ようやくと言うべきなのでしょうか。
高卒6年目となる相内誠投手ですが、今シーズン夏場に入り1軍リリーバーとして頭角を現しています。5月25日のファイターズ戦では今シーズン初先発をしますが、5イニングを投げて3失点、残念ながら味方の援護がなく敗戦投手になってしまいました。それから抹消期間を経て8月1日のホークス戦でリリーバーとして復帰登板を果たすと、以後はリリーバーとして3試合に登板しています。この3試合では4イニングを投げて自責点は0、被安打が僅かに1本、無四球と非常に良いアピールをしてくれていると言っていいでしょう。
投球イニングは僅かではありますが、特に11日のイーグルス戦では大量リードという試合展開ではありましたが、1イニングを三者連続三振という素晴らしいピッチングでした。これは辻発彦監督を始め、首脳陣としても注目せざるを得ないのではないでしょうか。
相内投手の学年は「大谷世代」と言われていますが、相内誠投手としてもようやく少しだけその世代の仲間入りをしたと言っても良いのではないかと思います。



さて今シーズン、リリーバーとして復帰した相内誠投手ですが、注目点は2つかと思います。
1つ目はゲームを見ている方はお分かりかと思いますが、ストレートの球速ではないかと思います。リリーバーとして復帰後の相内誠投手ですが、球速が150km/hを計測するボールが目立ちます。以前の相内誠投手であれば140km/h台前半、場合によっては130km/h台のボールも見えましたが、それが安定して150km/h近いボールが投げられるようになっています。もちろん球速が全てではありませんが、被打率が1割台ということを考えると、打者から見れば1軍で充分通用するストレートなのでしょう。球種の割合の実に63%がストレートということは、1イニング程度であればストレートでも通用する、という数値ではないかと思います。

もう1つはカーブでしょうか。このカーブの割合が17%強で、ストレートに次ぐ軸となる球種になっています。このカーブなのですが、岸孝之投手のようなブレーキのかかるカーブというわけではなく、ナックルカーブのような縦に変化量の大きいカーブであると見ています。ですので空振り三振を狙うことができる、ウィニングショットになりうるボールなのではないかと見ています。
相内誠投手は、比較的持ち球となる球種の多い投手ではありますが、リリーバーではストレートとカーブを多く投げているように見えます。逆に言えばリリーバーであれば比較的少ない球種で良いので、あとは投球割合が7%となっているフォークボールをしっかりと投げ込むことができるようになれば、リリーバーとしての地位を確立できると考えています。

今シーズンはリリーバーが致命的な弱点、と言われたライオンズですが、フロント陣がシーズン途中でデュアンテ・ヒース投手カイル・マーティン投手の2名を補強しました。
この両外国人リリーバーですが、ご存知の通りヒース投手はクローザーに定着しつつありますし、カイル・マーティン投手はNPBの中でも屈指の外国人リリーバーになると思っています。特にウィニングショットのチェンジアップが短いイニングで非常に大きな武器になるでしょう。ただNPBでの経験値から言えばヒース投手をクローザーにするのがベターではないかと思っています。
ですのでセットアッパーとしてマーティン投手、平井克典投手、クローザーでデュアンテ・ヒース投手を置き、セットアッパーを補佐する存在で(打者の左右を考慮し)、野田昇吾投手齊藤大将投手、そして相内誠投手を配置し、今シーズンはこの構成で戦うのではないかと思います。
クローザーの増田達至投手はファームのゲームを見る限り、まだ時間がかかりそうですし、高橋朋己投手も同様ですから、相内誠投手がセットアッパーに入り込む余地は十二分にあると思います。

今年のペナントレースですが、ライオンズにはようやく余裕が出てきました。残り44試合の段階で2位ファイターズとは5ゲーム差となります。この5ゲーム差という数字はライオンズからしてみれば下を気にせず自分達の戦いができるゲーム差であると考えています。
残り44試合で5ゲーム差、そしてライオンズの得点力を考えると、ある程度ゴールが見えてきたと考えています。その中でここまでなかなか1軍でチャンスを生かせなかった相内誠投手がどのような立ち位置を手に入れるのか、非常に楽しみにしたいと思います。




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