴を上げる。
そんな中、ファラム・ディーテサイドのベンチで変化が起こる。監督の黒岩が立ち上がり、剣城に指示を出したのだ。
主語がないその指示だったが、剣城、そして他の選手たちにはそれだけで意図が伝わったらしい。剣城は驚愕の表情を、紫天王たちは邪悪な笑みをそれぞれ見せる。
意を受けたヒラリからロダンにボールが送られる。ロダンはあえて緩慢なトラップをしてボールをアースイレブンゴール前に転がす。イージーなボールを押さえに向かった井吹だったが、それが黒岩の指示、即(すなわ)ち罠であった!
ボールを押さえようとした井吹の足めがけてバラン兄弟のスライディングがぶち当てられる。痛めている右足を両側から挟み込むという逃れられないダメージを受け、井吹は悶絶(もんぜつ)する。これが黒岩の作戦だとしたらあまりに卑怯なやり方だが……。
その後の紫天王の執拗(しつよう)なシュートを、井吹は痛めた右足で懸命にカバーし続ける。だがロダンくんはシュート後の勢いがあまったフリして井吹の足に体当たりするという悪い行為に及ぶ。
さらに撃たれたガンダレスのシュートを右足ではじいて何とかゴールを死守する井吹。しかし彼の右足は限界に達していた。葵は井吹の頑張りを喜ぶが、井吹の足の状態に気が付いていた信助は心配が先に立つ。
ファラム・ディーテのコーナーキックで試合再開。ガンダレスの放ったキックは絶妙の角度で井吹の頭上を越えていく。飛びつく井吹だが、そこにロダンがソウルパワーむき出しで挑みかかる!
ロダンのソウル「ドルーガ」の咆哮(ほうこう)が強烈なシュートとなりアースイレブンゴールに突き刺さる! 足を引きずりながらの場面でこんな豪快なシュートを撃たれてしまってはさすがの井吹もどうしようもない。
ロダンのゴールで試合はまたもファラム・ディーテがリードを奪った……かに見えた。しかしここで意外な展開、審判がこのゴールの無効、ノーゴールを指示したのだ。今まで仕事した試しがない審判が働いたという歴史的瞬間に我々は立ち会っている。
試合監視衛星からの再現映像がスタジアムのスクリーンに映し出される。それによるとガンダレスのコーナーキックがゴールラインを一瞬ではあるが割っていたということらしい。
こんな厳密なシステムがあることはすごい。すごいがそれよりさっきから井吹に対して繰り返されている反則行為(キーパーチャージ)について一回ぐらいジャッジしろよと私は一言どころか五万言ぐらい言いたいのだが。
まぁ何にせよ命拾いしたのはアースイレブンだ。一同はホッとため息をつく。イナズマシリーズは判定自体がそもそも奇跡的に少ない案件だけど、それが主人公サイドに有利に働いたというのは本当にレアケースだろう。
幸運を喜ぶさくらや、運も実力のうちだと強がる鉄角らに対し、ゴールを奪われるという不名誉がチャラになって一番喜ぶべきはずの井吹の表情が冴えない。
限界に達している足の痛みを抱え、井吹が楽観できないのは当然だった。今は幸運に救われたが、このままでは遠くないタイミングで必ず失点を喫してしまうだろう。
井吹は選手としては最後まで取りたくは無かった決断をする。ベンチで見つめる信助に視線を移した井吹の真意は、信助にも以心伝心で伝わって来る。
キーパーという同じポジション同士だからこそ理解できる心中のやり取りを、天馬も神妙な表情で見守る。
そしてそこで前半戦終了のホイッスルが鳴り渡る。1−1の同点で折り返した運命の一戦は、後半戦にすべてが委ねられることとなる。試合展開はほぼ互角だったが、問題はキーパーの井吹の怪我の状態だ……。
ハーフタイム、最後にベンチに戻って来た井吹に天馬が声をかける。何か言いたいことがあるのではないかという問いかけに伊吹は観念したかのようにサバサバと、足を挫(くじ)いていることを告げる。そして天馬に向き直り、交代させて欲しいと告げるのだった。
キーパーの交代は信助しかいない。天馬から、そして伊吹から託されたゴールを守るという重要なポジションを、信助は小さな身体から溢れ出す大きなガッツで受け止める。
ここで信助が守るもの……それは単にこの試合のゴールというだけでなく、地球の運命、そして全宇宙の運命を守るということなのである。銀河の未来は今、ソウルを持たないこの小さな少年の双肩(そうけん)にかかっている。
ベンチに座り込んだ伊吹の右足は冷えたタオルでアイシングが施(ほどこ)されていた。そこに語りかけるのは神童だ。
神童「なぜ怪我を隠していた?」
井吹「お前にだけは心配されたくないからな」
その変わらぬ意地っ張りな態度に出会った頃からの確執を思い出したか、神童は思わず笑い出してしまう。そこに真名部から興味深い報告がなされる。敵のシュートがグラウンダー(地面スレスレ)のものが多かったというのだ。
皆帆もそれを受け、敵が最初から井吹の足を痛めつけることが目的だったのではないかと推理する。それらがすべて黒岩の指示であることを神童が示唆する。
その卑怯な行為をまっすぐな性格の鉄角は我慢ならない。ベンチの壁を叩いて抗議する。だが他人の心の裏を見る人生に長(た)けている瞬木からすればこの作戦はむしろ当然だと一笑に付す。
瞬木「相手の弱いところを突くのは当然だろ?」
だからといって何でもして良いということにはならないと鉄角は食い下がるが、それこそが黒岩という人物の証明なのだと神童は語る。瞬木は神童が黒岩を嫌っていたことを挙げ、それなのに理解があるんだなと皮肉を利かす。
神童はその言葉に悔しさを隠すことなく正直に、嫌いながらも一目置いていた黒岩という存在を認める。そしてその人物の姿を見つめる。何といってもその人物は現在、敵チームのベンチに陣取っているのだから。
件の男、黒岩はファラム・ディーテイレブンにもっと強く当たれと指示を出す。物理的にアースイレブンの選手たちを潰せという指示であり、それは神童の見立てが正しかったことを意味していた。
勝つことが至上命題とは言え、心の中では正々堂々とアースイレブン、そして天馬に打ち勝ちたいという思いが強い剣城は納得しない様子を見せるが、監督命令を厳命する黒岩の前に沈黙を余儀なくさせられる。
後半戦開始直前の両チームの布陣。ファラム・ディーテ側にメンバーチェンジやポジションチェンジはない。超攻撃的な3−3−4のフォーメーションだ。
注目はやはりアースイレブンサイド、井吹の代わりにキーパーに入った信助がどこまで通用するかであろう。今のところソウルを持たない彼がそれぞれソウルを持つ紫天王たちのシュートを止めることが可能なのかどうか。シュートに持ち込ませないためのディフェンス陣の頑張りも大事な要素だ。
ファラム・ディーテボールのキックオフで後半戦開始。早速挑みかかる九坂をかわしてリュゲルはネオルにパスをする。
前半戦よいところが無かった座名九郎がうまく絡んでボールを奪い取る。しかしさくらへのパスはセレンがカットして失敗する。相変わらず攻守が目まぐるしく入れ替わる高レベルの展開だ。
セレンからのロングパスで一気にゴール前のロダンにパスが通る。ロダンはもちろんシュート体勢に入る。信助は早速キーパーとしての試練に晒されてしまう。
信助「止める!!」
ロダン「また潰してやんよ!!」
惑星ガードンでの戦いで信助を負傷させたロダンが最初の相手というのは何たる運命のいたずらか。ロダンは必殺シュート「カザンライ」で信助負傷の再現を狙う。信助も今度こその思いを込めて、同じ技「ぶっとびパンチ」で迎え撃つ!
この戦いは信助の勝利に終わる。ファーストコンタクトを上々の成果で終えることができ、信助の表情にも自信がみなぎる。後事を託した井吹もそのプレーを褒める。
転がったボールはまだ生きている。神童とヒラリが駆け寄るが先に追いついたのはヒラリだった。ヒラリはツータッチでリュゲルにボールを送る。
リュゲルのボレーシュートがゴールを襲う。信助はパンチングで逃れる。その跳ね返りにガンダレスが駆け込むのを見て取った真名部から適切な指示が飛ぶ。対応した信助は再度のパンチングでゴールを守る。
その跳ね返りに反応した真名部はボールをキープした剣城に挑む。剣城がキープすることまで計算のうちだと豪語する真名部に対し嘲笑するかのような表情を見せた剣城は「ではこれも計算して見せろ」と言わんばかりに華麗なトラップで真名部を翻弄(ほんろう)する。
そして剣城がボールを託したのは、バラン兄弟だった。キャプテンからの指示を受け、この機会を逃す彼らではない。これまで単独では阻止されたことがない合体シュート「スクリーム・オブ・エデン」が信助に襲いかかる。
ロダンを止めた必殺キーパー技「ぶっとびパンチ」を繰り出した信助だったが、やはり合体シュートは止められなかった。今度こそ正真正銘のゴールを奪われてしまう。
リュゲル「こういうのを『決まった』って言うんだ」
ガンダレス「スゲーやっぱスゲーや俺たち!!」
シュート後のおちゃらけた雰囲気からは察せられないが、これがファラム・ディーテの本気のシュートだ。信助はその威力に改めて敵の強さを実感する思いであった。
仕切り直しのため自陣に引き上げる剣城と一瞬視線が交錯した天馬は、無表情で歩み去る剣城に対して敵愾心(てきがいしん)を燃やす。
アースイレブンボールのキックオフで試合再開。瞬木からのバックパスを受けた神童の前にはまたも難敵、ヒラリが食い下がる。
ヒラリ「抜けると思って?」
その迫力に押されたか、それとも声を聞いて親友の霧野蘭丸(CV:小林ゆう)を思い出してやりにくさを感じたか、神童は勝負を避けさらに後方の真名部にパスを出す。
そのパスに追いついたのは剣城だった。すかさずマークする真名部と皆帆。しかし抜群のキレを見せる今日の剣城は個人技でアースイレブン屈指のDFを抜き去ってしまう。
ゴール前に転がったボールに飛びついた信助をボールごとかわしてゴール前に出た剣城。信助が抜かれゴール前は空っぽだ!
無人のゴールめがけて剣城がシュートする。万事休すかと思われた事態を救ったのは鉄角のカウンター必殺技「デッドストレート」だった!!
カウンターだけあって「デッドストレート」はそのまま敵陣へのシュートとなる。キーパー、アルゴ・バージェス(CV:佐藤健輔)にとっては久々のプレー機会が訪れた。
必殺キーパー技「リバウンドレイヤー」で鉄角のシュートを阻止するアルゴ。瞬木には一瞬の隙を突かれてゴールを許したが、見た目通り守りは堅そう。
跳ね返ったボールはセレンが胸トラップし攻撃に転じる。それを阻止するのは天馬だった。天馬のスライディングを受けてボールはサイドラインを割り、試合は中断する。
そのタイミングを受けて、信助はピンチを救ってくれた鉄角に感謝する。またピンチの発端を作ってしまった真名部と皆帆も今度は絶対に抜かせないと信助にプレーの至らなさを詫びる。
否応なく士気が上がるアースイレブン。次は自分たちが活躍する番だと九坂が周囲に声をかける。
九坂「次は俺たちの番だな(バンダナ)!」
さくら「ええ、取られたら取り返す!」
好葉「そう!」
瞬木「ま、決めるのは俺だろうけどな!」
それぞれが彼らなりの決意で戦うことを表明していた。それを頼もしく見つめる天馬は、神童に向けて作戦変更を告げる。最終ラインを上げて攻撃的に行くというのだ。一瞬心配になった神童だが、天馬に促(うなが)されて見て取ったゴール前の雰囲気を見て納得する。
天馬「ゴールは大丈夫です!」
神童「そうだな……攻めるぞ!」
まだ守備を心配する座名九郎が作戦に異議を唱えるが、天馬は信助なら絶対にゴールを守ってくれるという確信があった。これは理屈ではない。長年の友情が与える担保なき信頼なのであった。
友を信じ自信満々に点を取りに行くと語る天馬を見て、座名九郎はその胸の奥底で蠢(うごめ)く何かを感じるのだった……
試合はファラム・ディーテのスローインで再開される。その際、信助は自分の前がガランとしていることに気付く。最終ラインを上げ前がかりになった作戦のせいなのだが、それが天馬から自分への信頼の証(あかし)であることを知る。
信助はほっぺたを手のひらで叩いて気合いを入れ直す。友が自身を信頼してくれている。それを受けて燃えないはずが無いのである。信助は絶対にゴールを守ることを態度で示す。
セレンのスローインを受けてヒラリが攻め上がる。そして剣城にパスを出す。剣城は先ほど信助に誓いを立てたはずのまなみなをまたも簡単に抜き去り、ゴールに迫る。
雷門中以来の仲間である信助と剣城が実戦で戦う初の機会。信助も気合い十分で立ち向かう。ベンチで見ていた井吹は気が気ではない。痛めている足をも厭(いと)わず、声を限りに信助にエールを送る。
キーパーとして信助の使命感、そして剣城の恐ろしさを共に熟知する井吹の心の叫びのような応援を受け、信助のハートは勇気づけられる。
剣城もことこの場において手加減などしない。先制点を挙げた必殺シュート「バイシクルソード」を抜き放つ! これまでの「ぶっとびパンチ」ではおそらく止めることは敵わないだろう!
そこで追い詰められた信助に新必殺技が誕生する。何と剣城の切れ味鋭いシュートをおでこに乗せ、宙高く飛び立ち始めたのだ!! 何を言っているのか訳が分からないと思うが、ありのまま今起こったことを話すぜ!!(ミッシェル・ポルナレフ調)
これが信助の新必殺技「ぎんがロケット」だ!! タイミングよくおでこに乗せて足から火を噴いて銀河の彼方へ飛んで行くという見た目はおバカな必殺技だったが、見事にゴールを守りきった。
はじいたボールはサイドラインを割る。信助は大喜びで自身のプレーを井吹に報告する。かつては信助を見下していた井吹も、このプレーには我がことのように喜んで信助を褒め称える。
渾身のシュートを止められ、しかもこんな厨二なポーズを取られているというのに、剣城はなぜか満足そうな笑みを浮かべていた。その険(けん)のない表情……雷門中以来、長年の仲間である信助の成長を見届けて喜んでいるとしか思えないのだが。
信助のもとに天馬が駆け寄って祝福する。アースイレブンのもう一人の守護神とおだてられ、信助は頭を掻いて照れる。
そんな信頼感の上に醸成された友情を見つめ、座名九郎は胸のイナズママークを握り締める。ソウルとは違う何かが、彼の制御しきれない何かが表面に現れようとしている……!?
惑星の運命がかかった試合であるという前提を無視してしまうほどに素晴らしい好ゲームがフィールドでは繰り広げられていた。決勝戦まで残った両チームの実力が伯仲(はくちゅう)し、サッカーファンならずとも血沸き肉踊る展開となっているのだ。
天馬は必殺ドリブル技「風穴ドライブ」でラドンを蹴散らし前方視界クリアにする。パスを受けた座名九郎が放った重いシュートはアルゴがガッチリとキャッチする。
アルゴの挑発を受けた座名九郎はまたも胸の奥に違和感を見出す。一体これは……?
今度はファラム・ディーテの攻勢。ネオルが攻め上がってくる。待ち受ける鉄角は軽くフットワークを効かせる。これは彼の必殺ブロック技「フットワークドロウ」の挙動だ。
ボールを奪った鉄角は神童にパス。神童はここで満を持して彼専用の必殺タクティクス「神のタクトFI(ファイアイリュージョン)」を発動させ、さくら、九坂、天馬を炎のタクトで誘導する。
そしてまたも天馬から座名九郎へとパスが渡る。その目の前には座名九郎以上にゴリラのバルガが立ちはだかる。
その迫力たるや、座名九郎はおろか後ろで控えるアルゴですら揺るがすほどのド迫力。ゴリラ以上にゴリラだ。
そして幸か不幸か、そのタイミングでまたも座名九郎に襲い来る例の発作。体の奥底から沸き上がってくるその高まりは、彼をして未来の子孫に確実に受け継がれるむき出しの「暴力の衝動」であった!
その秘められし能力の発動はバルガを波動だけで吹き飛ばす。そしていつかどこかで(200年後の未来で)見た人物が今ここに再誕する!!!
前作でザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)が見せた最強のシュート「グレートマックスなオレ」が今ここに再誕! めちゃくちゃかっこ良くて好きな技なんだけど、あれか、この技はクララジェーン無しでも撃てるのか?
前作最強のシュートである。アルゴの必殺キーパー技「リバウンドレイヤー」ごときで止められるわけがない。座名九郎のシュートは豪快に、ワイルドにゴールネットを揺らし、アースイレブンが同点に追いつくゴールとなる。
天馬「あ、あの技って……!?」
他のメンバーが無邪気に喜ぶ中、天馬はどこか見た座名九郎の技にデジャヴを感じて微妙な表情。やっぱり天馬たちは前作の記憶を失っているのかなぁ? でも記憶を消去されても忘れられないインパクトが「グレートマックスなオレ」だったとか?
VIP席で試合を見守るカトラと、その傍らに控えるポトムリ(CV:三木眞一郎)は、彼らのこの戦いがライフエナジーの発生に寄与していることを知っている。この戦いがそのまま銀河系の希望であるということを。
失点を喫したファラム・ディーテのキックオフで試合は再開される。バラン兄弟の突破からまたも剣城にボールが渡る。そこに絡んでいく天馬。この2人のライバル関係はまだ終わらない。そう、おそらくこの試合が終わった後でも。
お互いを最高のライバルと認め合う両者は激しいボールの奪い合いが普段の会話よりもずっと濃密に意思の疎通になっていることを感じていた。楽しくて仕方がないとばかりに笑いながら、それでいて激しいプレーの応酬で。
両キャプテンのその気概に呼応して、他の選手同士も激しく、熱く、勝利に向けてぶつかり合う。
神童から天馬へパスが通る。そこに向かうのはこれまでも高い障壁であったヒラリちゃん。中の人的に言及するけど、彼女蘭丸よりもディフェンス能力高いんじゃね?
その高いディフェンス能力でヒラリは天馬からボールを奪おうとするが、天馬は何とかこらえてボールをキープする。そこにバルガが襲いかかる。
横に流れてバルガのマークを外そうとした天馬に、剣城が横からスライディングで挑みかかる。一流選手の三段構えの守備網には、さすがの天馬もボールをキープし続けることは不可能だ。チャンスの芽は摘まれる。
黒岩「時が来たな……」
膠着(こうちゃく)する展開を見て、アースイレブンを潰せという指令を発してからじっと沈黙していた黒岩が曰(いわ)くありげにそうつぶやく。そして手を挙げ、選手の交代を告げる。ベンチに唯一存在する12番、サルファー・バーグ(CV:不明)が立ち上がるのを制して、黒岩は誰もが予測し得なかった驚くべき奇策を打つ。
ピッチに向かう選手の足音。間違いなく黒岩が送り込んだファラム・ディーテの選手のようだ。その選手の姿を見た者は、天馬や神童だけでなく剣城までもが絶句する。それは……黒岩自身だった!!
ネオルを下げ、自身がフィールドに立つという信じられない奇策を取った黒岩。果たして選手登録とかしてたのか?
神童「黒岩監督、どこまで暴走するんだ!?」
この神童の心の叫びは、おそらくほとんどの視聴者の意見を代弁していたはずだ。
背番号96(笑)。「クロ」から来てるんだろうなぁ。黒岩さん、意外とお茶目というかシャレっ気があるというか。しかし天馬と剣城のライバル関係さえ霞(かす)んでしまうものすごい展開だな。
次回に続く。
エンディング
まさに今回のサブタイトルそのままの天馬と剣城の戦いだったわけだが、最後の方の座名九郎の「グレートマックスなオレ」と黒岩のまさかのユニフォーム姿にドッキリ展開のせいで2人のライバル関係が霞む霞む。
想定外の展開こそイナズマシリーズの醍醐味だけど、これはひょっとしてギャグでやっているのではないかという気もしてくる。テレビ放映も終わるし、好き勝手やってやれ的な(笑)。
まぁめちゃくちゃな展開がどう立て直されていくのか、そして真の敵、オズロックとの戦いはどうなるのかなど残された話数も限られてきているだけに気になっている。
次回は黒岩さん大活躍の様子。「ファイアトルネード」だよねこれ? 他にも帝国学園名物の皇帝ペンギンが飛び交うなど見どころがすごい。旧キャラが戦うシーンでは必殺技も懐かしのものになるのが良いよね。
あと数話、きっと楽しんでいただけるような感想を書きたいと思っています。ぜひご愛顧くださいませ。できる限り早く次の感想も書きたいと思いますが、この作業が終わると私の中のイナズマイレブンも終わってしまいそうでちょっと悲しい気もします。
次回「翔ろ!俺のソウル!!」に続く。
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