ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

精神科病院×新型コロナ

2022年01月16日 | 精神障害

 昨夜、NHKで、「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」という番組を観ました。
 当たり前ですが、精神病院に入院している患者も、コロナに罹患します。
 精神病の治療を受けつつ、コロナの治療も行わなければならない、現場は悲惨なことになっていました。

 わが国の精神病治療には決定的な問題があります。
 一度入院すると、30年も40年も退院できない、という。

 しかしこれ、医療の問題ではありません。

 一般社会における精神病差別の問題です。

 家族は精神病患者を看病する気はさらさらなく、むしろ家族の恥として、精神病院に隔離しておくことを望んだりします。
 社会資源も、例え治っていても、受け皿を作ろうとしません。
 退院しても行き場の無い患者は、結局、入院し続けるしかありません。

 幸いにして、私は精神病患者ですが、入院にまで至ったことはありません。
 しかし自助グループには何人も入院経験者がいて、拘束されたことがある人もいました。
 口をそろえて、入院だけはしたくない、と言っていました。

 もともと劣悪な環境に、コロナが襲い掛かりました。
 ある精神病院では、コロナ患者たちを一つの和室に閉じ込めて鍵をかけ、感染の拡大を止めようとしました。

 しかし、そのやり方が残忍と言ってもよいようなものです。
 和室に布団を敷き詰めて患者を寝かせ、部屋の中央に簡易式のトイレを置いていた、というのです。
 しかもトイレはむき出し。
 用をたしているところが丸見えで、臭い。
 水が欲しいと泣き叫ぶ人、外から鍵がかかった部屋のドアをたたいて看護師を呼ぶ人、地獄図です。

 しかも保健所が来た時だけ、鍵を外し、簡易トイレも隠したのだそうです。

 怖ろしいことですが、もともと精神科は法律で一般の病院よりも、少ない医師、看護師で治療することが認められているそうです。
 少なかった医療スタッフ、しかも精神科医がコロナの治療にあたるわけですから、たまったものではありません。

 ある大規模精神病院の院長が、緑に囲まれた公園のような施設に閉じ込めて、我関せずと精神病院の存在を無視する人々の差別意識が、精神病患者はもちろん、医療スタッフをも苦しめている、と、淡々と、しかし静かな怒りを込めて、話していたのが印象的でした。

 そしてもう一つ驚いたことが。
 世界の精神病入院患者の2割を、わが国が占めているというのです。
 世界の2割。
 なぜそんなことがと思いますが、先にも記したとおり、退院しても行き場がないから、何十年も精神病院に入院し続けるのです。

 私は自身が精神病患者ですから、このような問題に敏感ですが、全く興味が無いひとが多いのだろうと思います。
 まずは一般社会での啓発が重要かと思いますが、難しいでしょうね。
 誰もが自分の生活に汲々としていて、他人のことなど興味がないのですから。
 あまりにも根深い問題だと思います。
 私には、どうしようもありません。
 私もまた、自分の生活に汲々としている、愚かな大衆に過ぎませんから。


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