ボーカルやギターなどの録音レベルについて

今に始まった事ではないのですが、ミックス用のマルチトラックデータを渡された時に「各トラックの音が大きすぎる問題」というものが存在します。

アマチュアやミュージシャンなど本職以外の人だけではなくプロとして仕事をされている人でも結構な確率で遭遇します。

ネットなどで目にする情報に「デジタル録音は0dBFSギリギリを狙う」というようなものがあります。

マルチトラックにおける録音レベルの適正値の議論などは様々あると思うのですが
今回はメーターリングにおける誤解と簡単な解説をしたいと思います。
(録音の適正レベルについてはDavid Shimamotoさんが詳しく説明されたものがまとめられているので御覧ください)

(以前ボーカル録音レベルについてはここで少し書きました)


まずProToolsのメータを見てみましょう。

ProToolsはメータータイプが幾つかあるのですがピーク値を表示するもので代表的なものを3つ見てみます。(-1dB,-16dBのサイン波を出した状態で並べました)

1、サンプルピーク



2、リニア




3、ProToolsクラシック



見てわかるとおりに、メータの種類によってスケーリングというか、どの範囲を拡大して表示するか?が違っています。

同じ信号を見ても1より3の方が右の-16dBの方が小さい音に感じると思います。

これはどの付近を詳細に見るか=それより下は圧縮して省略表示しているという事になります。
ちなみに私は1のサンプルピークで使用することがほとんどです。

ちなみにCubaseで-16dBだとこんな感じです



私の場合ボーカルは-16dB付近を基準にする事が多いのですが"だいたい"の話なので-18dBでも変わりないと思います。

 0dBギリギリを狙う(=音が良いと言う人)と-16~-18dBという差はどのくらいのものかと言うと
24bitオーディオデータでは実はそんなに大した差ではないと思います。

ちなみに24bitの場合のダイナミックレンジは 144dB
人間の耳の可聴限界ダイナミックレンジはおよそ130dBという事なので
130dBのメーターをフルスケール(全て均一なレベル表示)で作ってみたらこんな感じ。

長い・・・
とにかく長い!
およそ実用的ではありません。

だから特定の範囲を拡大してメーターというのは作られています。


で、、、
この記事で何が書きたかったかと言うと
 0dBギリギリを狙うのと16~18dB付近で録音するのとどのくらいの差があるかというと
全体でいうと上の1/10くらいの範囲の話をしているんですよね。

↓このくらいの範囲の話↓

 音を大きく録音すると録音時にレベルオーバーしないか気にしながらの作業になり、録音作業に無駄な労力が必要となります。
特にアコースティックギターやパーカッションなどダイナミクスが大きい楽器はもっと小さくても良い場合が殆どです。

大きな音で録音しても結果的にフェーダーで下げるかクリップゲインで下げないとミックスできないので結局無駄になります。

この全体の1/10で音が良いとか悪いとかの議論をするのはあまりにも無駄です。
シビアにはならなくて大丈夫なのでなんとなく-18とか-16あたりを平均的にふるくらいでの録音をおすすめします。

おわり
サウンドハウス
当サイト『レコーディング・エンジニア講座』に掲載されている記事、図形、写真、情報など無断転用はご遠慮ください。著作権はサイト管理者またはその情報提供者に属します。

0 件のコメント :

コメントを投稿

soundhouse

サウンドハウス