拝啓









少し前まで






あなたは私を見て







「本当に 君と過ごす日々は 僕の全てだ」








そう言って、寂しげな影を落とした声で






私を抱き込んでくれていたね。














もう全部 過去になってしまったけれど。



















駅のホームにひとりでいると









どこからか高校生たちの笑い声が







遠くて近くて それでも痛いくらい静かに










まるでコマ送りのフィルムみたいに









ゆっくり自分の中に溶けていくのが分かって










電車の発車音が 近づいて来るのが寂しくなった。

















もう 全部 過去になってしまったけれど。

















もしあの時 私から切り出せてたら










この灰色の空の下で









こんなに澄んで 懐かしくて綺麗な想いを









こんなに泣きたい気持ちで見上げることも













なかったのでしょうか、神様。













あなたに送れないなら













せめて 神様に届けるわ。














もう 過去になってしまったなら














きっと許されるはずだから。



















敬具