地獄への道は善意で覆われている。 | 自由で柔軟&自然で美しい姿勢の探究 Zen&パルテノン・スタイル

地獄への道は善意で覆われている。

毎日新聞ビルの1階にある椅子を見て思ったことを書きます。(1月4日)



人間のクセ(habit)は、何と恐ろしいのでしょう。
この椅子を作った人たちは、おそらく、「快適に座れるように」という善意で作ったのでしょう。



ぎっくり腰が完治していない人、腰痛持ちの人だとわかると思いますが、このような椅子に10分でも座ると、立ち上がる時に、腰が痛くて痛くて、たいへんなことになっています。(私自身、これで辛く苦しい思いを、たびたびしました。)

「快適な椅子」が、「辛苦(辛い苦しい)」を作るとは、何てことでしょう。

私は、これが人間のクセだと思います。

百年以上前の心理学者ウィリアム・ジェイムズが、「クセ(habit)」という講演(本)で、次のように言っています。

「地獄への道は善意で覆われている。The road to hell is paved with good intentions.」
「宗教で説かれる地獄よりも、この世で、自分のための地獄を自分のクセで作っていることのほうが、はるかに恐ろしい。the hell we make for ourselves in this world」

「地獄を自分で作るクセ」は、私のことで言えば、私が死ぬまで、人間一般で言えば、人類が滅亡するまで、なくならないのかもしれません。

このような悲しいクセをもった私たちですが、私は、ものすごくラッキーなことに、禅を学ぶという恵みを受けたので、「椅子(環境)が辛苦を作るのでなく、『主』であることを自ら失うことで、自ら辛苦を作るのだ」ということを学びました。

それで私は、このような椅子に座る時でも、あるいは「快適すぎて動けなくなる魔法のソファ」に座る時でも、あるいは座禅という座りでも、「自ら辛苦作り」という苦行を脱して座れる道があることを知ることができました。



普通(自然)にしていたら、このような椅子に座ったり、ダメソファに座ったり、座禅したら、必ず「苦行」していたでしょう。

そのような「自ら辛苦作り」でない道があることを知ったことが、私の人生で、最大のラッキー(恵み)です。

この道は、持前(今の自分が 現に出せる力)を使えばよいだけなので、才能や環境に全く関係なく、誰にでも歩める道です。

ぎっくり腰や腰痛で苦しんでいる人、自ら辛苦を作るクセをやめたい人、共に、この道を歩んでいきましょう。

(私にこのことを教えてくれたのは、禅と、お釈迦さまと、パルテノン神殿のディオニュソスです。感謝感謝感謝。)